アフリカ初の携帯電話会社 セルテルを創業し、「アフリカのノーベル平和賞」を創設した男Mohamed “Mo” Ibrahim (モ・イブラヒム)

出典:http://bit.ly/1NVVygr

それまで誰も取り組まなかったアフリカでの携帯電話事業を始め、アフリカで最も成功した起業家となった男、モ・イブラヒム。巨額の財を成した彼は、財団をつくり、「アフリカのノーベル平和賞」と呼ばれるモ・イブラヒム賞を創設した。そんな知られざるアフリカの起業家に迫る。

アフリカ初の携帯電話会社 セルテルの創業

1946年、スーダンで生まれた彼は、エジプトのアレクサンドリア大学で電気工学を専攻し、卒業後はスーダンの首都ハルツームにある国営の通信会社に勤める。

そして、28歳のとき、イギリスへ留学する。ブラッドフォード大学で電子電気工学の修士号を取り、バーミンガム大学でモバイルコミュニケーションの博士号を取った。無線周波数に関するものが彼の専門分野であった。

卒業した後は、ブリティッシュテレコムに入社し、37歳で子会社のセルネットでテクニカルディレクターとして働いた。その6年後、ソフトウエアコンサルティング会社MSIを創業し、イギリスで独立する。

順風満帆のキャリアを歩んでいた彼だが、気になっていったことが、西洋人のアフリカに対する偏見だ。競合がいなく、予想される人口増加を考えても、アフリカでモバイル事業を行うことの可能性は計り知れないと考える彼に同意する人は皆無だった。

そして、1998年、彼が52歳のとき、自分で事業を興すことを決意し、MSIから、後にセルテルとなるアフリカの携帯電話会社を創業する。

参考:The man giving Africa a brighter future

出典:http://bit.ly/1Pwq6CM

34億ドルでの売却

MSIには800人の従業員と安定した収入があった。それゆえ、8人で創業したものの、初年にグラミンフォンからのライセンス許可料やインフラ整備で1600万ドル、そして最初の5年間で、合計4億ドル以上の資金を使うことができ、携帯電話通信インフラの土壌を耕していったのである。

また、さらに信用力をつけるために、ボーダフォンの初代CEOやタンザニアの前首相、ブリティッシュテレコムの最高幹部などを取締役に加えることによって、信用力も高めていった。

大手通信会社がアフリカ進出を躊躇った理由の一つとして、汚職問題が挙げられるが、イブラヒムはクリーンな会社であり続けるために、様々な工夫をこしらえた。

私は、事業を始めたその日から、賄賂は一切払ないと明確に決断しました。簡単なことでした。「3万ドル以上の小切手を切る場合、会社の経営メンバーのサインが必要」と言うルールを決めたのです。その結果、誰も私の会社の社長やマネージャーに、賄賂を要求することができなくなった。

引用:儲けたいなら、アフリカに投資すべき

それに加えて、2000年には親会社であるMSIを9億ドルで売却し、一気に成長を加速させる。舗装が整備されていないところではヘリコプターを動員して機材を運搬し、エネルギーの供給が不十分な地域では太陽光パネルを用いることで、ネットワーク地域を拡大させていった。そして、2004年には13か国で520万人の顧客を抱え、6億ドル以上の収益を上げる巨大企業に成長した。

しかし、問題があった。アフリカを成長市場とみる金融機関は少なく、貸付期間が短かったのである。そして、IPOをするという選択肢も無くなったとき、イブラヒムは会社の売却を決め、2005年に34億ドルでクウェートの通信会社に買収されることになったのである。余談であるが、その会社も2010年にインドの通信会社Airtelにアフリカ地域部門を107億ドルで買収される。

参考:Celtel’s Founder on Building a Business on the World’s Poorest Continent

「モ・イブラヒム賞」でアフリカから汚職を無くす

セルテルを売却した翌年の2006年、イブラヒムはアフリカのガバナンス改善のために財団を設立する。

今、アフリカ諸国が直面している最も大きな問題が、ガバナンス(統治)です。私たちは、アフリカは極めて豊かな大陸だと信じています。人口はわずか9億5000万人ですが、天然資源はおそらく、世界の4分の1くらいを埋蔵している。
しかし、その一方でアフリカ人は貧しい。なぜ、豊かな大陸に住む人々が貧しいのか。唯一の答えは、ガバナンスが悪いからです。アフリカは、もっとガバナンスを改善しなければなりません。開発や法、透明性、民主主義、そして教育や健康など人間開発にもっと注意を払うべきです。私たちは、ガバナンスの水準を改善することに貢献したいと考え、財団を設立しました。

引用:儲けたいなら、アフリカに投資すべき

そして、彼は、アフリカ各国のガバナンスに関する指標の公表、アフリカ諸国が一丸となって問題に取り組むためのフォーラム開催、リーダーシップ育成、そして、モ・イブラヒム賞の授与を行っている。

モ・イブラヒム賞とは、アフリカで優れた統治を行った統治者に対して贈られる賞で、賞金は500万ドル。賃金が非常に大きい理由は、アフリカの政治家には引退後の保証が一切なく、在職中に汚職に走って引退後の生活保障を確保しようとする者が非常に多いため、汚職に走らなくても生活が支えられるようにとの意図がある。

引用:Wikipedia モ・イブラヒム賞

現在、69歳になってもなお現役として活動するイブラヒムの願いは、汚職が無くなり、アフリカが豊かな大陸となることだ。それは同時に、アフリカに対する見方が変わることも願っている。

私たちは、アフリカについても公正な報道をしてほしいと願っています。アフリカにも問題はあります。しかし、同じようにサクセスストーリーも平和な人々も、素晴らしい音楽もたくさんある。アフリカはとても楽しい場所なのに、それがメディアで伝わらない。

引用:儲けたいなら、アフリカに投資すべき