組込み機器向けHMI/GUIツール調査(2017.10時点)

Munehisa Ito
Mune’s diary
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24 min readMay 17, 2017

主に、ARMチップ上で動作する、Linuxでサポートされている組込み向けHMI/GUIツールを調査してみました。主にスペックの高いブラウザに近いツールを中心に挙げています。情報は外部公開されている情報のみで構成しています。

Igalia イガリア

スペインのガリシア州ア・コルーニャ(A Coruña)にあるオープンソース開発・コンサルティングの会社。50名超のメンバーが本社および世界中で働いている。アジアでは韓国に開発メンバーがいる。

強い領域はホームページに次のように記載されている。

  1. ブラウザとクライアントサイドウェブテクノロジー

Webkit, WPE, Chromium/Blink, Firefox

  1. グラフィックパイプラインとレンダリング技術

Toolkits and APIs like Mesa, OpenGL, GTK+, EFL, Qt, Clutter/Cogl and Wayland

  1. コンパイラと仮想マシン
  2. マルチメディア
  3. ネットワーキング
  4. Linuxカーネル
  5. ビジュアリゼーションとクラウド
  6. アクセシビリティツールと技術

Igaliaはルネサスの支援を受けて、ChromiumをR-Car M3 とAGL/Wayland上で開発したということでである。AGLのディストリビューションに含む計画と記載されている。

Chromium on R-Car M3 & AGL/Wayland (2016年12月)

As my fellow igalian Antonio Gomes explained on his blog, we have recenly been working on making the master branch of Chromium run on Linux Desktop using the upstream Ozone/Wayland backend. This effort is supported by Renesas and they were interested to rely on these recent developments to showcase Chromium running on the latest generation of their R-Car systems-on-chip for automotive applications. Ideally, they were willing to see this happening for the Automotive Grade Linux distribution.

動画でR-Car M3上のAGL上でChromiumが動作する様子が公開されている

具体的な開発内容について詳しくは彼らのブログに記載されている。 この中に、

私たちの主要なゴールは、ChromeをネイティブでWaylandベースの環境下においてGPUプロセスを有効にしてハードウェアアクセラレーションを効かせた状態で動作させることです

さらに、Googleの開発者とコンタクトを取り、進めているとある。

R-Car M3のサポートはすでにAGLおよびAGL Instructions for R-Car M2開発ブランチ上で公開されています。Chromium向けOpenEmbedded/Yocto BSPレイヤーもありますが、残念ながらWaylandはm48上でのみサポートされており(IntelのフォークからOzoneのバックエンドを利用して)、X11はm52までのサポートです。そのため、(現在はプライベートな)メタブラウザのフォークを開発しました ・最新バージョンのChromiumを利用し、特にIgaliaが開発してきたLinux/Ozone/Mash/Waylandのサポートを行ってきた ・非推奨のGYPビルドシステムではなく新しいGNビルドシステムを使う ・ARM32だけではなくARM64アーキテクチャをサポートする

等記載がある。

また、別の技術だが、Web Platform for Embedded(WPE)というWebKit移植版を開発しているようである。

WPEは組み込み環境に最適化した新しいWebkitポートで、Wayland, X11や他のネイティグインプリメンテーションなどのさまざまなディスプレイプロトコルをサポートしています。以前WebKitForWaylandと呼ばれていたものです

とある。Githubにレポジトリがある。

CES2017で公開された IgaliaによるChromiumデモのGithubディレクトリ. https://github.com/Igalia/ces-demos-2017

上記以外にも、オープンソースやブラウザ関連について幅広い活動を実施しているようである(2017年9月ブログ)。

http://frederic-wang.fr/review-of-igalia-s-web-platform-activities-H1-2017.html

QNX

QNXは商用のリアルタイムUnixであり、主に組み込みシステム向けに販売されている。元々はカナダの企業QNXソフトウェアシステムズが開発していたが、同社は後にリサーチ・イン・モーション(現ブラックベリー)が取得した。

QNXは車載向けにHTML5対応ブラウザをSDKに搭載(2012年) 最近は特に自動車業界向けに力を入れている

QNX HTML5ブラウザはWebkitベース

The browser engine is based on the WebKit and supports features such as canvas, WebSocket, Document Object Model (DOM) improvements, session storage, offline apps, worker threads, and WebGL.

