二回目の挑戦は、旅行業界のイノベーション/WithTravel 代表取締役社長 兼 CEO 春山 佳久

こんにちは、Beyond Next Venturesです。
私たちは、大学・研究機関からの事業化を、初期から支えるベンチャーキャピタルです。

今回は当社の運営する、研究者と共に起業を実践するプログラム「Innovation Leaders Program(以下ILP)」の卒業生インタビュー第二弾です。プログラムを終えて10カ月、ご自身のアイディアから旅行情報サービスのスタートアップ を設立した春山 佳久さんにインタビュー行いました。

”これ”と決めたらとにかく早い春山さんの実行力は、これから起業をお考えの方に気付きを与えて頂けるのではと思います。ぜひご覧ください。

春山 佳久さん

株式会社With Travel 代表取締役社長 兼 CEO

2004年、カルフォルニア大学ロサンゼルス校 航空宇宙工学科卒業。電通、Google等でのセールスを経て、故郷の北海道で農業×IT分野で起業。
一部事業を譲渡後、Huluの初期メンバーの一人として日本事業の立ち上げに参加。その後は、外資ネットサービスの日本における事業責任者、洋菓子製造販売 BAKEのCOO・海外事業責任者を経て、2018年3月に現職WithTravelを創業。

20代後半、1度目の起業は”野菜のネット流通”

私にとって、今回のWithTravelは二度目の起業です。
最初の起業のきっかけになったのは、海外留学から戻って、翌春電通に入社をするまでの半年間ソフトバンクでアルバイトをした経験でした。

初めて見たビジネスの世界で、米国で見聞きしてきたように、当たり前に事業が立ち上がる文化。そして意思決定の速さなどを目の当たりにして、自分も事業を創る側で仕事がしたいという想いを持ちました。

その後は、電通・Googleと広告業界で働いていましたが、起業への転機は20代後半の思わぬタイミングで訪れました。私の実家は北海道の農家なのですが、父親が倒れ急遽北海道で農家を継ぐことになったのです。
とはいえ、普通に野菜の生産・販売をするのは嫌だと、周囲の農家も巻き込み、「旬の北海道野菜」をパッケージにし、定期的に顧客に届ける、BtoCの通販販売モデルを思いつきます。
運よく事業会社からの出資も決まり、事業準備に着手。意気揚々と1年半の準備期間を経てスタートしたこの事業は、僅か半年で撤退を迎えます。

今思えば気づいて当然ですが、既存の有機野菜通販会社という競合がいて、洗練された事業展開されている領域だったこと。そして、北海道の実家周辺を基点に組んだモデルだったため、供給できる品種や地理・気候的要因が事業の大きな障害でした。毎回野菜の種類を変えるのも大変だし、冬は野菜の種類が少ないからといって、でも流石に、じゃがいもだけ3kg送ったら困るよな、とか 笑
事業を立ち上げる上で、事業モデルをちゃんと考えて始めることの大切さ、供給を組み上げることの難しさを学べた貴重な経験でした。

東京に戻った後の日々と、ILPとの出会い

その後東京に戻った後は、再度ネット産業に戻りました。
動画サービスHuluの日本事業立ち上げや、外資の旅行ネットサービスの日本の事業責任者など2社を経験します。
事業買収等もあり、会社を離れることになったのですが、外資の次のキャリアとして、日本からグローバルに展開できる事業に関わりたいと思い、魅力あるスイーツ事業の積極展開を目指しているBAKEに入社を決めました。同社では、5つの海外子会社と各国の現地フランチャイズ提携企業とともに日本のお菓子を海外で展開することができました。

1度目の起業からは3社の企業勤めが続きましたが、「もう一度事業を立ち上げる」という気持ちは忘れたことはなかったです。
とはいえ、自分が腹落ちしたビジネスでないと続かない。
考えを整理した結果、過去の経験から、「在庫を持たないビジネス」「サブスクリプションモデル」「グローバル」という3つの軸を決めて、事業モデルを日々考えていました。
そんな中、Beyond Next VenturesのInnovation Leaders Program(ILP)を知り、事業シーズと出会うきっかけになるのではと申し込みをしました。

ILPは、”研究・技術を基にした事業を磨き、共同創業を目指すという”内容で、これまで経験してきたネット事業とは大分異質なものでした。
だからこそ、今までの常識や視点の枠を壊すことや、技術から事業を導き出していくことのプロセスを知れることが、純粋に面白そうだとも感じました。

サラリーマンをやっている場合じゃない!

