大学生とカラオケとサイマジョとガチ恋口上と

Migiwa Arisaka
6 min readFeb 11, 2017

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※この文章は現在刊行予定中の拙著

『斜めからの視点に立つ~釧路公立大学下山ゼミ生・学生団体SCANたちと分け合った日々~』

より、番外編的な位置付けの文章です。

2017年1月17日、僕は完成した原稿をわたすのと釧路公立大学下山ゼミ・神野ゼミの主催する『市民講座』を聴講するために大学へと赴いておりました。

この記事は第10期下山ゼミの「追いコン」の後、何人かのメンバーと共に2次会のカラオケに行くことになりました。

コンビニへと行っていた「買い出し班」によって購入されたウィスキーや

焼酎などで

1年間のストレスを晴らすためにガンガン呑んで理性のタガを外して歌い、踊り狂っている様子は、例えていうなれば「ヒトとケモノの中間」のような光景が繰り広げられておりました。

僕はその光景を見ながら「かっち」こと鈴木果歩さんが2次会の会場である某カラオケボックスへ行く道中で

「有坂さん、いいんですか? 2次会は地獄ですよ。」

と僕にそう忠告していたその意味するところが実感できたのでした。

僕は現役の学生時代の時にはどうしてもこの「うぇ~い」的なノリには入ることができなかったわけですが、齢30を超えてこの輪の中に若干ながら入る経験させてもらったとも言えるのかもしれません。

さすがに何も歌わないわけにはいかないので、僕は欅坂46の『サイレントマジョリティー』

(アラサーの僕が「サイマジョ」を歌うことはイタいことこの上ないことは百も承知であり、実際原曲でキーを下げなかったので声が出なかった…。)

と鴨志田穣氏原作の映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』

の主題歌である忌野清志郎の『誇り高く生きよう』でした。

『サイマジョ』を歌っているときは僕を乃木坂46の世界に引き込み、就活を経てとある大手企業に内定した

「乃木坂46に青春を捧げた男」

または

「乃木坂ペディア」

(現在は乃木坂46の派生グループ、欅坂46にシフト中であり、その中でも推しメンは渡邉理佐(愛称は「べりさ」)ちゃんとのこと)こと第6期SCAN広報代表であった花田憲優氏(以下、「けんゆー氏」)とのデュエットでした。

けんゆー氏は僕の横で『サイマジョ』のダンスを歌いながら踊りきり、間奏の際には

『言いたいことがあるんだよ! やっぱりべりさ(欅坂46のメンバー渡邉理佐ちゃんの愛称)はかわいいよ 好き好き大好きやっぱ好きやっと見つけたお姫様 俺が生まれて来た理由 それはべりさに出会うため 俺と一緒に人生歩もう 世界で1番愛してる ア・イ・シ・テ・ル!』

と魂の叫びをラップ調で歌い上げ、その場に居合わせていた女子学生から

「わー、けんゆーさんこわーい!」

などとドン引きされておりましたが、僕にはすごく印象に残っており、後日偶然再会していた時に、

「ねぇ、あのときのあれはいったいなんだったの?」

と尋ねると、

「あぁ、あれは「ガチ恋口上」と言いまして。乃木坂や欅坂に限らず地下アイドルとかでもライブの時に使われる掛け声の一つなんですよ。あとで検索してみて下さい。」

とのこと。いやぁ、世の中には僕の知らないことがまだまだあるもんだ。と思うとともに、酔いの冷めかけた僕が歌い、踊り狂う彼、彼女らの様子を見ながら思い出していたのは『ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)』(J.D.サリンジャー, 白水社)

拙評です

の中の有名なシーンで主人公のホールデン・コールフィールが最愛の妹であるフィービー・「ウェザフィールド」・コールフィールドに

「お兄ちゃんは何になりたいの?」

と詰問され、ホールデンが

「ライ麦畑のがけっぷちに立って、がけに落ちそうな子供をさっと救って、それから何事もなかったように佇んでいる。そんな大人になりたいんだ」

と答えるシーンを思い出し、(実際に酔いつぶれていた人間を介抱していたのは学生の1人でしたが)

「あぁ、ホールデンの言っていたのはこういう事だったのか…。」

と妙に納得していたことを思い出しておりました。

その後、釧路公立大学下山研究室でその時のことを言うと

「有坂さん、それは厳しいご意見ですねぇ…。」

と言われてしまいました。

これまでのことを書きながら乃木坂46の曲で、センターポジションは橋本奈々未が務めた彼女の卒業曲でもある

『サヨナラの意味』

の歌詞にある

『歳月(とき)の流れは(歳月(とき)の流れは) 教えてくれる(教えてくれる)

過ぎ去った普通の日々が. かけがえのない足跡と…』

というのはまさにこの時のことを言うのでしょう…。

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