東京上空の新たな飛行経路が高級住宅街を襲う

By Riccardo Tossani, 建築家、都市デザイナー、パイロット

(Kyodo)

渋谷の高層ビル群に囲まれた私の建築スタジオの屋上テラスでこの原稿を書いていると、近隣の交通音、鳥のさえずり、通りや校庭からの笑い声といった周囲の音が、突然、近くの高層ビルに衝突するかのように降下する2機の民間ジェット機の雷音によって打ち消されてしまった。

この光景を見ていると、比較的最近東京で起きたあわや大惨事になり得たとも言える2つの航空事故を思い出させ心配な気持ちにさせる。また、東京の「ブランド化」された地域の一等地の不動産が、生活の質や価値に対してこれほどまでに取り返しのつかない脅威にさらされることがあるのか、という疑問も投げかけている。

反復する騒音

羽田空港の北側着陸経路を飛ぶと、北米、ヨーロッパ、東南アジア、そして日本の主要都市を発着する大型旅客機のパレードが、渋谷の繁華街や有名なハチ公前の上空670m、都心のスクランブルスクエア展望台上空426mをかすめるように降下してきます。1

フラップを下げ、ランディングギアを伸ばし、スピードブレーキで重い抵抗を補うためにエンジンの音を上げながら、時速200マイルでわずか2分間隔で広尾のにぎやかなカフェや人気店、有栖川公園の趣のある鴨池や混雑した運動場、南麻布のおしゃれな3階建て住宅や屋上テラスの上で巨大航空機が轟音を上げ通過する。屋外と屋内での会話が、耳障りで聞こえないほどになり、さらに数秒後には、手入れの行き届いた庭園やプール、要人や来賓のための屋外娯楽施設を擁するフランス大使館があり、ここも騒音の被害を被ることになる。

その数メートル先には、北里大学キャンパス、白金小学校・高校の校舎やグラウンド、近隣の私立学校や幼稚園の上空をジェット機が轟々と降下し続けるが、教師による騒音への苦情の声は届かない。ジャンボ機が大音響で降下していくと、白金の高級住宅街は騒々しい騒音に包まれ、天王洲の川沿いのカフェや公園の上空1100フィート(335m)まで降下し、わずか4マイル先の東京国際空港に向かってひたすら前進していく。

ドラマは続く

タッチダウン時には、耳をつんざくようなジェットエンジンの逆噴射で轟音に打ち砕かれた街中にこだまし、そして一瞬止まったと思った直後にこの不協和音のサイクルがまた繰り返されるのです。

東京都心の東部高級住宅街に広がる規定の3度グライドスロープでは、ワイドボディのジャンボ民間航空機が羽田の滑走路16L(左)または16R(右)にILSまたはLOCアプローチで飛行しています。2

住民は歩みを止め、空を見上げる。窓を閉め切った室内で轟音を聞くマンションの住民達。60代の女性は「圧迫感を感じる」と嘆く。「騒音で窓を開けられなくなる。生活スタイルが変わってしまうのではと心配です。」

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Riccardo Tossani Architecture

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