Pinterestの成長から学ぶ5つのこと: セアラ ・タヴェル

PeraPera
14 min readMar 29, 2017

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従業員が5人の頃から650人になるまで、私はPinterestに関わってきました。以下に私が学んできたことを記します。

急速に拡大をしていると、多くの良い結果を得る反面、必然的にいくつかの間違いを犯します。Pinterestのような最高の企業は、そのような間違いから学び、迅速に生かすことができる企業です。

このポストは、私が学んだ教訓のまとめです。最初のプロダクトマネージャーの1人として、また、最後にはディスカバリーチーム − 検索、おすすめ、ビジュアルサーチチームなど − のためのプロダクトを率いていた時に学んだことです。

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1. 測定するものの重要性

人々はしばしば、あなたが測定しているものを向上させることについて話します。それは必要なことですが、決定した指標がどのように戦略的なのかを見落としています。もし間違ったものを測っていたら、その間違った指標に時間を費やすことになります。

たとえば初期の頃、Pinterestに新たに創設されたグロースチームは、毎月のアクティブユーザー数を増やすという目標を設定していました。MAUは、多くのグロースチームやソーシャルネットワークで使用されている共通の指標なので、直感でそうしていました。

その後、グロースチームは、新規ユーザーが登録ファネルの上部に注ぎ込まれるような、製品ロードマップを作成し実行しました。問題は、MAUが増加した一方で、私たちのバケツが漏れているということでした。グロースチームがファネルの上部から人を注ぎ込んでいて、プロダクトチームが既存のユーザーのエンゲージメントを増やすことに重点を置いていたにもかかわらず、誰も、その新しいユーザーが活発なユーザーになることを確認していませんでした。

これに気づいたため、チームはMAUに注目していたのを、新規の週間でのアクティブなピンナー(Pinterestで、週に一度以上新しいものをピンまたはピンし直す人たちのこと — Pinterestのコアアクション)の数を増やすことに移行しました。

この焦点のシフトに伴い、グロースチームの優先事項は、ユーザー(および会社)にとって何がより良かったのかに調整され、週ごとのアクティブピンナーの成長は加速しました。新規ユーザーにサインアップしてもらうことだけではなく、のちにPinterestで長期的な成功を収めることになった、最初のサインアップの時のホームフィードでの素晴らしい経験を確認することもできました。

これは、虚栄の指標が企業にとって非常に危険なことを表しています。外部世界に関して、誤解するだけでなく、悪循環を及ぼす可能性があります。指標を使用する理由は、会社(またはチーム)の見栄えが良くなるからです。また、会社のそれまでの数字を見始めるので、継続的に増加させたいと思い、最適化をし始めます。これはあなたを間違った方向に導きます。

そうなのです、あなたがそれを測定すれば、それは改善されるでしょう。しかし、あなたが正しいものを測定していることを確認しましょう。

2. 組織表の重要性

たいていの実行の問題は、2つが根本的な原因となっています。間違った組織構造、または間違った人物です。

人々は「間違った人」について多くを話しますが、組織の構造についてはあまりカバーされていません。実際は、設立後間もない企業は組織を「フラット」かつ非階層的に保つこと、あるいは組織的にそうさせることに集中することが一般的です。しかし、そのアプローチは行動を平凡にする可能性があります。

2つの例を挙げます:

Pinterestの初期の時代には、私たちはマトリックス組織を持っていました。これは、プロダクトの公開に必要なすべてのリソースを持っているチームがいないことを表します。私のチーム(ディスカバー)のような戦略的な柱は、主にバックエンドのエンジニアでした。新しいディスカバリー機能を追加するときは、モバイルチームに、次のフロントエンドエンジニアを私のプロジェクトに優先して利用可能にしてもらうように頼む必要があります。そしてタイムラインを整理して、フロントエンドのエンジニアが利用可能になったときには、バックエンドとデザインの準備を完了させておきます(必死なときには、ガントチャートを作成していました!)。

この方法で優れたものをすばやく構築することは本当に困難でした。フルスタックチームに変えたら、全く違いました。すべてがより素早く動き、より効率的に優先順位をつけることができ、より優れたプロダクトが作れ、みんながより満足できるようになりました。

もう1つの例です。それはある時、グロースチームがマーケティングチームに報告をしたときのことです。結果:頭越しの連携が膨大に。グロースチームの人々は、戦略とロードマップを調整するために、プロダクトチームと常に会議をしていました。スケジュールに膨大な数の会議を追加し、優先順位を戦略に合わせることがとても困難でした。私たちがグロースチームからプロダクトチームに決定権を委ねたとき、彼らは戦略を合理化し、誰もがより良く戦略に合わせられるようにし、たくさんの会議を無くしてくれました。

