ゴミ箱 -GOMIBAKO-』楽曲インタビュー

200–7-5

GameSetWatch インタビュー

この度、GOMIBAKOが北欧圏でも待望のリリースとなった。このタイトルはPlaystation CAMPに集結したインディペンデントゲーム制作者たちの手によって制作され、昨年のTGS Sense of Wonder Night でもクオリティの高さとその斬新さが大変注目を浴びた。ものを”ぶっつぶす”スタイルのこのゲームのお手ごろ低価格ぶりもまた魅力の一つだ。

さて、今回のインタビューはこのゲームの音楽を担当したスタジオMega-Alpha Incより、藤門太郎氏、加藤智之氏のお二人をお招きしお話を伺った。Mega-Alphaは 朝倉紀行率いる東京を拠点として、アニメやゲームといった様々なスタイルの音楽制作を器用に手がけるトップクラスの音楽制作スタジオである。今回はこの音楽制作スタジオのお二人にサントラ制作時のサンプリングの工夫の仕方やオーケストレーションについて詳しくお話いただいた。

インタビューにご協力いただきありがとうございます。早速ですが、今回のプレイステーションキャンプでは様々な独創的なアイディア交換が行われた場でしたが、この企画が始まったいきさつはご存知ですか?

藤門太郎: 一般公募でゲームのクリエイターを募集した企画が2000年にあってそれが今回のキャンプに発展してると思います。一般からクリエーターを募集してゲームを制作するというアイデアが、オープンマインドなプロダクトに昇華されていると思います。今回のGOMIBAKOを筆頭に、これからも斬新なものが出てくるんじゃないかと思うので楽しみです。

サントラの制作作業はお二人での分担はどのように決まりましたか?藤門さんのお使いの作曲ツールは何でしょうか?

藤門: 僕がゲーム全体の音楽の60〜70%ぐらいを制作しました。サントラ全体は30分ぐらいなんですけど、僕がメインになるステージのダンスミュージックを担当して、パートナーの加藤がオーケストレーションを担当しました。ホストシーケンサーはいつも使ってるMOTUのDP3でリワイヤーでReasonとAbleton liveを使ってます。今回はベースの音にもこだわったのですが、音源にSpectrasonicのTrilogyというソフトを使って、Guitar Rigなどのギター用のプラグインをかけて音作りしています。

音楽制作の際は開発側からどのような依頼がありましたか?

藤門: 今回ソニーさんからダンスミュージック寄りの曲が参考曲として送られてきたので、途中はストリングスとかを使ったゲーム調の曲もあるんですが、主なステージ曲はダンスミュージックがてんこもりです。今回は声のサンプルをたくさん用意 しました。中には、直接レコーディングしたかのようなヒップホップスタイルの曲もあります。

ゲームのテーマがゴミという事で、音楽もそのような雰囲気を出すという事は考えましたか?

藤門: そうですね。タイトルがGOMIBAKOだったので、曲想に散らかった印象を出すという自分内コンセプトはありました。いつもどこかにちっちゃいノイズ音が、音楽的に入っているので注意して聴いてみてください。ヘッドホンで聴くといいかもしれないですね。

音楽的に意識したスタイルなどはありましたか?

藤門: 今回制作しているときにフランスのEd Banger RecordsというレーベルのJusticeというアーティストにハマっていて、それを意識して ベースにこだわったつもりです。チャンスがあったらステレオなどのオーディオシステムで聴いてもらっても充分楽しめる音楽になっていると自負しています。

ご自身でプレイされて一番印象的だったゲームの要素は何でしたか?

藤門: このゲームは普通にクリアする他に、「eco」のポイントを重ねるというシステムがどうもあるらしいんです。自分はそこまでうまくないので、どうもいつも「ego」になりがちですけど。例えばダイナマイトを使わずに、腐敗などを上手く使って処理するとエコポイントが追加されてスコアにつながるということのようです。

PS3のダウンロードサービスのためのゲーム制作は通常のゲーム制作の場合とではどこに違いがありますか?

藤門: ダウンロードサービスとの違いはサウンド面に関して全く違いはないです。16bit 44.1khzで楽しめます。音楽の配信のほうもそうですが、これからゲームのダウンロードサービスがどんどん充実してくる時代が来ると思います。

Mega-Alphaでお仕事をするようになったきっかけは?

藤門: 20代はロックバンドをやっていて30歳を越えたぐらいから、ビジネスとしての音楽を考えるようになりました。フリーランスで作曲やアレンジ、ギターのレコーディングの仕事をしていました。2006年に、ブリジストンのCMでイギリス、フランスなどの東ヨーロッパ向けのブランドイメージのTVCM で「We’ll be there for you」という音楽があって、最終的にはヨーロッパと日本の両方で放映されてました。

あとはXbox360のタイトル、「ZEGA PAIN」というゲームの曲も何曲か作曲させていただきました。

そのうちフリーランスの仕事に限界を感じ、事務所所属を考えていたときに朝倉さんに出会ったんです。自分が作った「Tokyo Swing」というオリジナルのプロモーションがあって、それを朝倉さんに気に入っていただき事務所に誘っていただきました。

サントラを担当することになったいきさつをお話しください。

藤門: SONYのSCEの方とは朝倉さんは昔から交流がありまして、最初の「天誅」の時に一緒にお仕事をした山本さんという方がいらっしゃいまして、その人を介して山口さんという方を紹介いただき、その方から今回のプロデューサーの小島さんと知り合ってそこでお誘いをいただきました。

