Teespring (ティースプリング) の共同創業者、Evan Stites-Clayton (エバン・スタイツクレートン) へのインタビュー (前編)

PeraPera
8 min readFeb 9, 2017

--

TeespringはオリジナルTシャツの製造・販売までをカバーするクラウドファンディングサイトである。Y Combinatorを卒業後、Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ) やKhlosla Ventures (コースラ・ベンチャーズ) などから5600万ドル (約64億円) を調達している。Teespringを通して既に190万枚のTシャツが製造・販売されている。

あなたとTeespringのことを簡単に教えて頂けますか?

Teespringは、大学で知り合った友達のウォーカーと始めたんだ。当時の僕は何かを作りたくてうずうずしていたし、普通の会社に入って平凡な人生を送りたくはなかったんだ。なんの興味も持てなかったし、実際に応募した会社の面接にも全て落ちちゃってね。だからもうスタートアップするしかなかったんだよ。ウォーカーと出会えたことは本当にラッキーだった。そして二人でJobzleっていう会社を作ったんだ。Jobzleは学生に仕事を紹介する会社で、当時の僕らは希望で胸がいっぱいだったし、大きくするつもりだった。結局あんまりうまくいかなかったんだけどね。そして大学を卒業した後、資金を増やして、新しいアイデアで勝負した。それが Teespring なんだ。

僕たちはロードアイランドにある大学に通っていて、そこに学生たちがよく飲みに行くバーがあったんだ。“Fish Co.”というそのバーは大学の生徒はみんな知っているほど有名だった。でも、オープンしてから10年以上、どんちゃん騒ぎをしていたら、ついに警察に目をつけられて閉店になったんだ。その時僕らは4年生で、大学のコミュニティは悲しみに打ちひしがれていたよ。古びたバーに関してみんなフェイスブックで悲しみをさらけ出していた。ドナルド・トランプが選挙で勝った時のようにね。僕たちの周りのこのトレンドに気づいて、「みんなの気持ちを満たすようなサービスを作れたら良くないか?」ってことになったんだ。その時僕らが考えたのが、Tシャツに「Free Fish Co.(Fish Co.を解放せよ)」とプリントして、それを友達みんなに売ること。実際に印刷屋に連絡したら、「わかったよ。料金は先払いで2000ドル。2週間後には用意できるよ。」って言われたんだ。でも考えてみて。2週間後にはこの出来事のことをみんな忘れているし、もうその頃にはTシャツなんて誰も興味を持ってくれない。結局Tシャ ツを購入しようとした時点で僕らの計画は台無し。

その代わりに僕たちがしたことは、kick-starterに似たウェブサイトを作って、そこで事前注文が十分に獲得できれば、集まったお金を使ってみんなにTシャツの製作と販売を約束することだった。もし最低限の注文数に届かなかった場合はお金を全額返金して撤退する計画を立てた。これは商品を実際に作る前から売るための一種の方法で、人々の急なニーズに応えるための資金を調達することができるんだ。これが大成功して、他のビジネスで半年間で儲けた額よりもはるかに膨大なお金が、たった1週間で入ってきたんだ。これは一つのビジネスモデルとしてしっかり確立していたし、僕らもこれに夢中になっていった。なぜならみんなが、「クラブや資金調達のために同じことをやりたい」って言ってくれたからね。そうして僕らに伝わってくるみんなの興味に対して、僕らは「これはきっと僕らがしっかりと形にすべきものだね。クリエイティブな人々が起業家精神を持って行動でき、 実際に商品を製造・販売できるようにする、そんなツールにすべきだ。」 と伝えたんだ。それと同時に、何か行動を起こしたいクリエイティブな人々に、挑戦する敷居を低くしてくれるようなツールがそれまで無かったことに気づいた。これが Teespring を思いついた流れで、そのビジョンは今でも変わってない。