日本ではHTML5 Conference 2015で講演されている(2015年)

CarPlay, Android Autoの登場、ドライバ支援システム(ADAS)、そして将来の自動運転に向けて、大きく変動する車載情報機器を概観し、この動きに対応するQNXのプラットフォームソリューションを説明します。また、HTML5の果たすべき役割を提案すると同時に、後半ではQNXのHTML5 SDKによる開発実例を、実機上での動作を含めてお見せしたいと思います。

講演中、中鉢さんは、「2年前くらいまで自動車でHTML5という話が盛り上がったが、今は落ち着いている。QNXとしては自社HTML5ブラウザだけではなく、Qtやネイティブブラウザなどいくつかのブラウザをミックスした使い方が中心になるのではないかと推定している」と発言。

Apache CORDOVAをアプリケーションフレームワークとして活用し、ブラウザがネイティブAPIと接続する仕組みも提供している。しかし、CORDOVAによりパッケージ化する作業が必要になるなど、HTMLの利点が活かしにくい点も見られる

QNXソフトウェアシステムズ株式会社の中鉢さんは2012年に自社セミナーで講演をしている 中鉢善樹 ビジネス デベロップメント マネージャ (アジア太平洋地区自動車分野担当)

To write Qt apps for QNX devices, you need to install Qt version 5.3.1 and Qt Creator version 3.2.1 onto your development system. Before you can install the Qt tools, your system must have these platform installations: QNX SDP 6.6, QNX SDK for Apps and Media 1.1 With this platform support, you can configure and start using these Qt development tools: Qt runtime Our Qt runtime package is based on Qt version 5.3.1 and contains a version of the build tools (e.g., qmake, qcc) adapted to generate binary and library files for QNX Neutrino RTOS. Qt Creator This IDE lets you manage projects for Qt applications, edit C++ and QML source files, and add project resources such as images. This release officially supports version 3.2.1 of Qt Creator, which you must configure to use the build tools in the installed Qt runtime package.

QNXは自動車だけではなく医療機器にも力を入れている

QNX® OS for Medical 1.1は、医療機器用ソフトウエアの開発と保守に関する安全規格であるIEC 62304(医療機器ソフトウエア — ソフトウエア ライフ サイクル プロセス)に準拠しています。安全性が不可欠で、規制に基づく承認のために厳格な審査を受けなければならない手術支援ロボット、患者モニタリングシステム、輸液ポンプ、血液分析システムをはじめとする医療機器の開発にあたって、メーカーが開発コストを軽減できるように設計されています。

Qtフレームワーク、HTML5、OpenGL ES、Crank Storyboard、動画などのソースで作成されたアプリケーションやコンポーネントをブレンドできるフレキシブルなユーザー インターフェイス技術

Qt

Qt(キュート)はC++言語で書かれたアプリケーション・ユーザインタフェース (UI) フレームワークである。ディジアの一部門Qtデベロップメントフレームワークスによって開発されている。

特徴はMONOistの記事にわかりやすく説明されている

Qtの採用が進むMFPでは、クラウド上にあるデータをHTML5で表示させたいといったニーズもあるという。こうした先進的な活用例は、今後カーナビを始め、他の組み込み機器でも増えていくものと考えられる。WebKit統合/HTML5対応しているQtであればこうした要求を容易に実現できるわけだ。