最後に、戦略的イニシアチブがある場合、進歩を遂げたいのであれば、そのイニシアチブを推進できるチームを作成することをお勧めします。

組織の変更はしばしば痛みを伴い、気を散らしますが、会社の規模に応じて絶対に必要となります。組織構造が戦略を反映していなないか、または過度に複雑すぎる場合、組織の実行能力に重い負担になります。

3. ユーザーの話を聞く。ただし彼らを無視する時を理解する。次の100万ユーザーのために作るということを覚えておく。

最も熱心でうるさいユーザー — あなたがそのユーザーが気にくわないものを公開した時、それについての文句を言い、Facebookグループに機能の要求を投稿するようなユーザーは、有難いものであり、苦しめるものでもあります。それらがなければ、あなたは会社を経営できないでしょう。しかし、次の100万人のユーザーに到達するには、それらを無視する必要があるのです。

あなたの最大のユーザーはすべてのユーザーを代表するものではなく、今後のユーザーを代表するものでもありません。彼らはあなたのパワーユーザーです。あなたのプロダクトを現在、最もよく理解しているユーザーです。それにより、2つの偏見が生まれます:

  1. 彼らはプロダクトを使用することに慣れているので、サービスを変えてほしくありません。
  2. 彼らは必然的にパワーユーザーの機能を要求します。これは、みんなが利用しない、少数のユーザーだけが使用するような機能であり、プロダクトの複雑さを高めます。

プロダクトを変えて欲しくない

最も優れた企業は、時間の経過とともに耐え忍ぶためには、彼ら自身を破壊させる必要があることを認識しています。

Facebookが2006年に初めてニュースフィードを公開したときを覚えていますか?それは大きな反発を引き起こしました。ユーザーはFacebookをボイコットすると脅し、Facebookのグループがその機能に抗議しました。しかし、のちに、それはプロダクトの核となりました。

Facebookが、少数のパワーユーザーに、大半の人にとって何が最善であるかを決定させていたならば、Facebookは今日よりもずっと小さくなっていたでしょう。Facebookはニュースフィードを展開してより良いプロダクトにすることができたでしょうか?絶対にそうです。最終的にFacebookは銃にしがみつき、少数の声を無視することは正しかったのです。

ニュースフィードは極端な例ですが、これらのことは常に小さなスケールで起こります。プロダクトの中心のフローを簡単にしたいですか?再設計されたフローによって2つのステップを実行しなくてはならなくても、あなたのユーザーは気にしません。その2ステップに慣れてしまうでしょう!少し使い慣れた機能を削除して、プロダクトをより簡単にしたいですか?しかし、それは私が好きな機能です!

これらの変更を行うには勇気が必要です。あなたは最高のユーザーを苛立たせたくありませんが、必要なものを言うことができない、次の何百万人ものユーザーを念頭に置く必要があります。データが何を物語っているかを考え、ユーザーとコミュニケーションをとり、データがあなたを別の方向に向ける場合には、その少数の声を無視しなければなりません。私がレッスン#9で話すように、少数の声は時には氷山の一角にすぎないのです。

パワーユーザー向けの機能の開発

ユーザーの求める機能の全てを取り入れると、少数で活発なユーザーベースができます。

まず、ユーザーのリクエストは現在のサービスでできることならば、なんでも聞いてきます。フォードの言った(とされている)より早い馬を求める顧客の話は知っているでしょうか?彼らがあなたのユーザーです。

いずれ、彼らはあなたの製品をより複雑にするような機能を求め、それによって初めてのユーザーにとっては親しみにくい製品になります。時によってはこの複雑さは良いことですが、ほとんどの場合は、回避した方が良いものです。既存のユーザーから最も望まれているサービスを開発するとき、それはいつも5%以下のユーザーの便利性をのみ改善するものです。そのため、それはその5%以下のユーザーにとって、とても大きな変化である必要があります。そして注意してください:機能を減らすよりも、増やすことがもっと簡単なのです。なので、どの機能を追加するかには注意を払うべきです。

もう一つの問題は、求められる機能というのは現在ある問題に対する直接的な解決策ではなく、一時的な応急処置のようなものであることが多いということです。例えば、私がPinterestで働いているときに最も求められていた機能はピンを整理することです。お気に入りのピンを見つけるために、ずっと画面を下にスクロールするのは確かに面倒なことです。もしそのピンを一番上に持ってくることができれば!しかし、それは最善の解決策ではありません。