「Free Fish Co,.」 というふとしたアイデアからここまで長い道のりをやってきた。今はあなたもTeespringで自分のショップを作ることができる。今後は枕からシャワーカーテン、ハンガーまで、もっといろんな商品をリリースする予定さ。今Teespringは様々なアパレルを取り扱っていて、多くの人にカスタムブランドの製作を可能にし、成功報酬型マーケティング市場でも大きな存在になった。数多くのインターネットのマーケターたちが僕らのプラットフォームを宣伝ツールとして利用している。フェイスブックや他のプラットフォームからニッチを探し出して、Teespringで製品の製作・デザイン・販売をしているんだ。これが今の僕らのビジネスの大半を占めている。そこにはユーチュ ーバーやインフルエンサーたちも含まれてる。いいアイデアを持って、それを実行したいと思っている人たちのために参入の敷居を低くし、Eコマースビジネスを展開できるようにすることが、今僕たちが挑戦していることなんだ。オンラインで商品を売っている友達が2、3人いて、友達が作っているという理由でその商品を買いたいという人のために、これを成し遂げることが僕らのミッションだ。

Y Combinatorで得られたものの中で、プロダクトへの集中・改善のための具体形な学びになったものは何ですか?

僕らは少し不規則な形でY Combinatorに参加したんだ。サム・アルトマンの兄弟とウォーカーの兄弟がたまたま大の仲良しだったことが本当にラッキーだったね。実は、もともとはY Combinatorのことさえ知らなかったんだ。会社を作った時はロードアイランドにいたからね。シリコンバ レーに行こうともアクセラレーターに参加しようとも思っていなかったよ。でもこの偶然がきっかけでサムから電話をもらったんだ。このとき彼はY Combinatorの社長になる前で(当時はY Combinatorのパートナーだった)、「こっちに来て、Y Combinatorに応募してくれよ。何の約束もできないけど、君の会社はとても興味深いし、面接だけでもできたら良いなと思うんだ。」と言ってくれた。それからY Combinatorのところまで行って面接を受けた。もちろん葛藤もあったよ。ロードアイランドでうまくやっていたし、西海岸に行くことがどういうことなのか想像できなかったんだ。生活費も高く付つくし、 あまり魅力は感じなかったね。驚いたことに、プロビデンスやそれと似たような街、ましてやシリコンバレー以外の普通の街も生活費が高くないため起業するにはいい環境だと思う。

そのような地域には、優秀な企業(とりわけ都市部の企業)と接点を持たないエンジェル投資家がたくさんいる。だからこそ自分の会社を一際目立たせ、エンジェル投資家たちに気に入ってもらえるチャンスが多いと僕は考えるんだ。手を差し伸べて、投資をしてくれるような人と出会いたいアーリーステー ジの会社にとって最適だと言える。これをシリコンバレーでやるのは大変だ。なぜならいかに自分が優秀なのか、いかに自分のアイデアが素晴らしいのか、どんなトラクションがあるのかという基準が極めて高いからだ。Y Combinatorに応募するまで自分たちのことをとりわけ素晴らしい創業者だとは思っていなかったし、Y Combinatorでは素晴らしい経歴やハイレベルな技術を持つ人たちと一緒になった。でもそんな中で僕たちはとにかく、成長し、利益の出せる、大きなビジネスを作ることに集中したんだ。この点は当時の周りの会社の中で頭一つ抜けていたと思うよ。僕らはワクワクするようなテック企業じゃなかったけど十分に業績は上げていたから、Y Combinatorの中では厄介な存在だったんだ。だからこそY Combinatorに入れたんだと思うし、 それが急成長したTシャツ会社の意外なサクセスストーリーらしさだと思うんだ。

でもこれは2013年の話。今Y Combinatorを見ると、卒業した多くの会社が毎年大金を手にしている。今では普通のことだよね。スタンダードの定義はこの5、6年で大きく変わったし、これからも上がっていく。Y Combinatorのようなコミュニティは僕らと投資家・メンターをつなげてくれたり、僕らのためにシード投資をしたり優秀な人材を紹介してくれる人ともつなげてくれてとても助かっているよ。これは僕らだからこそ言えることであって、僕らを素晴らしい投資家たちに出会わせてくれたY Combinatorの凄さなんだ。

(後編は近日公開予定)

もっと読みたいと思ったら、ペラペラアプリのベータ版へ登録:http://www.perapera.co

--

--

PeraPera

シリコンバレーで最も読まれているブログポストを日本語でお届けします。もっと読みたければ、アプリをダウンロード:www.perapera.co