ライセンス形態は開発車ライセンス、プラットフォームライセンス、ランタイムライセンスの3種類

Qtライセンスは商用版、LGPL、GPLの3種類がある。LGPL/GPLから商用版に移行はできない 商用版

  • ソースコードを公開しない商用ソフトウェアを開発することができます。
  • 配布形態に応じてライセンスを自由に選択することができます (商用、LGPL、GPL、これらの組み合わせ)
  • ライセンスは特定の個人に対して与えられ、6ヶ月に一度だけ、同じ組織内に限定してライセンスを委譲することができます。(ライセンスの委譲には手続きが必要です)
  • 開発者に与えられるライセンスです。
  • 開発機器の使用台数毎にライセンスは必要ありません。
  • 開発ライセンスとは別に、組込み機器にはランタイムライセンスが必要となります。
  • 一部を除き、デスクトップ向け製品には、開発したソフトウェアを配布する際のランタイムライセンスは必要ありません。
  • ランタイムライセンスの詳しい内容についてはお問い合わせください。

LGPL版

  • Qt 4.5 以降のバージョンでのみ LGPL でも使用でき、4.5 より前のバージョンには LGPL は適用されません。
  • Qt LGPL 版を使用していることを明記する必要があります。
  • Qt LGPL 版のソースコードの配布を求められた際に、配布を行う義務があります。
  • Qt LGPL 版に手を加えた場合には、手を加えた部分のソースコードの公開が必要です。
  • Qt LGPL 版をスタティックリンクした際には、独自開発部分のソースコードを配布するか、独自開発部分のオブジェクトを配布する必要があります。
  • Qt LGPL 版を使用して作成したアプリケーションのライセンスに、リバースエンジニアリングを禁止する条項を入れてはなりません。
  • 同一プロジェクト内で、Qt 商用版を使用する開発者がいる場合に、他の開発者が Qt LGPL/GPL 版のみを使用することはできません。Qt を使用して作成されたソースコードに共通部分がある場合に、同一プロジェクトとみなされます。
  • Qt LGPL 版で開発をした後に、Qt 商用版に移ることはできません

GPL版

  • Qt GPL 版により開発されたソフトウェアは、GPL に基づき配布しなければいけません。 その場合、ソフトウェアのソースコードも無料で公表する必要があり、いかなる人がいかなる目的で再利用、再配布しようとも制限をつけることはできません。
  • 同一プロジェクト内で、Qt 商用版を使用する開発者がいる場合に、他の開発者が Qt LGPL/GPL 版のみを使用することはできません。Qt を使用して作成されたコードに共通部分がある場合に、同一プロジェクトとみなされます。
  • Qt GPL 版で開発をした後に、Qt 商用版に移ることはできません

Qt5.4からはChromium Webエンジンにも対応

Web開発に注力されており、バージョン5.3で導入された「Qt WebSockets」に加えて、5.4ではChromium Webエンジンベースの「Qt WebEngine」と、QML/C++とHTML/JavaScriptの橋渡しとなる「Qt WebChannel」の2つのモジュールが加わった。

2017年2月にQt5.8をリリース

実際に、機能進化が著しい車載情報機器のUI開発では、Qtに対する期待の声は大きい。その理由についてノール氏は「複雑化するUIを開発する上で、HTML5が候補に挙がったが性能を出しにくいという課題があった。これに対して、ノキアがタッチ操作に基づくユーザー体験の向上に注力して開発が進められたQtは、動作の早いUIを簡単に作れる上に、アニメーションや、3DのためのOpenGLも使えた。だから選ばれたのではないか」と述べる。

日本ではSRAとアイエスビー(ISB)が代理店をしている アイエスビーのQt紹介ページ

Crank Software

Crank Software Inc.は、組込みグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) ソリューションのイノベータです。Crank Softwareの製品およびサービスを使用することで、R&DチームやUI設計者は迅速にコラボレーションしながら、リソース制限のある組込みデバイス向けに豊かで動的なユーザ・インタフェースを開発することができます。カナダ、オタワの企業。

