イノベーションの重要性を見つけ出した経済学者ジョセフ・シュンペーター。

#Genius50
6 min readDec 9, 2015

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(出典:http://bit.ly/1PUeCfZ)

ジョセフ・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)は、オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者である。シュンペーター氏は、企業者の行う不断の「イノベーション」こそが経済を変動させるという理論を構築した。また、経済成長の創案者でもある。彼が訴え続けたイノベーションとはなんであるか。またイノベーションを訴え続けるに至った彼の人生を本記事では見ていきたい。

母子家庭で育ち、その後大切な家族を失う。

(出典:http://bit.ly/1SfIyBk)

1883年、シュンペーター氏は織物工場主の父と、医師の娘だった母との間に生まれる。生まれたのは今のチェコ東部。しかし彼が当時4歳のとき、彼の実の父親が亡くなり10歳の時に、母親が貴族階級の男性と再婚する。それまでは母子家庭で育っており、幼いころから裕福な家庭で育ったケインズに比べると、必ずしも恵まれた幼少期ではなかった。その後は、ウィーンの学校で優秀な成績を残し、23歳のときには法学部の学位を取得すする。その後、結婚し子供を授かり順風満帆に見えた彼の人生だったが、1926年には母、妻、息子を亡くすという悲劇に見舞われる。そのような悲劇に見舞われたにもかかわらずハーバード大学の教授に就任してからは、著作と教育に取り組み、「景気循環論、資本主義・社会主義・民主主義、経済分析の歴史」の三大労作を書きあげた。以上のようにジョセフ・シュンペーター氏は、資本主義の本質を解明するという壮大なテーマを追いながら、孤高の大経済学者、孤独な天才、という形容がふさわしいエコノミスト人生を送るのである。

シュンペーターが注目したもの

シュンペーターは経済学者の中でもイノベーションに注目したことで有名である。彼は、企業が行うイノベーションこそが経済成長をもたらすという理論を提唱した。またイノベーションを以下の5つに分類している。

・まだ消費者の間で知られていない新しい財貨の生産
・特定の産業部門における、新しい生産方法の導入
・新しい販路や市場の開拓
・原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
・独占的地位の形成や打破をもたらす新しい組織の実現 (引用:経済者Online)

そしてこれらのイノベーションをもたらす者を「アントレプレナー(entrepreneur)」と呼びました。これは「企業者」あるいは「起業者」と訳されます。シュンペーターは、経済が停滞あるいは先細りに陥らないためには、経済状態や精神状態をかき回す撹拌状が必要不可欠で有り、その状態をもたらすものこそイノベーションだとしている。そして経済が完全に安定したとき、起業者の利潤がゼロとなり、誰も経済活動にコミットしなくなると予測した。

イノベーションに必要なもの

シュンペーターは、イノベーションには投資が必要で有り、その担い手が銀行家だと述べている。つまりイノベーションには、担い手である企業者と資金を提供する銀行家が必要だと。また20世紀初頭のシュンペーターにとって銀行家は、積立金や貯蓄を一手に引き受けており、資本家や政府などの生産手段の所有者と、企業者との間に立っている者であり、イノベーションの遂行を可能にする機能を与える者なのである。

従って、シュンペーターにとってはイノベーションによる経済の発展にとって、銀行家は非常に重要な役割を持っていました。但し、現在では企業者に対する資本の提供者は多様化しているため、シュンペーターの言うところの銀行家の意味を、私たちはより広く解釈する必要がある。

景気の回転とイノベーション

シュンペーター氏は、景気の回転という景気循環説を述べている。つまり、イノベーションが繰り返されなければ景気が停滞してしまうということです。その循環は次の様に現れます。

企業者がイノベーションによって独占的な利潤を得る

模倣する企業者が群生し、超過利潤を得られなくなる

最初にイノベーションを起こした企業者は単なる管理者となる

イノベーションの果実が無くなり、景気が低迷する

次のイノベーションが起きる(引用:経済者Online)

以上が繰り返されるため、シュンペーターにとっては景気の低迷が生じることは必然である。このシュンペーターの「不況は必然である」という主張部分が精算主義であるとして、現代の経済学者には好まれない部分だと言われている。

彼が後世の経済学に与えた影響

シュンペーターが重きを置いたのは、イノベーションをめぐる競争である。各市場では一時的に独占者が支配権を握るが、イノベーションを導入した別の主体がすぐに取って代わり、新たな独占者になる。市場の内部で競争があるのではなく、市場を手に入れようとする競争があるのであり、この競争はイノベーションを手段として繰り広げられる。これは動態的なシュンペーターの資本主義観だが、シュンペーターの分析には少なからず真実がふくまれており、シュンペーターがイノベーションに重きを置いたことは、広く使われている経済理論(ワルラス一般均衡理論で、イノベーションを無視した)に大きな改善をもたらした。

最後に

彼が生涯を通し、主張し続けた「革新」がもたらす経済発展の重要性から私達はなにを学ぶことができるのだろうか。企業や経済の成長においてだけでなく、私達の普段の生活においても、「革新」がもたらす影響は大きいと言える。なぜなら、大切な家族をなくしたり、人生における衝撃は、私達の考えや行動そのものを変えうるためである。彼の主張には、経済の発展における仮説だけでなく、日常生活における重要視することにも精通しているものがあると言えるだろう。

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