リバネスインターンを離れます.

名前がいい, と思う. 理念をそのまま表しているかのようで.


“巣立ち” を意味する Leave a Nest という名の会社で, 昨年の 5 月頃からインターンをしていたのだけれど, 今月末をもって離れることにしました. その理由については後々触れますが, 振り返るのには良いタイミングです. 僕が何を考え, 何を学び, 次に何をしていきたいのか. ここに記憶しておきます.

※ あくまで個人的な思考のパーツです. 僕が言う Question (谷) と Vision (山) のニュアンスを知っていると, 納得感があるかもしれない.


きっかけ

実は名前だけなら, 大学 1 年の頃から何回か聞いたことはある. 特にベンチャー企業への強い興味があるわけでもないけど (今もそう), “理系人材” “研究者支援” といった単語がキーワードなんだな, という程度の認識.

それが, どうやらトンデモナイことをやろうとしている “怪しそうな” 会社, という印象に変化したのが 2016 年の 2月に MAKERS UNIVERSITY のプログラムで CEO の丸さんが講演をしてくださった時. 幸運にも丸さんの前でピッチをする機会をいただき, その後のゼミ選択で丸ゼミを選択したことがインターンを始めた直接のきっかけだったと思う.

ゼミに所属するだけならインターンに参加する必要はないのだけれど, ゼミ初回の宿題が,

1 年間のスケジュールを 1 週間毎に分けて作ってくること.

やってみれば分かるけど, これはかなりキツイ. 自分は何をしたいの ? という軸をベースに, 使えるリソース, 実行能力, 今抱えている制約など諸々の事情をパズルのように埋めていく必要がある. 僕は GW に伊豆に引き篭もって, 次の 4 つを 1 年間の目標に定めた.

  1. まず研究者になること (2. に対して自分自身は何者として臨むのか)
  2. 未来予想図を描けるようになること (人に応援される, 自分が創りたい世界観)
  3. チームを作ること (2. を一緒に考える/作る仲間)
  4. 融かすデザイナーになること (2. を社会実装していくためのスキル)

この目標を達成するための手段としては何が適切だろうか. 当時の僕のリバネスのイメージは,

  • 科学技術という複雑なものを分かりやすく伝える
  • 異なる分野の研究者が集まってチームを成している

といったような感じ. (間違ってはないと思う.) そのリバネスがインターンを募集しているというのだ. 1 ~ 4 の全ての要素, 特に 2 と 3 を身につけるにはとても良いトレーニングの場になるに違いない. そう考えてホームページからポチッと申し込んだ.


インターンって何するの ?

リバネスがインターン生に提供するコンテンツのメインは,

  • 最先端科学の出前実験教室
  • 科学雑誌の記事執筆

だと思う. (僕が見た限りは.) これらの活動を通して, “QPMI サイクルを回す” ことを実践していく.

QPMI とは

Lifehacker に記事が出ているので, 参考に.

イノべーションを起こすためのキーは「QPMIサイクル」

僕の言葉で簡単に説明すると, 新しい価値が生むために, 研究者が無意識的に行っていることを可視化した “姿勢” だ. 研究者は誰でも自分の Question をもち, そこに対してそれぞれ情熱, つまり Passion をもっている. だからこそ Question を自分の Mission として捉えることができ, Mission を達成するために Member を募って, 最終的には Innovation として新しい価値を創造してゆく. 従ってこの QPMI サイクルをグルグルと何回も回していくと, イノベーションを起こし続けられるわけだ.

実はこれ, 汎用的なものでビジネスにも応用できる. 似たような概念として PDCA サイクル (Plan → Do → Check → Act) という言葉をよく聞くけれど, このサイクルは 1 から 100 へのスケーリングには向いてはいるものの, 0 → 1 を創り出すことには適していない. “事を仕掛ける” 21 世紀型の仕事は, この QPMI サイクルがベースになるはず. そう提唱して, サイエンスとテクノロジーを使って実践しているのがリバネスという会社だと思う.

ちなみに QPMI の考え方が身について, 自分オリジナルの Q と P を言語化し, ある程度のノルマをこなすと, SBL (サイエンスブリッジリーダー) という資格が授与される. リバネスがインターンをしているのは SBL の育成であり, インターン生は SBL 取得を目指すことになっている.

最先端科学を伝える

トレーニングのため, インターン生には実験教室や記事執筆などのコンテンツが提供されており, 僕も幾つかの実験教室で中学生や高校生, 小学生の前に立った. (記事は今も執筆中.) 内容は宇宙エレベーターや科学捜査, 3D プリンタなどなど. 普段学校の授業ではできないことを, 手を動かしながら実際に体験していくのだから, 僕からすると羨ましい限り.

もちろん, 何の工夫もなしに科学技術に関する小難しい話をしても, 子供からは (・o・) といった顔で見られてしまう. 学会で話されるような内容が受け入れられるわけがない. 想像して欲しい. 片方は今も研究している or 修士号や博士号をとったスペシャリスト, もう一方はほぼ何の知識もない子供. 情報の発信者と, 受け取り側のギャップが大きすぎるのだ. よく理系の大学生が文系の人と話が繋がらないって言うけれど, そんなレベルではない.

このギャップを埋めるにはどうしたら良いだろうか?