プログラムでは、仲間や研究チームと共に約2カ月間、精神疾患治療サービスの事業モデル作りに加わりました。
医療領域のサービスなので、製品や顧客に加えて、医療機関・規制/法律といった多くの要素を俯瞰しながらの作業になりました。最終的な結果としては、チームに加わっての起業という形にこそなりませんでしたが、目線を広げる意味では貴重な体験だったと思っています。

そして、プログラムを終えて感じたことは、”スタートアップは熱気がある”ということでした。プログラム中の創業者講演で聞いた、ペプチドリームのL字カーブの成長と成功は、改めて「サラリーマンなんかやってる場合じゃない」という気持ちになりました。ILPの同期も起業を目指している方が多かったので、刺激を受けたのもありました。
プログラムが終わった後は、仕事を続けながらも毎日事業テーマを考えていまして、ふとした気づきがきっかけで、今回のWithTraveの創業へとつながって

$50M級の資金調達が狙える、旅行分野の意外なマーケット

当時、BAKEでは海外事業を担当していて、海外への出張が多くありました。2017年11月にタイへ出張をした時に、ふと「宿泊先を探すのに、ホテル・民泊など、なぜ一度に探すことができないんだろう?」という疑問が浮かびました。
利用者からすれば、泊まることができる場所であればホテルも民泊も関係ない。でもそれをまとめて探せるサービスがないのです。
出張から戻ってすぐ調べたところ、北米等の海外では既にサービス提供会社があり、$20-50M級の資金調達をしていることや、アジアではサービス提供会社がいないこと、そして日本国内では、民泊の法整備と共に、市場もこれから出来上がっていくことなどが矢継ぎ早に見えてきました。

そこからの展開は早いものでした。出張から1カ月が過ぎ、12月に入ったころには、事業の市場性を基に意中の仲間を口説き、年明け3月の法人設立を目指すというマイルストーンを決めました。

ちなみに、1回目に起業をした時は、役割分担をちゃんと考えずにメンバーを集めて苦労をした経験があります。そのため、今回は過去の仕事で出会った仲間の中で、最適と思う仲間から、デザイナー、バックエンドのエンジニア、フロントのエンジニアと必要最低限かつキーとなる3名だけに声をかけ、信頼感と経験の両面で強いチームを組むことができました。

シリコンバレー訪問と、仲間からの熱烈な応援が資金調達を後押し

仲間と土日に議論を続けながら、3月には、モック(プロダクトの画面イメージ)とビジネスプランが完成。まずは、一番ノウハウを持っている相手の懐に飛び込んでみようということで、シリコンバレーにあるトラベル分野専門のVCへ会うことに決めて渡米します。
結果としては、投資を受けることこそできませんでしたが、専門家である彼らの目線を知るとともに、この事業の成功のカギがどこにあるのかを再認識することができたのは大きな収穫でした。
また、 米国で起業をしている知人を回ったところ、「すぐやった方がいいよ」とか、「あのVCに会いなよ、すぐに」という熱烈な応援が相次ぎ、強く肩を押されました。
結果、帰国して翌日には、薦められたVCに訪問をし、それが後にシードラウンドの資金調達先となりました。あの応援がなければ、プロトタイプ開発を待つことで、もっと資金調達は遅れていたかもしれません。

旅行領域にイノベーションを。 ドラえもんのようなTravel Buddyになる

私たちの会社は、6月に資金調達を果たし、7月には9カ国語対応の初期プロダクトをローンチすることができました。まだ立ち上げたばかりですが、既に日本国内のホテル・民泊の75%の情報を網羅し、今後はこの情報の充実と共に、”より価値のあるユーザー体験”を実現するための挑戦が続いていきます。
今後の展開としては、アジアでの国を跨いだ進出や、サービスを通じたユーザー体験自体を大きく変えていくようなサービスの改善も考えています。

意外に思われるかもしれませんが、旅行・宿泊情報検索サービスは、もう20年も前から今に近い形が確立をされています。つまり、データを集約し、比較し、申し込むといったサービスは、大きくは変わっておらず、イノベーションと呼べるような変化はあまり起きてきていません。

私たちは、今のサービスの延長に、ドラえもんのように便利で、かつ旅行の体験を大きく向上するようなサービスを提供し、旅行者のTravel Buddyになることを目指しています。ぜひ注目してください!

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製品の画面イメージ

株式会社WithTravelについて

株式会社WithTravelは「旅」×「Technology」のスタートアップです。より楽しく快適な旅をサポートするwebサービス・アプリを提供することで、人生を豊かにする旅を、より多くの方に体験してもらいたいと考えています。第1弾のサービスとして、日本国内のさまざまなホテル・旅館・民泊サイトを横断的に一括で検索できる「WithTravel」をリリースし、国内外の旅行者の方々にご利用いただいています。 2018年7月、Facebookが2014年から実施しているスタートアップ支援プログラム「FbStart」にて、「Bootstrap」に認定されています。
コーポレートサイト: https://withtravel.org/

あとがき

春山さんが起業をつかみ取ったのは、数年間温め続けた想いと、決めた後の実行力。そして人柄だったと思います。
その意味では、当社ILPは一つのきっかけでしかありませんが、革新的な事業づくりの体験や、ILPの仲間の存在が一歩起業を後押しをできたことを大変うれしく思います。

チャンスを掴む方は、自ら一歩前に進んで情報を掴んでみるところに、成功の特徴があるのかもしれません。ご興味がある方は、下記ILPページのフォームからお問い合わせください。

Beyond Next Venturesより

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本記事に関するお問合せは delorean@beyondnextventures.comまで

記事作成日:2018.08.23 取材/編集:heron

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