メッセンジャーサービスのWechatは日本のLINEとどう違うのか(深セン滞在記③)

9月9日~13日まで滞在していた深センに関する滞在記も今回が最後。

- ハードウェアの制作を支援する環境は日中でどう違うのか(深セン滞在記①) — KENZO OKANO — Medium
→ハードウェアを製造する起業家を取り巻く環境とは?
- WechatやAlipayなどの電子決済の影響力(深セン滞在記②) — KENZO OKANO — Medium
→現金が要らない世界の先端を行く世界とは?

今回は、「メッセンジャーサービスである、WechatとLINEの使用形態に関する微妙な違い」について延べたいと思います。

公開されている情報だけで見ると、WechatとLINEの違いは以下のとおりです。


①利用者

Wechatは主に中国全土で使われており、そのMAUは2017年6月末9.6億人(YoY19.5%増)。一方LINEは、日本を中心としてタイ、台湾、インドネシアで主に使われており、そのMAUは、2017年6月末1億6900万人(微減)です。(日本単体では約7000万人)

LINEは利用者数が頭打ちしているように見えますが、Wechatはまだまだ成長しているように見えます。

中国におけるWechatの成長性を考えてみると、日本でLINEは1億2000万人中の7000万人なので60%近くの日本国民に使われています。一方中国の人口が13億人だとざっくり見積もると、13億×60% =7.8億人なので、今後頭打ちしそうな感じもしますが、それ以上に生活形態がモバイル化しているのだと思われます。

②売上

IR上で発表されている情報ではWechat単体での売上は出ていませんが、参考としてWechat Moments(LINEでいうタイムライン)、公式アカウントや他のモバイルアプリなども含む、ソーシャル広告及び他事業としての売上が、17年度Q2で約1000億円。(1 CNY = JPY 16.951円で換算、YoYで61%成長)

一方LINEは、Wechatと比較し易いように広告事業(公式アカウントやLINE@、スポンサードスタンプ、LINEポイント広告、タイムライン・LINE NEWS広告等)単体で見てみると、17年度Q2で、175億円(YoYで38.7%成長)でした。

単純にMAUの数だけ、広告に対する接触数が増えるため、広告事業の売上も増えていそうです。

③使用できる機能

Wechatはとてもシンプルです。メッセンジャーサービスに必要十分な機能を提供しています。

友達や知人とのメッセージ、タイムラインの投稿機能はもちろんのこと、以前に書いたブログにもある通り、かなり電子決済が生活に浸透していることを表すように、トップページの+ボタンにWechatPayへの導線が引かれており、メッセンジャーサービス上でQRコードを読み取って決済できるようになっています。

Wechatの主な画面一覧

一方LINEは、メッセンジャーサービスというよりも、Yahoo!Japanに近いプラットフォームサービスとして、サービスが提供されています。

下の画像にあるように、LINENewsを始め、フードデリバリー・ゲーム・マンガなど、様々な関連サービスへの導線が引かれています。

LINEの主な画面一覧

WechatはLINEのような様々な関連サービスをやっていないのかというとそういうわけではありません。上記の画像でお見せしたものは海外居住者を対象としたWechatであり、中国国内で利用できるWeixin(Wechat)とは微妙に利用できる機能が異なります。(ややこしいとは思いますが、中国国内とそれ以外でダウンロードできるアプリが微妙に違います。)

たとえば、ECサイトのJD.comやWechat Gamesの動線は、Weixinのみに提供されています。そのため、上記で利用したWechatは機能が少ない分、シンプルに感じられたのでした。詳しくはこちらをご覧下さい。

(2017/09/21追記)

こちらの動画にある通り、中国国外で利用可能な機能が限定されているためシンプルに感じただけで、中国国内で利用可能なWeixinには、Facebook、Amazon、Venmo(個人間決済)、Uber(自動車配車サービス)などで利用可能な機能が全てできるとのことでした。そして利用しているデータを全て中国政府に共有しているという何とも恐ろしい実態が報告されています。


今度は本題である実際に深センに滞在して感じた違いをお伝えします。

その違いとは、以下の2つです。

①リアルの生活隅々まで浸透している

こちらは前回のブログの中国における決済事情でも言及しましたが、かなり隅々までWechatが浸透していました。もはや存在しない世界が想像できないのではないかというぐらいでした。

例えば、お店や屋台では当然のようにWechatPayのQRコードが提示されており、現金を払おうとすると偽札じゃないかどうか確認する必要があるためちょっと店員が受け取るのを躊躇していました。

また鉄道にある看板や広告には、必ず広告主のWechatアカウントにつながるQRコードが配置され、読み取れるようになっていました。

オンラインとオフラインの世界が蜜に繋がった世界がそこにはありました。

②友達・知人と知らない人の違いが存在しない

日本でLINEを利用していると、その繋がり方としては、一部企業アカウントがあるものの、多くは友人・知人に限定されて、かなり閉じたコミュニティーように感じます。

一方中国国内でFacebookの利用が制限されていることもあり、Wechatは日本で言うLINEとFacebookを組み合わせたようなプライベートだけでなくパブリックな繋がりも構成していました。

それを感じた瞬間は、滞在中に泊まったホテルのオーナーに対して連絡を取る必要が出た際に、壁を見ると電話番号とともにWechatアカウントのIDが掲載されていたときでした。

日本で連絡を取る手段としては、多くは電話番号だけですが、モバイルのメッセンジャーサービスが地位を確立するとこうなるのだなと再確認できました。

実際に行くことで感じた違いを見つけた瞬間こそ行ったかいがあったと感じる瞬間なので、これからも実際に情報を知るだけではなく、体験するところまでできればと思いました。


こうまとめてみるとWechatのオフラインの世界に対する浸透具合に驚く結果となりました。これだけオンラインにおける人の繋がりとオフラインの世界が蜜に繋がると便利になるのだなと再認識できました。

逆に言うと、日本におけるメッセンジャーサービスの代表格であるLINEの成長もまだまだあるなと確認できた旅になりました。

中国、特に深センはアメリカやヨーロッパに比較して、経済的・時間的メリットに優れるため、ハードウェアや決済分野に興味のある人は是非一度訪問する価値は十二分にあると思います。


(参考)

- [WeChat Data: Q2 2017 Financial Report — ChoZan — Chinese Social Media Made Easy](https://chozan.co/2017/08/23/wechat-data-q2-2017-financial-report/)
- [PowerPoint 프레젠테이션](https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/library/Q2_presentation_JP.pdf)
- [中国 人民元を日本 円へ変換(CNY/JPY)](http://ja.valutafx.com/CNY-JPY.htm?amount=6.071%20billion)
- [WechatとWeixinの公式アカウントの種類&運用における注意点【Tencent Japan様取材記事第3回】 | Global Marketing Labo](https://global-marketing-labo.com/2017/08/07/120/)
- [WechatとWeixin(ウェイシン)の違い【Tencent Japan様取材記事第2回】 | Global Marketing Labo](https://global-marketing-labo.com/2017/07/24/119/)

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