めちゃくちゃ勉強になったスタートアップ採用の話 #tcshool
12月7日(木)にTechCrunch Shoolに参加してきました。
スタートアップでの採用に関する話。
http://jp.techcrunch.com/2017/11/29/tc-school-12-2/
めちゃくちゃ勉強になったので忘れないうちにまとめたいと思います。
本当はほとんど全ての内容をメモしていますが、ボリュームがすごいので個人的に気になったポイントに絞って感想も交えて書いていきます。
中見出しは自分が気になった点を切り出しているので、必ずしも登壇者の言いたい本質的な部分とイコールではないことはご承知おきください。
冒頭でインキュベイトファンド HRパートナー 壁谷さんのセッションがあり、スタートアップでの採用について、大枠の理解から頻出課題、具体的な打ち手などの話がありました。
今回はこのパートから、個人的に響いた・気になったポイントをまとめていきます。
引用は壁谷さんからのお話の内容です。(文言はその通りではなく、僕が編集しています。)
準備が全て、明確なターゲティングと仮説を用意せよ
まずざっくりとした掴みとして以下の流れで採用の設計と実行が行われるという説明がありました。
<5名以上~数十人規模のフェーズでの採用とは>
1:採用計画とフローの全体像把握
2:採用人材のターゲティングと仮説設定
3:採用広報、エージェントマネジメント
もちろん全部大事ですが、特に大切だと感じたのは2のターゲティングと仮説設定です。
スタートアップの採用は、とにかく今日にでも入社してほしいというテンションで採用活動をしていることが多いと思います。
そしてスタートアップ特有のスピード感がゆえに、きっちりと採用したい人材像を詰め切れていないことも多々あると思います。
だけどそこをぐっとこらえて、きちんと明確なターゲティングをすることが重要だというお話です。
そこでどれだけイメージを突き詰められているかが、後々の動きに大きな影響を与えると。
壁谷さんの言葉をお借りすると、
『どこで何をやってるどんな人』というターゲティング
『なぜ転職するのか』という仮説
をきっちりと決めておくことが重要とのことです。
ここが曖昧だと最終的な実行の段階で採用広報のメッセージがぶれる。
結果、ミスマッチに繋がる。
ミスマッチの入社は早期退職やパフォーマンスの低下に繋がります。
そうなっては入社した本人はもちろん、経営陣や採用に関わったメンバー、振り回される部門のメンバー、それを傍目に見る他のメンバー、本当に誰にとっても幸せなことは無いです。
冗談抜きでミスマッチ入社は0に抑えたい。
ターゲティングはどの企業でも通常行うことかと思いますが、それが結局仮説の無い理想像だったり、対象の幅が広すぎて全くターゲティングになっていないケースはよくある話だと思います。
急がば回れ、ではないですが準備が最も大事だと感じました。
サイレントウォッチャーの存在を忘れるな
続いて『スタートアップ採用の課題あるあると打ち手』に関するテーマでのお話。
色々なポイントがある中で、以下の点でちくりと刺さりました。
・SNS/自社サイト更新
⇒反応がなく優先度が下がりがちだが、本来は最も活用すべきポイント。
サイレントウォッチャーがいる。
どんな媒体を使っていても結局候補者は必ず一度はSNSや自社サイトを見にくる。
若い経営者や学生起業家などガンガンTwitterやFacebookなどで発信する姿を見ますが、少人数で多くの仕事に取り組むスタートアップで働く人たちにとってSNSの更新は優先順位が低いと思います。
ましてや無名の時期に反応も無い中でコツコツと発信を続けるのは精神的に負荷が高いと思います。単純につまらないですし。
それでもやっぱり発信は続けるべきだと思いました。
なぜならサイレントウォッチャーの存在があるからです。
まだ表には出てこないだけで、自分たちのファンやフォロワーがいるかもしれない。少しづつ注目してもらえているかもしれない。採用応募したいと思ってくれるかもしれない。
少なくとも、採用面接を受けにきてくれる人は、やっぱり一度くらいはgoogle検索やSNSで応募会社のことを調べると思います。
そういう人たちが、反応せずともこちらの情報を待っている可能性はあります。というか自分こそそういう人間なんだから間違いなく0ではない。
それを考えると、わずかでも情報資産としての情報発信はやっぱり欠かせないと思います。優先度高い。
採用ピッチ資料を作成せよ
『採用フローだけではなく候補者の転職フローから対策を考える』というくだりの中で、とても興味深い話が出てきました。
それが採用ピッチ資料を作成すべきという話です。
・採用ピッチ資料
<この話の前提>
- 採用とは、候補者の人生の時間を投資してもらうもの
- 候補者視点から事業内容・企業情報を伝えることが重要<採用ピッチ資料とは>
- 以下の1~9の情報をまとめたもの。四半期に一回は更新する。
- 1~5は事業ピッチなどで話す内容。6~9は採用固有で必要かつ重要。1:ビジョン、事業概要・会社情報
2:メンバー紹介/ボードメンバーの経歴概要
3:マーケットの課題(現状)と自社のポジショニング
4:今後の成長戦略
5:サービス導入のケースと顧客の声
6:チーム体制・組織図(現在→1年後→3年後)
7:採用ポジション情報
8:今のフェーズで入ることの面白さ・魅力
9:ニュース、職場風景、イベント記事等の掲載
採用ピッチ資料そのものについては、もうここに書いてあることが全てですが、僕が個人的にこの話から感じ取った(強烈な刺激を受けた)ポイントは以下の三点です。
一、スタートアップの採用市場で戦うためには、最低限このレベルの準備が求められている
⇒VCの方がこれを語るということは、つまり少なくとも投資先スタートアップはこれを最低限のレベルとして採用に取り組んでいるということだと思います。
二、経営視点で採用を考えるためには、1~9を語れる人間にならなければならない
⇒採用担当者レベルでも、目の前の採用活動に忙殺されて思考停止するのはナンセンスで、ピッチ資料のレベルで自社採用を語れなければそれ以上のレベルアップ、もといキャリアアップは見込めないと感じました。
三、採用にもピッチが必要=求められて語るのではなく、自ら相手の投資を引き出すために語らなければならない
⇒「攻めの採用」とはどこもよく言いつつも、実際に攻めることができているのかどうかは怪しかったりすると思います。真に能動的な採用は、どれだけ目の前の人たち(=場合により世間一般だったり、候補者だったり、社内だったり)から投資を引き出せるのかにコミットすることなのだと痛感しました。
というわけで、IF HRパートナーの壁谷さんのセッションから特に個人的に響いた部分でした。
冒頭に書いた通り、当日の内容はこんなものではなく、非常に多くの学びがありました。参加できてよかった。
ちなみに当日は壁谷さんのセッションだけでなく、プレイド倉橋さん、dely堀江さん、ジラフ麻生さんの3名によるパネルディスカッションがありました。
こちらもそれぞれの話がとてもリアルで示唆に富む興味深い内容でしたが、中でもdelyの話がインパクト強めでした。
・昨年時点で十数名という組織から現時点で130名ほどの規模まで成長
・内訳はリファラル35%、wantedly30%、自分のSNS12%、それ以外がエージェントと求人広告
この情報だけだと投資対効果で言うとどれだけかわかりかねますが、単純に考えると時間・金銭的な面で採用効率がとても高い。
「この規模でこれかー」と圧倒されました。すごい。