方法は何個かあると思うけど, リバネスでは, コミュニケーションとはどういったものなのか, プレゼンテーションってそもそも何だっけ, といった原始的な問いに答えることから始めている. つまり, 定義付け, 自分たちの言葉でこれらのフワフワしたイメージ像に重りをつけているのだ. (ここ, 研究者っぽいと思う.) この土台の上に方法論を幾つか乗っけると, 子供に最先端科学を伝えるというコミュニケーションの極端な一例に対して, 有効的なアプローチができるようになる. (方法論について書くつもりはないので, 詳細は SBL 研修 とか)

ただ, いくらギャップが大きいとはいえ, いくら内容が難しいからといって, 教えるだけなら練習さえすれば誰にでもできるのだ.

よくインターンの場で言われていたのが,

実験教室は一つの手段でしかない.

その背後には, なぜ “自分が” 伝えるのか. なぜ “自分が” これをやるのか. こういった自分を顧みる問いがある. この問いを浴びることになるのが, リバネスインターンの一番の特徴だと思う.


学んだこと

なぜ “自分が” 取り組むのかといった理由がなければ, そのプロジェクトはあなたじゃない他の人に代替可能だ. あなたの “仕掛け” をあなたが行うからこそ意味があること. 実験教室でも何でも, それを考え続けなさい. 文章にしたら当たり前のことを, 現実で筋を通すことはとても大変で, インターンの場で苦労したのは “理由づけ” (= QP 探し) だった.

どんな研究でも企画でもビジネスでも, きっと何か負の現状 (Question) を変化 (Innovation) させたくて, 目的を立て, 手段をこうじて, 仲間を集め, 実施して, 反省する. この一連の流れは共通だと思う. ただ始まりというのは, あくまでたった一人の “強力な動機” (Mission) でしかない. (もちろん偶然スタートもあるとは思うけど, 継続したプロジェクトになるのは一人の “強力な動機” があるから.) この “強力な動機” を生むのが, なぜ “自分が” 取り組むのかという理由 (Passion) なんじゃないかなと思う.

だから僕が学んだことはすごくシンプルに言い表せる.

自分は, 何を,どう変化させたくて, それに取り組むのか ? これを考え続けること.

実験教室なら, 子供を, どう変化させたくて, 講義内容を作っていくのか. 記事を書くのなら, 読者を, どう変化させたくて, 文章を書くのか. 新しいプロジェクトであれば,

  • 目的 → “あなたは” 何をどう変化させたいのか
  • 手段 → 本当に “あなたの” 目的を達成できるのか
  • 仲間 → “それぞれ” 何をどう変化させたいのか
  • 実施 → (やるのみ)
  • 反省 → “あなたの” 目的に対して, 手段は合っていたのか

といったことを意識すべきなのだ.

ただ, 変化させる対象 = Question と, 自分が行動すべき理由 = Passion を明確にしろ, ということをガチガチに考えてしまうと身動きがとれなくなってしまう. だから「まずは行動しなさい」とも言われる. “行動” していく中で自分の Q と P をブラッシュアップしていけばいいのだ. “行動” することは実践であり, 練習でもある.

そのための場がリバネスのインターンであり, “姿勢” も授けてもらったし, 色々な “行動” もさせてもらった. まだまだ学べることはたくさんあるとは思うのだけれど, ある程度の練習が終わったのであれば, “巣立つ” べきなのだと僕は思う.


NEXT STAGE

インターンを離れようと思った理由はいくつかある. あまり長く同じ場所にいるべきではないというもともとのスタンスであったり, 環境に変化が欲しいと思っていたこと, 大学の研究に集中したい, etc…

その中でもとりわけ大きい歩合を占めているのが, QP 探しならリバネスの外でもできると思ったから, という理由.

去年のこの時期から一年間, 決して少なくない時間をインターンに費やしてきたけど, 他にもたくさんの “行動” をしてきた. (Cartography とか HP を見て欲しい.) そうやってケーススタディをこなす中で, プロジェクトの方法論的な観点は, ある程度は身につけた. インターンの当初の目的, “未来像を描くこと” や “仲間探し” をすることなら, ほぼ達成している.

ただ, これが自分の Question で Passion はこれですというような, 根っこの部分は結局見つけられていなくて, それが非常に心苦しい. 特に, 極めて利己的で, かつ適応能力が高い自分にお似合いな Question を探すのはとても骨が折れる作業だと思う.

社会に対して何か仕掛けたい人が, 次にやり続けるべきことは明白でシンプルだ. 自分の Q と P を探すこと. そして QP 探しなら, リバネスの外でも, もうできるんじゃないかな. 考え方や姿勢といったものは, インターンの中で磨かれていったと思う. もうそろそろ, 次のステージに移るべきだ.


しばらくは大学で研究に没頭することになると思います. 僕にとって研究というのは, 自分が創りたい世界観のあくまで一つの表現方法でしかなくて, ただ最も堅実なアプローチであり, 好きな道具の一つです. (探求者って言葉で自分を表現するのはそういう意味.) いつ花開くかは全くもって知りませんが.

本当に, 本当にたくさんの方にお世話になりました. この場を借りて, お礼を申し上げたいと思います.

2017.5.28 Keisuke Okumura