日本で5000万人以上のユーザー数を誇るLINE、その親会社であるNAVERの創業者は韓国のIT業界で最も影響力がある人物だという。今回は、フォーブス誌で 「アジアで最も注目されている企業家25人」として取り上げられたこともある李海珍(イ・ヘジン)を取り上げる。
韓国最高の技術大学KAISTからの台頭
1967年に生まれたイ・ヘジンは、ソウル大学を卒業後、韓国科学技術院(KAIST)に入学する。 KAISTは韓国で科学技術研究の中心的役割を担う国立大学の1つである。彼は、そこで国家情報機関やユニテルの情報検索システムを開発していた。
25歳のとき、KAISTを卒業して、サムスンSDS(サムスンのグループ会社)に入社する。そして、その5年後、サムスンSDSの社内ベンチャーを独立させ、検索サイト「NAVER」を提供する会社NHN(現NAVER)を創業する。
「アイデアバンク」と呼ばれた男
NHNでのサービスの大半は李の発案とされており、その卓越した発想力から、彼は韓国で「アイデアバンク」と呼ばれている。そのNHNの人気サービスとは、今や韓国最大の検索ポータルサイトとなったNAVERと、韓国最大のオンラインゲームであるハンゲームだ。ちなみに、ハンゲームは課金ゲームの先駆けで、アクセスと基本的な使用は無料、コインなどを買う場合は有料という仕組みを世界で初めて生み出した。
そして、李が37歳になった2004年、韓国KOSDAQでの時価総額ナンバーワンとなる企業にまで昇りつめたのである。
LINEの誕生
2007年から日本にも進出し、日本法人ネイバージャパンを設立した。しかし、その4年後、東北大震災が起こる。
11年の東日本大震災発生で電話回線が混雑し、家族や親戚と連絡が取れずに困っている人々の様子を見たネイバージャパンの旧経営陣は、家族や友人とのコミュニケーションに役立つ、当時、市場が急速に拡大していたスマートフォンに特化したシンプルなツールを企画。会長だった李氏もサービスの重要性を実感し、支援を打ち出した。 11年6月にLINEはサービスを開始。音声通話やメッセンジャー機能に加え、スタンプなどの独自の機能が若者の人気を集め、開始から2年も経たない13年1月、登録者数が1億人を越えた。
NAVER、ハンゲーム、LINEと新たなサービスを生み出し続けることができるのは、ただ彼が天才であるからなのだろうか。その答えを知る手がかりとして、最後に彼の言葉を紹介しよう。
「人々の本質的な欲求はそう簡単に変わらない。」
「 集中すべきことはユーザーのコアがどんな人達なのかを把握することです。製品を最も重要視してくれて最後まで利用してくれるユーザーたちは誰なのかを把握することです。」
―李海珍(イ・ヘジン)