『一般市民が気軽に参加できる国際協力を目指す』

国際協力NGOセンター(JANIC) 杉本香菜子さん


お話を伺ったスタッフの方

認定NPO法人 国際協力NGOセンター( JANIC )の杉本香菜子さん

「国際交流と開発協力ってそんなに違う方向を向いているわけではないと思う。」

そう話すのは、今回私たちがインタビューした杉本香菜子さん。認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)(以下JANIC)の調査提言グループでご活躍されており、現在はJANICから出向してNGOとJICAの連携コーディネーターとしてJICAでもお仕事をされています。「国際協力を、関心がある人だけがやるものじゃなくて、もっといろんな人が自由に関われるような楽しいものにしたいんだよね。」高校時代の体験により国際交流から国際協力に関心が移り、NGOで働くことになった杉本さん。

今回はそんな杉本さんにお話を伺いました。


ーではまずJANICの成り立ちについて教えてください。

杉本さん:JANICは創設26年目で、実は私と同じ歳なんです。26年前はNGO間をつなぐネットワークが日本になくて、政府や企業などと対話や連携をするためにも、もう少しコーディネーションが必要だろうということで、当時のNGOのリーダーたちが集まって、JANICが作られました。

―ネットワークNGOということですが、具体的にどのような活動をされているのですか?

杉本さん:JANICは管理グループ、調査提言グループ、広報渉外グループ、そして能力強化グループの4つに分かれています。管理グループは総務全般を担当し、広報渉外グループは、主に自治体や企業との連携や、NGOに対する理解促進を担当しています。能力強化グループは主にNGOに対する能力強化のための研修事業を実施しています。中でも今私たちが力を入れているのが、緊急人道支援等の国際基準を日本のNGOに広めていくこと。例えば地震のような大災害が起こったときの支援の在り方には、スフィア(Sphere)やハップ(HAP)といった多くの国際基準があります。ところが、いくらたくさん指標があってもニーズが混乱しているような状態ではうまく使えない。こうした問題意識から、最近これらの基準を統合する動きが出てきています。災害大国である日本のNGOからも、このプロセスに貢献できるよう、ワーキンググループを作って議論を行ったりしています。

―国際基準なのに知らない日本のNGOは多いのですか?

杉本さん:そうですね。まず、こうした国際基準は概して欧米のNGOの主導で作られてきたという背景もあると思います。また、日本のNGOは他の先進国に比べ財政規模が小さいこともあって、国際基準を自分の団体に適応するだけの余力がなかったり、そもそも基準そのものの存在を知らない団体も多いのが現状です。JANICとしては日本のNGOの活動の質全体の底上げのために、国際会議に出て情報収集をして日本のNGOにその議論を共有したり、関連の研修を開催したりしています。

―杉本さんのいらっしゃる調査提言グループというのは?

杉本さん:調査提言グループでは主に外務省とJICAとの連携を担当しています。外務省とは年6回あるNGOとの対話の場のコーディネートをしたり、NGOにとって使いやすい制度作りや、ODAの在り方について、NGOの意見を調整して外務省側と協議したりしています。同じようなことがJICAでも行われていて、私は今、NGO-JICA連携コーディネーターとして、週の半分JICAでお仕事をしています。この他にも、例えばポストMDGsや、その時々の重要な国際会議等に向けて、JANIC単独で、または他のNGOと協働で政策提言を行っています。

―JANICだけでなくJICAでもお仕事されているなんて、大変そうですけど、おもしろそうですね!そもそも杉本さんが国際協力に興味を持ったきっかけは?

杉本さん:実はもともと国際交流の方に関心があって、高校時代には海外からの留学生と日本人高校生の交流を増やすための情報サイトを運営していました。そうしたらある日、たまたまサイトを見てくれた人から「愛地球博で市民パビリオンのオープニング実行委員をやる若者を募集しているから一緒にやりませんか」というお誘いが来て、楽しそうだったので参加してみることにしました。

このプロジェクトで、元ストリートチルドレン、今は現地NGOの代表として自国のストリートチルドレンの支援を行っているフィリピン人と出会い、その方との交流を通して国際協力の道を志すようになりました。それまでは、国際協力と言えば現地に行ってやるものだと思っていたのだけど、彼のように、自分たちの手で自分たちの国の課題を解決しようと頑張っている人たちを応援できたらいいな、と思ったのです。

高校時代の愛地球博参加時の集合写真

―国際協力に関心が移って、それからどうしてJANICで働かれることになったのですか?

杉本さん:大学では、国際関係論を専攻して、主に開発協力論を勉強していました。開発協力の分野で政府セクターとNGOが連携することによる相乗効果に関心があって、講義を通して北欧系ドナーがこの分野でかなり先進的な取り組みをしていることを知りました。

その後、卒論研究のために1年間スウェーデンに留学して、卒業後は一度、スウェーデンの大学院に進学しました。でも色々思うところあって休学して帰国。これからどうしようかな、と思っていたところで、卒論の情報収集でも何度かお世話になっていたJANICの調査提言グループがインターンの募集をしているのを見つけたんです。すぐに応募して、インターン、アルバイトを経て、職員になりました。

スウェーデンでの勉強会参加時
スウェーデン留学時①
スウェーデン留学時②

―今はNGOを通して国際協力に関わっていらっしゃるわけですが、これからどういうNGOを作っていきたいというような目標はありますか?

杉本さん:NGOがもっともっと市民にとっても、他のセクターにとっても気軽にコンタクトできる、オープンな存在になったら良いなと思います。例えばスウェーデンでは国際協力に限らず、社会問題全般について市民レベルでの勉強会が多く開催されていて、多くの人がそれぞれの問題について、ある程度自分の意見を持っている印象を受けました。

NGOの提言は市民からの声を代弁した内容である、といえることが究極の理想だと思うのだけど、日本では国際協力への理解や関心が低く、それがなかなか難しいのが現状です。例えば関連のセミナーやイベントを開催しても参加するのは毎回お馴染みの顔ぶれ、ということもよくあります。そう簡単に解決できる課題ではないと思いますし、まだまだ具体的なアイディアは浮かばないのですが、たとえば国際交流と国際協力が混ざったような、何か「楽しそう」と思ってもらえる仕掛けができれば良いな、と思います!

―最後になりますが、国際協力に興味のある学生へメッセージをお願いします。

杉本さん:国際協力に興味があるなら、どこかでボランティアやインターンをしてみることをお勧めします!特にNGOで働きたいと思っているなら、自分との相性を見極めるためにも、まずはインターンなど、何らかの形で中に入って自分の目で観察することが大切です。良くも悪くも、狭い業界なので、1つの団体と関われば他とも繋がれる機会はいくらでもあります。私自身、JANICに入ったころは、JICAに出向するなんて思ってもみなかったですし、自分が動けば、道はいくらでも開けると思います!


【感想】

学生時代から国際的だった杉本さん。インタビュー中は、国際協力やNGOのこれからなどについて自身の深い考えをお話してくださり、今のNGOの国際協力についての理解を深めることができました。杉本さんがおっしゃっていたように、一般の人がもっと国際協力に興味を持って楽しく一緒に関わることができるような社会を目指していくことが、これから国際協力に携わりたいと考えている私自身にも求められるなと感じました。

(JANICユース 福島未来)

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