勢いを重視してスラッシュメタル風に攻める場合のドラムのバリエーションとその効果(キック編)

勢いよく突っ走るドラムは、見ても聞いても、叩いても気持ちがいいもの。個人的に特にスカッとするのは”ハット刻みの偶数回目にスネアが叩かれる”パターンで、一部ではツービートなどと呼ばれる叩き方である。ドラムは勢いに比例して遊び要素が少なくなっていくが、そんな中にあって多様なニュアンスを表現し得るいい塩梅の叩き方として定着している。と思う。様々なテンポに活用可能な上に、TPOをわきまえた足のバリエーションによりバンドのパフォーマンスを容易に向上させる事ができる。

◯基本形

バスドラムとスネアが交互に叩かれており、ドタドタ、と聞こえる。速いメタルやパンクでよく使われるドラムの基本形。ちょっと試せば誰でもできるくらい簡単なのに、そこそこの突進力を表現できるコスパのよいパターンである。スラッシュメタル全盛の時代には、頑なにコレしかやらないバンドも多かった。なお、これに慣れてくると、8小節ごとにオカズを入れるだけで永遠に飽きずにハイな状態が維持される事がある。ランナーズハイのドラム版みたいなものだが、単調すぎてメンバーから失望される場合があるため気をつけなければいけない(イングウェイ風なギタリストが相手なのであれば、自分が目立つために比較的単調なドラムが好きなので、テンポキープできれば重宝してくれるかもしれない)。ちなみに、右手のハットを半分に省くことは、一部世代やコミュニティにおいて禁忌の対象となるため、周囲の年代や趣向に十分配慮して行う必要がある。

○直線的進化

2拍目を“どど”とする事で突進力を強化したパターン。ドッタンドドタン、と聞こえる。ドラマーの何割かは右足のみでバスドラを演奏するのだが、片足だけで”どど”をきれいに踏み込む事が出来れば、玄人感を漂わす事が可能である。一方、ツインペダル常備の私は”どど”を右足→左足で踏む事が多い。別に両足で踏んだらチートとか腰抜けという訳ではないが、たまに非難の対象となる。片足で踏むとエモさと加速度が多め、両足だと無慈悲さが多めになるので、使い分けするべきかと思う。

◯聴衆を前傾させるコンビネーションの組み合わせ①

“どど”にはキッズのスイッチを入れる力がある。このスイッチも使い方が重要で、攻撃タイミングの駆け引きにうまく作用させる事ができれば、キッズをひき込む良いプレイにつながる。上記パターンは、”鞭打つ間隔が徐々に短くなり疾走せざるを得なくなるイメージ”の作品で、シンプルな中でも3次元的な奥行きを感じさせる好パターンである。

○D-beat

スクエアになりがちなシーンに登場した黄金パターン。ウラに入るキックにより、リズムの解像度が向上し、ヘッドバンギングの振れ幅が増大した。ドラマー的にもいい事があって、手足の動きに比較的無理が少ない所から、持続性、加速性に優れる。パンクからメタル、ロックに逆輸入され、近年に至っても幅を利かせている。

◯高速化と省エネ

D-beatは十分に省エネと高速化を実現するパターンであるが、テンポがBPM200を超えて220を超えてもっともっと先に行ってしまった際に、キックだけが浮いて聞こえて自我が崩壊する(速いリズムに手や頭がついていかない)ため、全体の調和を図るためにやむなく上記のパターンになる事が多い。拍裏に入るキックをなくしていいのであれば基本形になる。

○いいとこ取り(ハイブリッド)

足への負担に慣れれば、組み合わせて攻撃力を上げる事ができる。上記の2つはハイブリッドパターンの中でも大出世したパターンである。パターン自体は昔からあったようだが、主にハイスタの恒岡とYoshikiにより国内では始めて広く認知され、多くのフォロワーが追従した。

◯やっぱり

足元が許せば、一番攻撃力があるパターンはやっぱりこちら。気をつけなければいけないのは、速くできるからといってしばらくふみふみしていると、聞いている方が一瞬で麻痺して凄さを感じなくなってしまう事である。どんなに余裕でできたとしても、意味のない所で披露するのはやめておこう(できない人の僻みではない)。