Storyboard Browser

Storyboard Browserは、Storyboard Suite用のWebkitベースのエクステンション(拡張機能)で、Storyboardアプリケーション内でHTML5コンテンツを直接レンダリングできるようにします。 オペレーティング・システム:Linux — Ubuntu,QNX — Neutrino

Storyboard Suite

Crank Storyboard Suiteは、UIを迅速に開発して組込みターゲットへ簡単に組み込める環境をソフトウェア開発者やUI設計者に提供します。 **オペレーティング・システム:**Linux — その他,QNX — Neutrino,SeggerRTOS,Yocto,FreeRTOS/SafeRTOS,Green Hills — Integrity,Linux — Ubuntu,Micrium,Microsoft,Linux,Android

NXPのパートナーでもある http://www.nxp.com/webapp/connect/displayPartnerProfile.sp?partnerId=1-BFZK-3&lang_cd=ja ただ、地域はアメリカのみのようである

Crank Software Storyboard Suite at Embedded World 動画による紹介

日本の代理店は見つけられなかった

Opera

Opera(オペラ)は、ノルウェーソフトウェア開発会社、オペラ・ソフトウェア (Opera Software ASA) によって製作されているウェブブラウザである。Operaは2016年奇虎360に6億アメリカドルで売却された。

クルマで「Opera」? カーナビのUIがWebブラウザベースになる(2012)

車載情報機器のUIを、全てWebブラウザベースで実現できると意気込むのが、Webブラウザ「Opera」で知られるOpera Softwareだ。Ford Motor(フォード)のピックアップトラック向け車載情報機器「Ford Work Solutions」に採用された実績を基に、カーナビの有力メーカーがひしめく日本市場での採用を目指している。

Operaは、PC向けであれ、モバイル機器向けであれ、そして車載情報機器向けであれ、同一のレンダリングエンジン「Presto」をベースにしている。いわゆるクロスプラットフォームになっているので、ある機器向けに開発したUIやアプリケーションを他の機器でも利用できるのだ。現在のPrestoは、最新のHTML5、CSS3、WebGLにも対応しており、ARM、x86、MIPSの命令セットに対応したJavaScriptのJITコンパイラも搭載している。つまり、Operaを使えば、PC向けのWebブラウザなどで実現されている、HTML5ベースのアプリケーションや、WebGLベースの高解像3Dグラフィックスを利用できるわけだ。Hernes氏は、「HTML5やWebGLにより、カーナビのUIをよりダイナミックで魅力的なものに作り替えられる」と強調する。

この後、OperaのエンジンはPrestoからWebkit, Blinkと変更になっているはずだが、車載等組込み機器でどう対応するのかは不明

フォードのFord Work Solutionsに採用(2009年)

Opera Softwareは4月2日、Fordのトラックやバンの車載システムにOperaブラウザが採用されたことを明らかにした。 対象車種はFordのF-150、Super Duty、E-Series、Transit Connect。車載システムのOperaブラウザから、営業情報や住所録、在庫リスト、予定表、電子メールなどの情報やアプリケーションにアクセスできるようになる。 車載システム「Ford Work Solutions」はダッシュボードに組み込まれ、6.5インチのタッチスクリーン、4Gバイトメモリ、インターネット接続機能、SDカードスロット、USBポート、ワイヤレスキーボード・マウスなどが搭載されている。

Gecko Embedded(Firefox)

Mozilla Corporationが開発するウェブブラウザ”Firefox”を組み込みで活用する取り組み。Mozilla Japanが中心となり Project Gecko Embeddedというコミュニティで推進されている。ルネサスRZ/GシリーズおよびYocto Linuxで動作するソースコードがGithubで公開されている。デモコンテンツも公開されている。このプロジェクトにはFirefoxという名称は使われておらず、Firefoxのレンダリングエンジンの名称”Gecko”が使われている。

