(日本語版) Concept: Fully Governance-less Lending Protocol

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背景

レンディングプロトコルはDEXと並んでDeFiの重要なプリミティブであり、大きな流動性を獲得していますが、いくつかの問題が残っています。既存のレンディングプロトコルでは、担保係数や対応資産などのパラメータを更新するために、ガバナンスを必要とします。しかし、多くのプロトコルはまだ分散化されておらず、少数の主体によって管理されています。また仮に分散化されていたとしても、市場に応じて柔軟にパラメータを変更することは、ガバナンスの参加者に大きな負担を強いることになります。

そのようなパラメータは全てのユーザーに適用されるため、それぞれが望むリスクプロファイルで市場に参加することが出来ません。このような画一的なアプローチは、資本の非効率性をもたらしてきました。Rari CapitalのFuseでは、ユーザーは独自のプールを作ることが出来ますが、流動性が分断され、市場が不安定になる可能性があります。そこで、異なるリスクプロファイルを持つ流動性を統合することが出来るプロトコルが必要です。

主な特徴

Floating collateral factor: 貸し手は、資産を預ける際に担保資産のCF(collateral factor)に応じてトランシェを選択します。
借り手は、CFの高いトランシェから低いトランシェへと借り入れを行い、Floating CFは全体の利用資産のCFから求める平均値を目標値として変動します。

ex. Floating collateral factor

リスクプロファイル: 金利は各トランシェの貸し手に対して、Interest-WeightingFactor に基づいて分配されます。Interest-WFは、利用されているトランシェのうち、CFが最も低いトランシェを1として、CFが高いトランシェほど高くなります。
不良債権が発生した場合、不良債権は各トランシェの貸し手に対して、NPL-WeightingFactorに基づいて分配されます。NPL-WFは、そのトランシェがFloating CFに与える影響によって決定されます。

ex. Interest-WF

競争力のある金利: このプロトコルは準備金を持ちません。そのため、金利の10~30%を準備金として蓄えているプロトコルと比較して、より高い金利を提供することが出来ます。

パーミッションレス・リスティング: Uniswap TWAPをOracleとして利用することにより、任意の資産のプールを作ることが出来ます。

リスク軽減

多くのプロトコルでは、資産の利用率が高まると、金利を上げて返済を促すことで流動性リスクを管理しています。このプロトコルではそれに加えて、Floating CFを下げ、より多くの担保を要求することで不良債権が発生するリスクを軽減します。

ブロックごとのFloating CFの変化に制限を設け、目標値に対して緩やかに変化するようにする必要があります。これは、以下のようなシナリオにおいて、短期的にFloating CFが低下し、担保資産が清算されることを防ぐ必要があるためです。
- CFの高いトランシェからの多額の引き出し
- キャパシティを超える多額の借入

CFの高いトランシェの貸し手が引き出しによって損失の負担から逃れることを防ぐため、不良債権のリスクが高まると、VaR(Value at Risk)に従って資産の一部がロックされることがあります。VaRはほとんどのトランシェで0であり、極端に高いCFのトランシェでない限り預金のごく一部になると予想されます。これは、他のプロトコルにおいて利息の10~30%から作られている準備金に代わる仕組みであり、貸し手により高い金利を提供することが出来ます。
ロックされた資産は、引き出しによってFloating CFが低下するにしたがって、ロックが解除されます。また、VaRが減少した場合や、他の貸し手が預け入れを行った場合にも解除されます。

これはあくまでコンセプトです。問題点や脆弱性があると思われますので、フィードバックを頂ければと思います。
このプロトコルに興味がある方(特にエンジニアの方!)は、Discord等に参加して、ご意見を頂けると幸いです。

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