No UIはデザインを進化させる新しい概念

Takumi Kai
6 min readDec 2, 2015

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Next Big ThingsとTech Crunchでも記事が書かれた「No UI」という概念が最近話題になっている気がします。

No UIとは「スクリーン(UI)の情報量や設計に頼らず、目的を達成すること」を軸にしたサービス体験を意味します。

流れの主流としては、テキストメッセージを使ったものが多いです。Operatorというショッピングサービスは、商品の検索機能や、オススメの商品が並ぶトップページ、カテゴリ別のナビゲーションなどは全くありません。

”オペレーターに”テキストメッセージで自分が求める商品の特徴を送ることで、その要件に合ったものを返信して教えてくれるというものです。

「メッセンジャーバッグ探してるんだよね」というやりとりから、商品を教えてくれる。(http://operator.com/)

スクリーンで四苦八苦するデザイナーの苦労

Operatorのようなサービスの場合、ユーザーの要望を臨機応変に対応できるのでスクリーン上の複雑なケースを意識したデザイン設計が要りません。
が、現在、UIに関わるデザイナーは日々あらゆるユーザーの要望に応えるためにUIを工夫することに頭をフル転して悩んでいます。

例えばファッションECサイトを例にとってみましょう。ECサイトでは、ユーザーが欲しい商品がある画面まで、いかに早く、わかりやすく、誘導できるか。が、1つのキーになります。

ただファッションといっても、「トップス、ボトムス、アクセサリー・・・」など多様です。専門店でない限り、人によって探しているものは様々です。

そのために、例えば「ナビゲーションUI」が開発されました。
ECサイトでは常にカテゴリが並ぶナビーゲーション(だいたい左や上部)を表示することで、ユーザーのニーズに答え探しやすさを担保しています。
また、ナビゲーションの順序は、必要な頻度が高いと思われるもの(トップス、ボトムス)から順に並んでいることが常です。これも最短でニーズに合致する文字情報にユーザーを出会わせるためです。

カテゴリーも「大→中→小」といった分類があり、ニーズに従ってより早くフィルターを掛けるために、階層を表現するUI表現も試行錯誤されてきました。

zozotownのトップ。左にナビゲーション。ホバーすると階層が表れる。セール中だと、セールを訴求する情報も同時に表示される・・・・。

このように、スクリーンの中で誰もが迷わず、あらゆる目的を達成する情報の形を試行錯誤するのがデザイナーの役目です。

スマートフォンが普及し、表示できる情報量が少なくな現代では、今まで以上にUIを考える価値が高まっています。
デザイナーは、時にユーザーにインタビューしニーズや課題を拾い上げ、プロトタイプを作り素早くイメージできる製品触れ、スクラップビルドを繰り返し、日々スクリーン体験の向上に努めているはずです。

スクリーンで工夫するのは時代遅れ?

しかし、No UIの世界だとこれが一変します。例えばテキストメッセージを使うだけで、条件に合った情報を提供できます。ややこしいスクリーンの設計は要りません。

例えばたぶんこんな感じ。

筆者(20代男性):
「黒いジャケットで、サイズが170cmのメンズに合うものが欲しいなあ。候補を出してくれない?あ、大人っぽく見せたいから丈はロングのものでお願い!」

NoUIサービスのオペレータ(AI):
「わかったよ。ちょっと待っててね。」


NoUIサービスのオペレータ(AI):
「こんな感じ?値段とか絞ろうか?」
↓↓↓↓

zozotownから

これで終わりです。一覧を見て気に入らなければ、もう1度違う条件で尋ねれば良いですね。

下手すると条件バッチリの商品をその場で紹介してくれるかもしれません。または、いろんなサイトから総合的に好みまで分析して一覧を出してくれるかもしれません。
(もっと進むと気づいたら佐◯の方がドアの前で待ってるかも・・・)

ちなみに、上のやりとりの条件をzozotown上で探すとこんな感じになります。動線の若干の戸惑いもあり、30秒ぐらいはかかったでしょうか。(zozotownはネットショップだと1番見てます)

[GIF] zozotownで黒いロング丈のジャケット探してみた。170cm指定するの気づきませんでした。(あるんだ。すごい)

UIデザイナーは必要なくなる?

この手の話をこういう話になりますが、極端に必要なくなることはないんじゃないかなと思います。

今想像できる範囲でも商品一覧だったり、商品ページは必要です。
が、圧倒的に量や役割が減ると思います。良い意味でデザインにフォーカスされるのではないかなと。
ただ、今の日本の流れだと「デザイナー」という肩書きで話をするのはきつい領域な気がします・・・。プロダクトオーナーだと思うのです。
(この話は別途書きたいと思います)

ビジュアルの使い方を考えさせるトレンド

デジタルに関わるデザイナーとしては次から次へと概念が変化することに焦りを感じたりします。しかし、テクノロジーは人のためにあると考えると、スクリーンに縛られる時間を減らし、より人にフォーカスできるようになればハッピーなことはありません。

逆に複雑なナビゲーションが使い手を迷わせることが多い気がするな。と、書いていて思うことがいくつもありました。

ちなみに、ここに出ているメッセージ形式はGoogleが強そうですよね。検索ってNoUIに考え方近いですし、GoogleNowのボイス形式はかなり概念が似てますよね。
年末なので枠に捉われない話を様々な職種の方としてみたいです。

では。今回はこの辺で。

また会おう!

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Takumi Kai

Product Designer at NewsPicks,inc. Living in Tokyo, Japan.