学生主導の実践型リサーチ&デザインプログラム、メディアラボアムステルダムとは何か?
メディアラボといえば、伊藤穰一氏、石井裕氏、スプツニ子!氏らが在籍するMITメディアラボが有名ですが、オランダにも“メディアラボアムステルダム”と呼ばれるリサーチ&デザインラボが存在します。
ここでは2015年秋から留学中の筆者が、メディアラボアムステルダムについて紹介します。
About
メディアラボアムステルダムは、クリエイティブインダストリーの変化と発展に対応した課題創造と解決を目的として2004年に発足した、学生主導のリサーチ&デザインラボです。
組織自体は、アムステルダム応用科学大学(Hogeschool van Amsterdam / Amsterdam University of applied science)の派生機関となっています。
Term
春期(2月〜7月)と秋期(9月〜2月)のいずれかのタームを選び、約5ヶ月間に渡って活動していきます。基本的には週5日9:00から17:30まで、1つのプロジェクトに注力していきます。
Team
今期は全18人のメンバーが6つのチームに分かれて、プロジェクトを進めています。メンバーは学部の最終学年以上となっており、学部卒や修士卒が多く在籍しています。
タイプとしてはデザイナータイプとリサーチャータイプが半々くらいとなっており、希望とチームのバランスをみつつ、選考と振り分けがなされているようです。
また国籍に関しても、オランダはもちろん、アメリカ、イタリア、イギリス、ギリシャ、コロンビア、スペイン、ドイツ、ブラジル、日本というようにかなり多様なメンバーが集まっています。
実際、中には10年近くの就業経験があるメンバーもいれば、既に結婚しているメンバーもいます。専攻に関しても、地理学を研究してきたメンバーもいれば、虐殺について研究してきたメンバーもいます。こうした多様な学生を集める求心力は、メディアラボの決定的な強みといえるかもしれません。
Project
メディアラボでは、デジタルメディア自体の可能性を追求していくプロジェクトだけではなく、よりローカルな課題に即したプロジェクトも同時に走っています。
参考までに、今期(2015–2016)プロジェクトテーマは以下のとおりとなっています。
- Visual Storytelling
(ビジュアルストーリーテリングを用いた、DJのセルフプロモーションツール/プラットフォームのデザイン) - Post-Conflict Mind Check
(ユーゴスラビア紛争後の内省と対話の可能性を拡張するツールのデザイン) - Designing the Experience
(美術館におけるキュレーターとビジターの共創体験のデザイン) - Vehicle2Grid
(電気自動車のエネルギーのシェア環境のデザイン) - Smart Citizens for Sustainability
(持続可能な社会のためのスマートシチズンとスマートシティのデザイン) - Interactive Cinema
(インタラクティブな映像体験のデザイン)
なお、それぞれのチームにコーチと外部パートナーがつきますが、基本的には学生自身がリサーチ設計から、デザインまですべてを担っていきます。
More Info
さらに詳しい情報、最新の情報に関しては、以下のURLよりご覧いただけます。
MediaLAB AMSTERDAM
また、ワークサイトウェブにもメディアラボに関する記事が掲載されています。
ワークサイト「アムステルダムのクリエイティブを支える学生主体のデザインラボ」