不便が溢れる世界、日本という国でこの最高に素晴らしい時代を生きる

Jay Winder
9 min readAug 24, 2016

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私たちの生活に存在するモノはすべて、今の時代とは全く別の世界のためにデザインされ、生まれました。

別世界とは、ポケットの中にあるスマホという小さなデバイスで、瞬時にすべての知識や情報にアクセスできない世界。

別世界とは、私たちが知らぬ間に、高いデータセキュリティで情報が守られ、問題は排除され、より便利なものが生まれ続けることのない、アップデートされない世界。

それは世界中の人々とデバイスが繋がり、何百億ものネットワークが存在しない世界。

問題は、私たちは不便な状況に慣れてしまっていることです。どんな不便なことも、私たちは日常生活の一部として受け入れてきました。例えば、市役所で住所変更をするたびに、世間に忠実な私たちは何時間も座って待ちます。「あれ?どうして自分のスマホでできないんだろう」とは思わないのです。

この現象について、シリコンバレーの実力者であるY Combinatorのポール・グレアム氏は『面倒な仕事の無視』(原題:“Schlep Blindness”)という素晴らしいエッセイを執筆しています。(日本語版)

私がこの状況を非常に面白いと感じる理由が二つあります。
まず、私たちの周りにはいくつものチャンスが転がっており、それらは常に誰かによって気付かれ、改善される時を待っているということ。さらに、最新のソフトウェアや技術を利用すれば、今こそが日本においてソフトウェア会社を立ち上げる絶好の機会だと思うからです。

一部の人は日本に対して悲観的な見方をしているでしょう。彼らは日本は終わったと言います。昔は良かったが、今は世界市場の競争に負け、ソフトウェア主導の市場に適応することができない。ソフトウェア会社に必要な最先端技術に精通する人材は不足しているし、そういう人材は大企業で不毛な業務に追われていると彼らは言います。

もちろん、私はそんなのくだらないと思います。

私は日本の未来はとても明るいと考えています。私は幸運にも日本で二つの会社を立ち上げ、勤勉かつ献身的に働く仲間の姿を間近で見てきました。

私たちは進化し続ける新しいソフトウェアや技術に対して目紛しいスピードで適応してきました。

顧客が我々のソフトウェアを使うことで得られる効果や力に気づき始めていることを目にするのは非常にワクワクします。そして彼らが自身のビジネスにより役立つ機能を次々と要望し始めているのを見てとても嬉しく思います。

これは余談にはなりますが、 Disrupting Japanのティム・ロメロ氏がまさにこの話題に関して素晴らしいポッドキャスト(原題:Japan’s Coming Startup Boom)を配信していますので、ぜひ聞いてみてください。オススメです。リンクはこちら(無料・英語)

また私たちは、ワクワクするような市場の変化を目にしています。iPhoneの普及以来、私たちは高機能でしかも楽しく使える、良く設計された美しいソフトウェアの価値を実感するようになりました。

会社の意思決定者たちは「(システムの替え時に)とりあえずIBMの製品を買っておけば大丈夫」という考えを捨て、「サービス提供企業の大小に関わらず、正しい解決方法を探し、実行する必要がある」と考え始めています。良質なソフトウェアとサポートが、本来これがあるべき姿ですが、会社存続の鍵を握る要因となり始めているのです。

日本に関する誤った批判の一つに、中小企業やスタートアップで働く社員の能力を疑問視する考え方がありますが、これも変化しつつあります。

長い間、社会的・職業的に安定していると考えられていたことから、多くの日本人が大手企業に就職することを希望していました。

しかしながら今日では、大企業は以前ほど「安全」ではありません。みんな会社が「大きい」からと言って安全ではないことに気づき始めています。「競争力のある会社」こそ、安全な会社なのです。

