LGBTを取り巻く『トイレ問題』

LGBTがトイレで困ること、とは?

こんにちは、LGBT総合研究所研究員の内野です!

本日は、LGBTのトイレに関する話題についてご紹介しようと思います。

突然トイレと言われても、と思うかもしれません。
実は、ここ数年LGBTのトイレ利用に関する問題がアメリカでは一種の社会問題のように扱われていることをご存知でしたか?

問題自体は、2016年のノースカロライナ州における「ハウスビル2」という州法が制定されたことをきっかけに勃発しました。
この「ハウスビル2」という州法の中身は、簡単に言えば「出生証明書と同一の性別のトイレの使用しか認めない」という内容です。

つまり、トランスジェンダーは自分の性自認と逆の性別のトイレを使用しなければならなくなったわけです。

その当時、アメリカではあらゆる州でトランスジェンダーの性自認に基づくトイレの使用が認め始められていました。
ノースカロライナ州の都市、シャーロットでも同様に、性自認に基づくトイレの使用を認める条例が可決されました。しかし、これを無効とするため、ノースカロライナ州が「ハウスビル2」という州法を発表したので、多くの反発を生むことになったのです。

加えて、この動きに対し、LGBTを支援する政策活動を行なってきた前オバマ政権は「違憲である」と州を提訴したため、アメリカ全土でこの問題が報道されることとなりました。

Photo via: http://www.bbc.com/japanese/36136652

このようなトランスジェンダーの性自認に基づくトイレの使用を制限しよう、とする言い分には「幼児性愛者や性犯罪者、変質者も、女性や子供たちがトイレを使っているところを自由に覗けるようになってしまう」というものがあります。

しかし、AP通信が見積もった金額では、この差別的法案により今後12年間で37億ドルもの経済的損失をこうむる可能性があるとされています。
なぜなら多くのLGBT支援を表明するミュージシャンが、同州でのコンサートをキャンセル、インターネット決済サービスPaypalも新施設の建設を中止したことなどが理由です。

その後、当時の知事は選挙に敗れたものの、ノースカロライナ州は依然として、性自認に基づくトイレの使用を全面的に認めていません。

以上のように、アメリカでは全国的な議論を呼ぶ問題になったわけですが、日本ではどうでしょうか?

アメリカほど大きな議題には上がっていませんが、日本でもいくつかの企業や自治体、教育機関がトランスジェンダーのトイレ利用問題に取り組み始めています。

いくつかの取り組み事例をご紹介しましょう。

大阪市

2017年2月より「トランスジェンダーが入りやすいトイレの普及」への取り組みを開始。
市に含まれる全24区のうち、13区が区役所のトイレ入り口にレインボーが描かれたステッカーを貼っている。それ以外の国でも、「どなたでもご利用いただけます」の文言が書かれている。

豊川市

市内36の小中学校を対象に、LGBTの児童や生徒を含めた全ての人が使いやすいトイレの整備を開始。トイレは「みんなのトイレ」と名付けられ、すべての学校に最低でも1つは設置する方針を示している。
トイレは同じ入り口から入る構造になっているため、廊下からは男女どちらのトイレに入ったのか分かりづらくしている工夫をしている。

京都精華大学

LGBTトイレ利用者への配慮の一環として、学内の多目的トイレのデザインを変更。車椅子のデザインの横に、スカートかズボンのどちらを履いているか分からない人のイラストを加え、「みんなのトイレ」に名称を変更。イラストの下には「ALL GENDER」の文字も記載されている。
大学では2016年の3月からLGBTに対する改革に乗り出しており、学生簿の性別・氏名の変更を許可したり、教職員の配偶者にも同性パートナーを含めている。

具体的に、自身の性自認に合わせたトイレ利用を認めるまでには至っていませんが、多目的トイレにLGBTのシンボルであるレインボーをあしらったり、多目的トイレの数自体を増やすなどの活動を行なっています。

国内企業ベースで、LGBT層に聞いたトランスジェンダーに関係する施策実施認知率を確認してみましょう。

出典:LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2016」2016年5月実施

このように、全体としても認知率は低く、今後(も)あったらいいと思うと答えている割合は2倍近くになっています。
以上から、国内においてLGBT当事者の施策実施に対するニーズが満たされていないことが分かります。

このトイレの問題はトランスジェンダーに限ったものに見えがちですが、ゲイ・レズビアン・バイセクシャルをオープンにしている人にとっても非LGBTの使用者に嫌がられていないかと、気にしてしまうという声を耳にすることがあります。
そのような、同性愛者の人にとっても多目的トイレの数が増えることや、LGBTフレンドリーであることを示す表記は良い効果を生む可能性が十分に考えられるのではないでしょうか。

ぜひ、これからもっとLGBT当事者の気持ちに寄り添った施策が増えて行き、非LGBTの人にも問題自体が広く認知されるようになることが望まれます。


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