プロジェクトの内容はSlideshareに公開されている。

https://www.slideshare.net/dynamis/project-gecko-embedded

なお、Mozilla Japanは2017年6月より社名を変更し、WebDino Japanとなった。上記組み込み系ブラウザの開発については、株式会社クリアコードが引き続き実施している。

https://www.clear-code.com/blog/2017/7/6.html

Elektrobit (EB)

自動車業界向けの組み込みソフトウェア・ソリューションおよびサービスの国際的なサプライヤ企業。ドイツ企業。

EB GUIDEは車載向けHMIソリューション。GUIのオーサリングツールからターゲット実装まで幅広くサポートするソフトウェアツール。

EBはルネサスと協業しています エレクトロビット(EB)社とルネサスが次世代ハイエンドインフォテイメントシステム向け開発プラットフォームを提供

EB社との協業により、自動車メーカーは、ハイエンドのルネサスのSoCをEB GUIDE GTFと組み合わせることでクラスタ(注2)からインフォテイメントシステムやナビゲーションなどのHMIプラットフォームにおけるプロトタイピング作成を行うことも可能となります。

EB GUIDE 5 動作デモ(2011)

AUTOSARベースで動作するほか、様々なプラットフォーム上で動作する。たとえばNXP上でも動作 Elektrobit Automotive: NXP Proven パートナー

EB GUIDEは、モデリングや仕様、迅速なプロトタイプ作成、シミュレーションからターゲットの実装まで、インテリジェントなマルチモードHMI製品の開発において強力なツールチェーンとなります。 オペレーティング・システム:AUTOSAR

EB JapanはHMI設計体験セミナーを開催している EB GUIDEによるHMI開発プロセスの進め方セミナー(2017年4–6月)

HMI開発のプロセスの新たな進め方(仕様書、シミュレーション、プロトタイピング、実機組込み)、テスト環境構築の可能性(モデルベーステストに向けて)/EB GUIDE Studio/GTF/STFの概要/欧州事例/デモ/HMI設計開発体験 対象者:ナビ、オーディオ、クラスタパネルにおけるHMI開発で、EB製品のご利用を検討されている技術管理者(プロジェクトマネージャや部門長など)の方

日本ではイーソル株式会社がパートナーとなっている。 http://www.esol.co.jp/partner.html

Netfront Browser NX

株式会社ACCESSが開発するWebkit対応ブラウザ。

WebKit 関連サポート機能

HTML5対応

WebKitベースとすることで、HTML5やクラウドサービスといった最先端のWeb技術にも対応しリッチなWebコンテンツもすばやく、パワフルに再現します。また、パソコン等で広く使われているブラウザと互換性を保っているためいつもパソコンで閲覧しているコンテンツを組込み機器でも同様に楽しむことができます。

メモリ管理機能の充実、メモリ使用効率化と安定化を実現

  • 世界最小クラスのメモリ容量での動作を実現 省メモリ環境において、メモリ不足発生時にブラウザエンジンを再起動してシステムへの影響を最小限にとどめる機能を備ることで、より高い安定性を確保
  • JITを利用することで、使用するメモリサイズを調整し、高安定性・高性能の両立を実現
  • デバッグ機能の充実 WebInspectorで実機上のコンテンツを手元のPCから操作することが可能となり、コンテンツの問題の切り分けを容易に実現

ACCESS 独自の拡張機能

  • 多点タッチジェスチャーによるコンテンツ操作(ハードウェアの対応が必要です)
  • Wayland/Weston標準対応
  • SDK提供対応

ACCESSはWebkitベースブラウザを使って、車載分野に力を入れている WebブラウザからHTML5プラットフォームへ――「NetFront」が目指す将来像(2012)

NetFront Browser NXをHTML5プラットフォームとして浸透させていく上で、石黒氏が最も期待しているのが車載情報機器市場である。従来のカーナビ以上に果たす役割が大きくなっている車載情報機器に対して、多くの大手自動車メーカーがHTML5を活用する方針を打ち出しているからだ。

