自分で作り上げた「完璧」というフィクションを自分自身でかなぐり捨てる勇気

近頃は仕事を完璧に仕上げることが難しいと思うようになってきている。自分で決めた「完璧」というルールを守るには更に2、3時間追加的に労働しなければならなかったのだが、肉体的にも精神的にももうこれ以上は無理、という気持ちが大きくなって帰宅してきた。どうせ「完璧」に仕上げたとしてもそれは本当の意味での完璧とは程遠く、あらゆる箇所でミスをしているというのが現実だ。自分で作り上げた「完璧」というフィクションを自分自身でかなぐり捨てる勇気を持つようになった、と言えば聞こえがいいのかな。そういうことだ。

と、このような自己弁護、言い訳はこれくらいにしておいて、もっと具体的に今日何があったかを話そうか。時計が17時を回っても当然のことながら「完璧」には程遠く、つまり「仕事が終わらない」という状況に追い込まれていた。上司が残りの仕事の半分を引き受けてくれたのだが、それに頼りきるつもりは毛頭なく、上司が済ませた分も最終的には自分で引き取って全部自分でやるつもりだった。そうしなければ気が済まない自分がいた。しかし上司が帰った後、AG氏が事務室に入ってきて「会議室に業者が持ってきた弁当が山積みになっているから一つ貰ってきたらどうか」と提案してきたので誘惑に負けた僕はそろそろと会議室に向かって歩き出してしまった。

会議室は講習会のようなものが行われており、パワーポイントを使ったプレゼンの最中だったが、僕はAG氏が人をハメるような人ではないと分かっていたので無言のまま会議室に入っていって無造作に弁当を一つ引っ掴んでからさっと会議室を出た。幸い誰も気づかなかったようだ(そう願いたい)。会議室から事務室へ戻る途中AG氏と擦れ違ったので、本当に貰ってきて良かったのか確認した。

さて自分の席に戻ってから開けてびっくり、佐和田にある浦島というレストランの弁当で刺身まで入っていた。美味すぎる。仕事を忘れてばくばくと貪り食う。それからしばらくして再びAG氏が事務室に入ってきて第1次世界大戦の東部戦線について少し話した。

まあ、いいや。どうせ完璧にやったって自己満足の完璧に過ぎないんだし、しかめ面して仕事をするよりもうまい飯を喰って楽しく過ごす方が幸せだろう。血糖値が上昇するにしたがってそういう甘い考えに支配されるようになってきた。それから僕の座右の銘である中庸という言葉も残業を切り上げるのに大いに役立った。何事も中庸が大事。完璧にやるのは中庸に反する。ちょっと足りないくらいがいいのだ。食事も食べ過ぎは腹を壊す。仕事もやり過ぎは体を壊す。さて帰ろう。

今日以降退職の日まで、つまりこれから毎日、仕事はそうやって切り上げようと思う。