スタートアップの7つの成長プロセス #3 ニーズ検証

Keita Matsuyama(松山馨太)
Code Republic Blog
Published in
6 min readAug 16, 2019

今回のテーマは『ニーズ検証』です。

前回まではビジネスアイディアの構成要素を紹介しました。『アイディア策定』の段階のアイディアはまだ仮説の状態です。この後のプロセスは、この仮説を検証して、不確実性を取り除くプロセスとなります。

スタートアップの失敗理由の第1位は「ニーズがなかった」です。

CB Insights

「顧客はこの課題に悩んでいる」「私のアイディアはニーズがある」と思い込み、適切な仮説検証が完了する前に開発やグロースを進め、失敗するケースが多く存在します。私自身も思い込みで大規模開発を進めてしまい、開発リソースを無駄にしてしまった苦い経験があります。

今回の『ニーズ検証』は、まだ仮説(=思い込み)のビジネスアイディアのターゲットや課題・ニーズが存在することを証明するプロセスとなり、検証方法としてはターゲットに対するインタビューとなります。

しかしながら、インタビューはバイアスが存在するため、検証としては妥当性がありません。たとえば、Steve Jobsは以下のように述べています。

そのため、『ニーズ検証』の次のプロセスである『ソリューション検証』による定量的な検証が必要となります。『ニーズ検証』と『ソリューション検証』は同時に検証可能ですが、『ニーズ検証』で重要なことはニーズの存在を確かめるだけでなく、インタビューを通じてニーズを深掘りすることです。

インタビューからターゲットのインサイトを知り、『アイディア策定』のプロセスに戻り、ターゲットのインサイトをアイディアへ反映、アイディアを磨き込むという繰り返しを行います。

開発工数がかからないのであれば、MVPを用いて利用者に対してインタビューをしてしまうことも可能です。限られた時間・資金の中で最も効率の良い検証方法を見つけてもらえればと思います。

それでは、『ニーズ検証』の注意点を紹介していきます。

インタビュー対象者

インタビューの対象者は、『アイディア策定』で定義したターゲットが対象となります。

前回記事で記載したようにユーザーの属性・価値観によって課題の種類や深刻度・シュチュエーションは異なるため、ターゲット以外のユーザーへインタビューをしても誤ったインサイトを学ぶことになってしまいます。

このため、対象者はターゲットのみとしましょう。

インタビュー内容

インタビューではターゲットのインサイトを知るために以下のような質問を推奨します。

課題に前提が存在する場合や解決策がいくつかの価値で構成されている場合はそれぞれの前提条件を分解して確認するようにしましょう。

これらの質問を通じて、ターゲットのインサイトを知り、アイディアのブラッシュアップを図りますが、ここで注意すべきことは自分のアイディアに固執しないことです。

多くの人は、自分が考えたアイディアが優れたアイディアだと思い込み、愛着が湧き、否定的な意見を受け入れようとしなくなってしまう傾向にあります。私自身も今振り返ると懐疑的な意見に対しても「誰かが使うはず」という根拠なき自信を持ち、アイディアを変えることができなかったと感じます。

成功を掴んだスタートアップも最初のアイディアから成功はしておらず、検証の繰り返しにより成功を掴んでいます。

フラットにユーザーの声を聞くということを心がけて『ニーズ検証』のプロセスを進めてみていただければと思います。

本シリーズは全7回に分けてスタートアップの成長プロセスを紹介しています。各記事は以下よりご覧ください。

#1 市場選定

短期間で急成長するための市場の条件、選定方法を紹介します。

#2 アイディア策定

ビジネスアイディアを構成する4つの要素とその調査方法を紹介します。

#3 ニーズ検証

ビジネスアイディアという仮説をインタビューを通じて定性検証、ビジネスアイディアを磨き込むプロセスを紹介します。

#4 ソリューション検証

MVPを用いた「課題・ニーズが存在するか?」「その課題・ニーズを解決しているか?」の定量検証のプロセスを紹介します。

#5 プロダクト検証

MVPをプロダクトに落とし込み、愛されるプロダクトへと磨き込むプロセスを紹介します。

#6 ビジネスモデル検証

持続的に利益を生み出し続けるビジネスモデルを構築するプロセスを紹介します。

#7 スケール

愛されるプロダクトと持続的に利益を生むビジネスモデルを構築した後のスケールのための成長戦略・組織設計のプロセスを紹介します。

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