週末の嵐

アメリカが世界の警官を辞め、友邦に負担を求めるとき

Makoto Ono
Jan 18, 2017 · 3 min read

ベビーブーマー一期生の第45代大統領が、金曜日の正午に誕生する。劇場型。激情型。何よりも、POST-TRUTH.

レーガン、クリントン、ブッシュ、オバマ。彼らは、アメリカの誰もが苦しむ深刻な経済危機の中、選ばれた。したがって、就任演説における国内向けの主題が「経済再生」であったのは、当然であっただろう。

現下のアメリカは、求人数が求職者数の1.4倍もあり、完全雇用という状態にある。彼が引き継ぐのは、これから労働需給が逼迫し、賃金の伸びが加速するアメリカだ。彼が敵視する国の調整が上手くいっているおかげで、グローバルなディスインフレ圧力も和らいでいる。

完全雇用は、素晴らしい経済的遺産である。したがって彼が就任演説で語るべき経済再生のプライオリティは、さらなる雇用の創出に置くことではなく、アメリカにまだ足りない「投資」の復活である。

生産性の伸びを加速させるために必要な投資を、税制改革と規制緩和を通じて実現すること。民間資金や海外の資金を呼び込み、時代遅れのインフラの再生や、最先端の技術革新のビジネスへの普及が最優先である。

こうした意味において、雇用第一主義は間違いなのである。

不孝にも、現実世界には「忘れられた人々」がいる。経済的繁栄を本当の意味で享受出来ない人々、社会的に孤独な人々、政府が手を差し伸べる人々は確かにいる。

しかし雇用第一主義というスローガンでは、ピンぼけなのである。


週末の嵐は、彼が語る経済再生がもたらす訳ではない。「世界の警官」としの役割、「同盟」の価値をどう語るのか。嵐の始まりだ。

レーガン、クリントン、ブッシュ、オバマは皆、世界の警官を自認し、友邦を守る固い決意を示した。必要なら力を用いる事を躊躇しないと語った、オバマを除いて。今となってみれば、オバマは理想主義に傾いていた。

この週末、「アメリカは、世界の警官にはなれない」「同盟国は公平な負担を負うべきだ」「現下のシステムは時代遅れだ」と彼が謳うとき、世界の多くが恐れおののき、世界の一部がほくそ笑むだろう。

再生すべき経済は、どの国においても、揺るぎない安全保障を基盤としている。安全保障の存在は空気のようなものであり、登山やダイビングという非日常を除けば気をかける必要はないね。

残念ながら、そうした日常を壊しかねない週末の嵐に備えるすべはない。祈るしかないのである。