子どもが学校に行く本当の理由

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近年、オンライン学習の台頭により、素晴らしい学習コンテンツをいつでも・どこでも・何度でも受けられるようになった。Youtubeを使って学習をする。SchooQuipper, Khan Academyなどのオンライン学習サービスを使って学習する。など無料でも品質の高い教材にアクセスできるようになった。こんな便利な時代であるのに、学生はなぜ今でも学校に行くのか。学校の授業形態は、担任の先生の力量に完全依存する属人性のモデルである。周りを見渡せば、世界トップクラスの先生による授業が自宅でも受けられる状況で、なぜ人々は未だに近所の学区内にある学校に通うのか。今回は、オンライン学習と学校教育を比較し、子どもが学校に行く本当の理由を明らかにしたい。

http://jp.techcrunch.com/2017/01/17/httpstechcrunch-com20170113mooc-enrollment-drops-at-harvardx-and-mitx-after-free-certifications-disappear/

数日前Techcrunchでこんな興味深い記事を読んだ。内容は、MITとHarvardのMOOCs受講生が昨年比で半数近く減っているということである。原因については、2016年のはじめに修了証を有料化したことだと言われている。世界でも名のしれた教授による映像授業を兼ね揃えたMOOCsであり、世界でも有数の大学であるMITとHarvardをもってしてもである。

まずなぜMOOCsの受講生が急激に減ってしまったのか原因を明らかにするために、一度映像授業の特徴を以下に述べる。

  • 最高の先生による授業が受けられる
  • インターネット環境さえあればいつでも、どこでも授業が受けられる
  • わからなくても繰り返し同じ授業を受けられる

これらは学習ツールとしては、世界で最も優れていると言えるだろう。最高の授業を好きなだけ受けられる。それでも映像授業を受けないのはなぜか。それは、モチベーションの要因のところが大きい。モチベーションの維持と考えた時に、映像教育が必ずしも適切でないと考えられる要因は以下である。

  • 映像授業の学習形態
  • 対人がもたらす影響が絶大

モチベーションが続かない

MOOCs及び映像授業は、モチベーションが持続しない点について最大の課題であると様々な見解がメディアでされてきた。モチベーションが持続しない理由は2つある。

  • 強いインセンティブの欠如
  • 強制力がない

最初の強いインセンティブの欠如に関しては、今回のMOOCsの受講生が減少した原因の一つと言える。修了証を有料化としたことで、何のためにMOOCsを受けるのか、という動機を失ってしまった。人が学習をする上では、目標が必要だ。「○○点を取る」「〜の資格を取る」など最終的な目標を立て、それに向かって学習をするためモチベーションが何とか維持できる。

次に、強制力がないことについてを述べるとすれば、実は映像授業やオンライン学習は「いつでも」、「どこでも」学習できることを謳っているが、実は「いつでもない」、「どこでもない」、とも言えてしまう。オンライン上の学習ツールは物理的な実体そのものや、制限がないから、何もないのと一緒になる場合がある。例えば、明日の10時から202の教室で授業があるから、疲労困憊状態で授業受けたくないけど行かなければならないという状況がある。一方で映像授業の場合はこのような状態の時にあえて映像授業をする生徒はほとんどいないだろう。いつでも受けられると思い、後回しにする。結局、その日は受けずに明日、明後日、明々後日、、、と受けなくなってゆく。このように強制力が全くないため、自己管理がきっちりとしている生徒でない限り、コツコツと積み上げることは難しい。ある意味通信教育で毎月届くテキストがたまっていく状態と似ているかもしれない。

「強いインセンティブがない」から学習しない。「強制力がない」から学習しない。これらがモチベーション維持を困難にしている要因である。

対人がもたらす影響が絶大

また、対人での教育スタイルが生徒の学習モチベーションの維持に多大な影響を及ぼしている。学校教育において対人関係が存在するのは「生徒対先生」と「生徒対生徒」の二つである。いずれの対人関係も学習のモチベーションに起因している。

学校教育は、対人(生徒と先生)での学習スタイルである。先生は、生徒の表情、態度など数値では計れないところに気を配ることができる。集中力が切れている生徒に対して、100問ドリルのような課題を出しても学習効果は薄い。適切なタイミングで適切な指導をし、モチベーションの低下を防ぐことが可能なのは対人ならではだ。また生徒も先生がこんなに一生懸命教えてくれるから、先生に褒められたいから。頑張るという道徳的な感情も芽生えてくる。

「生徒対生徒」に目を向けると生徒間でのコンペティションは発生する。あの人ができているのに、私ができないのは悔しいやあの人よりも今回はできたから次も維持しよう、などといった感情はコミュニティ学習ならではの特徴である。

一方で映像授業は生徒一人のみの授業形態である。常に1(生徒)対画面という授業構成であり、一人授業であれば、上記にあるようなコンペティションや道徳的感情は一切なくストイックかつ淡々と授業をこなしていく。対峙する相手は常に自分である。自分に対し弱さや甘さがあれば、続けて学習することはない。これが映像授業の実態である。

まとめ

なぜ子供は学校に行くのか。その理由は一種の強制力であると考える。与えられた環境で、与えられた場所と時間で、与えられたことを学習する。友達と切磋琢磨し、互いに高めあっていく「コンペティション」要素と必要に応じて先生がフォローアップをする「道徳的感情」要素が生徒のモチベーションを高め、継続的な学習を実現している。そして今もなお、子供がMOOCsを採用せず、学校に行くのであろう。

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