パワーユーザーは、パワーユーザーにとって望ましい機能を求めます。ピンの整理は、ユーザーの中でも極一部の人にとってのみ必要な機能です。この問題の根本的な原因は、求めているピンを効率的に見つけることが難しいということです。

するべきことは、ユーザーの求めている機能をただ取り入れることではなく、より大きな問題を解決する上で何が必要なのかを見抜くことです。より多くのユーザーの利便性をあげる解決策を考えましょう。この場合、ピン付けされたものの整理ではなく、私たちは「パーソナル検索」というものを導入しました。ピンナー(Pinterest ユーザーのこと)はこれで、自分の探しているピンをより効率的に見つけることができます。これによってユーザーはひたすらピンの整理をすることなく、検索をすることができます。

また、こういった機能の開発のために必要なコストも考えなければなりません。多くのスタートアップがそうであるように、ある程度制限されている環境にいると、ユーザーの活発さや獲得のための機能を開発する上で何かしらのコストがかかります。新規ユーザーの獲得とは、グロースハックとは違います。製品をよりシンプルにする、利用用途を増加、ユーザーの維持などいったことが必要です。

ある程度くっつく製品を開発したら、既存ユーザーの維持ではなく、次の数百万人の新規ユーザーの獲得について考える必要があります。多少の既存のユーザーの不満と引き換えにでも、より多くの新規ユーザーの獲得について考える必要があります。

4. ユーザーの信頼を銀行のように考えましょう。引き出しよりも、振り込む金額を増やしたいのです。

ある金曜日での質疑応答で、ベンとエヴァンはユーザーの信頼を銀行のようなものであると表現しました。銀行には、引き出す金額よりも振り込む金額が大きくあるべきです。実際、一つのネガティブな経験を埋めあわせるためには、5つのポジティブな経験が必要であると聞いたことがあります。かなり高額な取引です。

この考え方に基づくことで、Pinterestをすぐにアメリカで最も人気のある消費者ブランドにまでのし上がることができました。実際、最近ProphetでNikeやAppleと並び、アメリカのトップ10ブランドの一つとして選ばれました。

振込の多くは素晴らしいユーザー経験によるものでしたが、それだけではありません。エラーメッセージを減らすためにサポートコミュニティをつくることで、振込をします。

そして銀行に十分の貯金がある場合は、あなたが何か失敗したり、新しいことを試しても許されます。例えば、Pinterestが急成長を迎えている時、サイトは時々ダウンしていました。エンジニアが復帰させるために働いている間、コミュニティチームはFacebookやTwitterでPinterestがダウンしていて、復帰させるために努力していることを伝える投稿をしました。そして、ユーザーは私たちの努力について感謝してくれました。もし、その頃までにPinterestへの信頼がなければ、ユーザーはネガティブな印象を覚え、信頼がさらに下がるでしょう。

5. いつも良い方向に進んでいるとは限りませんが、大丈夫です。常に長期的な目標を考え、何を成し遂げるのかについて考えましょう。

どんな企業にとっても成長が停滞し、士気が下がることはあります。Faccebookにも停滞した時期がありました。

Pinterestも早いうちにこのような経験と向き合いました。2012年の夏まで、Facebookが私たちの主な流通チャンネルだったのですが、その後FacebookはInstagramを買収し、Facebook上のニュースフィードでのPinterestの表示は減りました。大きな痛手で、新しい成長戦略を見つける必要がありました。

成長が遅れる時期は、どのような企業にとっても怖いものです。自己嫌悪と反省の時期です。ニッチな製品なのか?もっとInstagramのようなものになるべきなのか?最終的に私たちは自分たちらしさを大切にすることにし、チームはそれに基づく新しい成長戦力を立てました。そして、成長は再加速しました。

組織的に困っているときには、基本的な理念に戻り、リーダーシップを振るう必要があります。大学を出て最初の仕事は、スタートアップのコンサルティング企業でのものでした。この時の企業の戦略はめちゃくちゃでした。毎日のようにウェブサイトを更新して、新しい戦略に変えていました。負の連鎖で、いずれ皆(私含み)その企業から去りました。

ただ、いつだってこのような日、月、四半期はあるということを覚えていてください。あのFacebookですら、このような時期を乗り越えてきたのです。しかし、核となる戦略に集中していて、その戦略が正しければ、きっと成功をみることができます。

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このポストについてのフィードバック、そして急成長中の企業でのあなたの経験など、是非お聞きしたいです。そして、もしあなたが急成長に入ろうとしている消費者テック企業にいるのであれば(greylock.comのタベル氏など)、是非直接お話したいですね。

原文:https://news.greylock.com/five-lessons-from-scaling-pinterest-6a699a889b08

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