日本の人々は、スタートアップで働くことは自身が成長できるキャリアパスであるという考えに馴染み始めています。

私たちも「大企業に就職できなかった」からではなく、「したくなかった」からという理由から、スタートアップで働くことを選ぶ新卒者を多く目にしています。

実際にある2016年度の調査によると、大企業への就職を希望する日本の新卒者は2014年から7.8%減少し、対照的にスタートアップ企業への就職希望者は4.3%増加しました。

まだ日は浅いものの、この傾向はハッキリとしています。年齢に関係なく、やる気に満ち溢れた社員たちは今この瞬間に、何か重要なもののためにインパクトを与えるポジションで働きたいと思っています。彼らはそれが出来るまで、何年も待ちたくないのです。

スタートアップ企業はそのために独自の機会を提供することが出来ます。スタートアップには女性や経験の少ない若い社員が、どのようなことをすべきであり、またすべきではないという考えや制約はありません。優秀な人であれば性別、嗜好、経験または国籍に関係なく、責任を伴う面白い仕事に取り組むことが出来ます。

もしあなたが日本で仕事を探している、または実際に働いているのなら、どのような状況であれ一番大事なことは、あなたは様々な選択肢を持っていて、それを自分で選択し、掴み取ることが出来る、と自覚することです。

どのような仕事に就きたいかを考える時、あなたはわがままになって良いし、ならなくてはなりません。あなたが不満を抱えていたり、イヤイヤながら他人の指示に従っているだけでは、良い仕事など出来るはずがないのです。

例えば大学のキャリアアドバイザーや親の意見を聞いて就職先を決めた時、あなたは彼らは心底あなたのためを思ってアドバイスしてくれた、と思うでしょう。ただ同時に、そのアドバイスは「2016年にはふさわしくない、時代遅れのものである」と理解しておくことは非常に重要です。

スタートアップ企業で働くという選択肢はいつもあなたの目の前にあります。あなたにとって正しい会社を選ぶことが出来れば、人生で最もやりがいのある経験を得られるでしょう。

もしこれを聞いて興味を持ったら、スタートアップが開催するイベントに足を運び、実際にそこで働く人と話してみることをおすすめします。その会社のCEOをつかまえて、「あなたの会社に興味を持っています。どんなことをしているのかもう少し詳しく聞かせてもらえませんか?」と声をかけてみてください。

「CEOをつかまえて話をするなんて出来ない!彼らは忙しいに決まってる!」と思う人もいるでしょう。実はこれは、企業を試す(知る)とても良い判断材料の一つになります。

もしそのCEOが喜んで自身の会社の使命(方針、理念、あり方)について話そうとし、優秀な人を見つけた時はその場で雇おうとする人なら、それはかなり良いサインです。

どちらにしても、ぜひあなたには自分自身の道を歩んで欲しいと思います。有名なスティーブ・ジョブス氏の言葉を引用すると、

ー 「一般論(ドグマ)にとらわれてはならない。それは他人が経験して考え出した結果なのだから。他人の意見や雑音に、あなたの心の声をかき消させてはならない。最も重要なのは、自分の心と直感を信じる勇気を持つことなのだから。」

(原文:”Don’t be trapped by dogma(教義、常識、既存の理論) — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of other’s opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition.”)

あなたの幸運を祈っています。

この場を借りて、パトリック・マッケンジー氏、ティム・ロメロ氏にこの記事の原稿を読んでいただいたことに感謝します。

English version of this post.

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おまけ:30〜60秒の自己紹介ビデオを添付してもらえると選考時の印象が上がりますし、とても助かります!

自己紹介 ジェイ・ウィンダー (Jay Winder)
クラウド型請求ソフト「MakeLeaps」メイクリープス株式会社、代表取締役CEO。2010年創業以来、ナバル・ラビカント氏(AngelListの創業者)や500 Startupsなどシリコンバレーの実力者達、最近では楽天ベンチャーズ・ジャパン・ファンドより投資を受ける。2001年より日本に滞在、2003年より会社設立・運営、現在に至る。

Twitter @itsjaydesu Facebook

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