Mega-Alphaスタジオのすばらしい所をあげてください。

藤門: まずは朝倉さんのお人柄につきるのですが、音楽面では、朝倉さんは自分の世界観をはっきり持っていて、それが天誅や、るろうに剣心のようなサムライアクションという作品の中で世界に認められているというのはすばらしい事だと思います。単なるアジアの音楽だけではなく、西洋の音楽もミックスしたような独自のサウンドを持っていて、音楽家としても、さらにはビジネスマンとしても尊敬している人です。

僕や加藤君に対してもすごく教育的に接してくれて、音楽に関してだけじゃなくて哲学を持っていらっしゃるので勉強になります。あとは比較的自由にやらせていただいているので、ゲームやアニメの仕事があっても自由にやらせていただいております。ゲストミュージシャンを呼んでいただいたり、非常にクオリティの高いものを作らせていただいてるので大変ためになります。

Mega Alphaスタジオの国際方面での活動についてお話しください。スタジオのスタッフの方々は日本の外でお仕事をした事はありますか?

藤門: もともと朝倉さんがアメリカに住んでいらっしゃったというのもありまして、ニューヨークのソニーのATV という所と三年間契約していました。その頃の人脈がすごくて、当時はハリウッドの音楽をどうしてもやりたくてアメリカにいたのですが、その頃に知り合った、ジョン・ウーさんもその一人です。非常にグローバルな視点でこのビジネスを考えていらっしゃると思います。そういう国際面での活動はこの会社の強さの一つだと僕は思います。

所属の作家も国際的で、その中の一人にダンス系の音楽をやるドイツ人がいて、天誅のクラブリミックスをドイツでリリースしたりしています。

「天誅」「るろうに剣心」シリーズは世界中で人気があるので、ファンメールが北米、南米、ロシアなど、いろんな場所からメールをいただいております。

僕個人的な話では、最近サウンドを手がけた短編アニメがありまして、New York International Independent Film & Video Festivalで賞を二部門受賞してベストアニメーション賞とベストインターナショナルホラー賞というのをいただきました。カンヌ映画祭でも上映しましたのでそちらのwebでもご覧いただけると思います。CannibAlien(邦題「カニバル星人」)という作品です。結構エッジのきいたストーリーの作品なんですが、キャラクターのデザインなども気合いが入っていて、おかげで色々な場所で賞をいただきました。

加藤さんにお聞きしますが、今回のオーケストレーションで目指した方向性などはありましたか?

加藤ともゆき: サウンド制作はGOMIBAKOというタイトル通り、少し歪んだ音を使ったりインパクトのある音を使うという事は頭にあったんですが、プロデューサーの方からは澄んだオーケストラの音が欲しいと求められまして、そのサンプリングや音源をうまく使って制作しました。

オーケストラ系の音源に関しましては主にQuantum Leapの音源を使いました。その音源にバイオリンの弦一徹さんの音を重ねてオーケストラをシミュレートしています。最終的にはそれをロジックをホストとしてその中で組み立てていくという使い方をしています。

ゲーム内で一番聞いてほしいサウンドや音楽はありますか?

加藤: それはオーケストラの曲でのなま音とサンプルの音の混ぜ方の工夫の仕方は是非聴いてほしいですし、あとはこのゲームはオープニング、スタッフロール、エンディングはすべて同じモチーフをもとに作られています。同じメロディを使っているんですが、三曲とも全く系統が違うんです。同じメロディでもこんなに違って聴こえるのか、というのを是非感じていただけるとうれしいです。その三曲の中では私はエンディングの曲を担当させてもらっています。ゲームをクリアしないと聴けないので、なかなか大変かとは思いますが、がんばってほしいと思います。

一番お気に入りのゴミは?

藤門: 一番のお気に入りはギタリストなのでギターですね。ぶちこわすので、微妙なんですけどギターを壊す機会ってないですよね。誰でもある衝動だと思うので、うれしいです。よく燃えるし。

加藤: あとはダイナマイトとかも出てきますけど、要所要所でそういうジョークのようなゴミがあり、色んなバリエーションがあって見てるだけでも楽しいです。

優しいモードはもうクリアしました。ボスがいないので結構行けるんですよ。 ボスがいつも強いんです。5面が難敵で倒せないんですよ。スイーツモードは楽なんですよ。

藤門: メインディッシュが難しいですよね。

加藤: スイーツでは最後のコンプリート画面が見れないし、六面もないんですよね。だからステージ6の音楽を聴くのはかなり大変かもしれません。

藤門: 今回はテーマのメロディをアレンジするのに注意した事はありましたか?

加藤: プロデューサーの小島さんから広がるようなオーケストラとかがいいというアイディアがあったので、そういう風にしました。あの曲だけ、ピアノは僕が弾いていたりもします。太郎さんの作ったスタッフロールも同じメロディですよね。

藤門: あれは言ってしまえば80年代のマイアミバイスのようなゲートドラムのような、ガスーンってなる昔のセガのゲームのエンディングのような感じだよね。

みんなダウンロードゲームを買う習慣がない方も多いと思いますので、これからもっと広まっていけばいいと思います。GOMIBAKOがそれに一役買う事が出来ればうれしいです。