Netfront Browser NXデモ(2013) NetFront™ Browser NX — Webkit-based HTML5 browser demo for CES 2013

GEAL

GEAL(ジール)は、アイティアクセス株式会社が開発するGUI統合開発環境。WindowsのデザインツールとGUIコンポーネントで構成されている。

特徴

各種コンポーネントをデザインツールで視覚的にレイアウト、機能定義し、ユーザーアプリケーションと結合する事で、自由度の高いGUIアプリケーションを実現します。 C言語ベースによる「組み込み開発を意識した」構造になっており、既存のプログラム開発環境への導入が極めてスムーズに行えます。 また、組込み製品向けに必須の「高速、コンパクト」を実現した上で、ユーザーのオリジナリティを引き出すカスタマイズ機能、またアプリケーションの再利用性を考慮したプログラマフレンドリーなツールとして、開発効率の向上に大きく寄与します。

アイティアクセス株式会社は株式会社ACCESSと半導体商社株式会社イノテックの出資を受けた会社(リンク)。

GENWARE3/4

株式会社アイ・エル・シー(ILC)が開発する 組込みGUI統合開発環境。

ルネサスの自動車関連ツールとして紹介されている組込みGUIツール ルネサス自動車開発環境

同社は組込みGUI分野とソフトPLC分野では日本でのシェアは高いとのデータ(少しデータは古い)

『制御』『GUI』『HMI』『通信』4つの技術をコアに、あらゆる組込み機器に組込まれる自社製ソフトウェアパッケージの開発と販売をしています。当社の商品は、FA、医療、車載、マイコン、情報家電分野など多くのお客様に評価いただき、組込みGUI開発環境およびソフトPLCは国内シェア50%以上とトップクラスを誇ります。(※) (※)組込みGUI開発ツールの54%弱(2009年富士経済推定)、 ソフトウェアPLC「INTALOGIC」59.3%(2011年富士経済推定)

開発期間の短縮実現を標榜している

ルネサスイーストンが車載インパネ開発のツールの一つとして紹介(2014)

なお、このCIS/HMI開発ソリューションでは、「GUIミドルウェア=Genware3」はデジタルメーターやエアコン設定、バックビューモニタ画面の用途で利用されており、「HTML5対応ブラウザ=Netfront Browser NX」はテレマティクス、コンテンツ表示、自宅情報表示で利用される想定となっている

CIS = Car Information System

参考資料

国内のエンベデッドシステム市場(2014年データ、2016年は予測):富士経済

2013年 2016年予測 2013年比 プロセッサ 5,100億円 6,177億円 121.1% システムモジュール 648億円 826億円 127.5% OS 98億円 126億円 128.6% ミドルウェア 225億円 281億円 124.9% 開発環境/ツール 407億円 535億円 131.4% 合 計 6,478億円 7,945億円 122.6%

OSでは、ネットワーク化の進展でセキュリティ性や安定性、信頼性が求められ、特にRTOS(Real-time operating system)や組込みLinuxで機能強化が進められている。

ミドルウェアはブラウザ、音声合成/認識、文字・画像認識がモバイル機器や車載機器(カーナビやオーディオなど情報系)関連向けで、組込みデータベースがOA・業務用関連やリテール関連向けで、TCP/IP関連がセキュリティ関連向けで高い実績がある。2016年もその傾向に大きな変化はないが、業務/産業分野で実績がある組込みデータベースやTCP/IP関連、また、カーナビや自動車関連向けで実績がある音声合成/認識は特に採用が拡大すると予想される。

開発環境/ツールは、解析ツール、モデル開発ツール、シミュレーションでの採用が多く、主に自動車関連の開発に使われており、今後も市場拡大が予想される。

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Munehisa Ito
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Publica, Tech Startup, Craftbeer, Cooking, Kiyosumi-Shirakawa