YVONXHE 「De praestigiis daemonum」レビュー

2011年に日本の東京で結成された自称プリミティブブラックメタルバンド。本作は国内インディペンデントZero dimensional recordsと契約して2012年に製作された1stアルバムである。ブラックメタルやスラッシュメタルを基調とした陰鬱だが勢いよく畳み掛ける構成、悲哀と湿度を感じさせるサウンドメイク。キャッチーなギターに呼応して吐き出されるボーカルは苦悶と怒気を含んでいる。アルバム全体の色調は統一されているが、メンバのバックグラウンドが透ける仕掛が随所に現れる。そのためブラックメタルと自称するものの、様々な層に受け入れられる可能性も、あるといえばある(たぶん)。作品を聞きながらだと若干でも共感していただけるかもしれない。なお、本作の発表時点ではスクリームとギターの2人によるブラックメタルユニットであり、現時点ではドラムが加入している。

アルバムは、冷たい霊安室と名付けられたアルバムの導入曲①Cold Morturyから始まる。濃霧のように全容が包まれながら、打ち付けるドラムにギターが呼応して折り重なる。淡々としたリフが徐々に地に降り注ぎ水溜りのようになって極端なリバーヴを更に強調する。アルバムのプロローグでもあるが繰り返される物語のエピローグのようでもある(再生しても曲が短くてすぐ終わるのでリピート再生)。思わせぶりに作品の幕が上がる。②Immorationではシンプルだが危険な響きしかしないリフでアバンギャルドな一面を深め、③Witchbroomed vasでは神々しくかつ重機の如く突き進む演奏に吐きかけるボーカルの憎悪?のコントラストが妙味。個人的にお勧めなのは⑥Sha’etemmuで、このアルバムの何曲かで垣間見る荘厳パートを全編で楽しむことができる。スラッシュメタル、ハードコアパンク系譜の直系⑧Self Awareness と中世から現代の魔女狩りについて歌い上げる⑨Sacred,Noble,Extoled…Witch-huntはライブでの定番であり、ストレートなアグレシッションに哀愁(激情?)が感じられる佳作である。⑪Dearhbed Crescentのデス+ちょいインダストリアル+ブラック加減も絶妙で心地よい。⑫Funeral At The Frozen Moor の絶望感と淡々感に打ちひしがれながら最後の小品⑬Dream of Embryoへ。一周まわって20分くらいでちょうどいい。全体的にチャカポコしていて音質が特別リッチな訳ではないが、それが結果としては作品のクオリティーに貢献していると思う。ただし、バンドが自称するジャンルに冠している”プリミティブ”はそういう所を指している訳ではなく、初期的な衝動に根ざす、とする主張なのだろうなと勝手に感じている。

-(絶筆)