値段が10倍でも利益率が圧倒的に高いスノーピーク「製品もバランスシートも”美しさ”にこだわる。」

夏目 力
4 min readJan 17, 2016

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EYE OF GREAT7

コアなアウトドア好きな人に愛されているブランド、「スノーピーク」は社長自らスノーピーク製品の消費者になり、今までに1000万円の商品を購入しています。

例えば、スノーピークのテントは他社の10倍以上の値段がしますが、売上総利益率は50%以上をキープしており、アウトドア製品に関しては、ずば抜けた製品を開発しているため、世界中にライバルが一切いないと自負しているそうです。

しかし、スノーピークは値段が高く、新しい価値観を作り出すマーケット創造型の会社であるため、平均して新しい製品が売れ始めるまでに3年ほどのタイムラグがありますが、この方法が維持できるのは、ロングセラーが圧倒的が多く、値引きをせず、時間をかけても正価で売ることをモットーにしているからだとして、CEOの山井 太さんは次のように述べています。

「私は何事も”美しい”ことがとても好きなので、バランスシートにおいても 美しさにこだわっている。これまでの決算で一番”美しかっ た” のが、総資本が15億8000万円で自己資本が15億円だったときだ。」

「つまり、これだけ財務体質がしっかりしていたため、無理な販売をする という企業文化がない。」

yutacar

また、スノーピークがアウトドア専門店や大型スポーツ量販店に20〜30坪のインストアを出す時には、アウトドア好きで専門知識をしっかり持ったスノーピークの社員がしっかりつくことで、店舗一坪辺りの年間売上は、大型スポーツ量販店と比べて2.5倍も高く、自社製品に圧倒的な自信を持っているという考えから、「保証書」という概念を無くし、製品を永久的に製品を保障しています。

一つの商品のサイクルが短くなり、粗利がどんどん少なくなっていくなかで、ロマンと経営を両立させることは簡単なことではありませんが、基本的に問題解決型のビジネスであれば、両立は可能であり、付加価値を高めることにこだわり、一点突破を狙っていけば、企業は必ず成長できるとしてCEOの山井 太は次のようにも述べています。

Giyu (Velvia)

他社の製品が いくらで売っているかはチェックしているが、安い製品には それだけの価値しかないと確信している。だいたい私はそんな製品をほしくないし、ダメな製品を作ったらスノーピークではなくなる。 — — — スノーピークCEO 山井 太

中途半端なものがどんどん売れなくなり、薄利多売なやり方、もしくは値段は決して安くないが、ハイエンド向けのユーザーに対して商品を作り、熱狂的なファンとロングセラーを生み出すことで、しっかりとした正規価格を通じて、売上を伸ばしていくやり方の二極化し始まっているように思います。

世の中を面白くするのは間違いなく後者だと思いますが、本当の意味でロマンと経営を両立させようとしている企業は、世の中の数%しかいないのかもしれません。

その辺りは現在の世の中の雰囲気と何となく比例しているように思います。

参考:山井 太「スノーピーク”好きなことだけ! “を仕事にする経営」

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夏目 力

スーツが嫌いでレッドブルが好きなクリエイター。 lrandcom.com