世界の解きたい課題を解きに行く時代へ

場所にとらわれない“デジタルノマド”が描く未来

SHOHEI KOYAMA
Aug 24, 2017 · 9 min read

“デジタルノマド=オンラインだけで仕事を終えられる人たち”

オフラインでのミーティングやディスカッションはあくまで+αの要素として、上記のような定義に当てはまる人達をデジタルノマドと海外では呼びます。

もちろん他にも色んな呼び方(単に“ノマド”や、“リモートワーカー”など)がありますが、その意味合いを一番評しているなぁと個人的には思うので、ここではデジタルノマドという呼称を用いたいと思います。

ここ最近、デジタルノマド向けのサービスを調べていて思ったこと、考えたことを整理していきます。

まず初めに、21世紀に入ってからインターネットの発展によって、場所にとらわれない働き方、ライフスタイルが理論上可能になりました。

現状

日本ではあまりまだ浸透していませんが、世界のデジタルノマド向けサービスの急速な立ち上がり具合(量も質も含めて)を目の当たりにすると、デジタルノマドというライフスタイルで生活する人達の意外なまでの多さを感じます(欧州では50%の企業が制度を導入、内20%の従業員が活用しているというデータもあります)。

AngelListCrunchbaseで検索に引っかかったサービスだけでも100近くあり、加えてpaper.liなどで収集したブログを読み込むと更に多くのサービスの存在をここ二、三日で知りました。

(日本語の記事や情報源だけではそもそも数が少なく、更に「リモートワーク=在宅勤務」、「ノマドワーク=カフェで作業」という意味合いのものが殆どで、国外を旅行しながら働いたり…海外を拠点に様々なプロジェクトに参加していたり…なんて話はほとんど出てきません)

例えば、Remote YearやWe Rome, Remote ExperienceRemote Lifeなどのサービスはデジタルノマド向けに、仕事をしながら、世界中から集った人達と共に世界を巡るツアーを提供しています。

また、ツアーではなく、快適な住環境と就労環境を備えた住居をデジタルノマド向けに貸し出すOutsiteなどのサービスも存在します。

上記のツアーサービスや住居貸出サービスの他に多くあるのが、訪れる都市の各種情報を提供するサービスです。

例えばworkfromは、世界中の都市のコワーキングスペースやwifiカフェの情報を網羅しているwebサービスです(日本、特に東京に関してはまだまだ全然ですが)。

その他にも、世界各都市の治安やインターネットのスピード、天気や過ごしやすさを口コミで集計して表示してくれるノマド版トリップアドバイザー的なサービスであるNomadlistや、リモートワークだけの求人を集めた求人サービス、RemoteOK, Remoteなど。更に、デジタルノマドとは少し違いますが、世界の住みたい場所をベースに一年単位の求人を掲載しているJobbatical

実際に移住したいとなればTeleportという移住したい人向けの都市情報検索サービスもあります。世界の250以上の都市に関しての詳細情報を綺麗に纏めて表示してくれる&大体の自分の好みや職業、年収などから各都市とのマッチング度合いまで表示してくれます。

こんな感じで、少し調べただけでもかなりの量の類似サービスが出てきました。

出てきたデジタルノマド向けのサービスを大きく分類してみると、

①ツアーや住居&仕事場提供、②情報提供、そして③ビデオチャットなどの作業用ツールの3つに大きく分類できるように思いました。

ただここで思ったのが、①②③と用途の違うサービス達ですが、主張は一貫していて、デジタルノマドが生きやすい、快適なノマドライフを送るために存在しているという点です。

つまり、今あるサービス達は、デジタルノマドというライフスタイルの不便さを解消するためのサービス達ということです。

もう少し噛み砕いて言うと、個人の幸せの追求のためのサービス達です。

これらの示す所としては、あくまでデジタルノマドはライフスタイルのひとつであり、選ぶも自由、選ばざるも自由…ということなんだろうなと思いました。

企業側から見てみても、リモートワーク制度や遠隔地での従業員の雇用をすることの意義はあくまで、

  1. 優秀な人材を獲得するための飴的役割
  2. 安価な労働力でコストカットするためのグローバルアウトソーシング

といった側面が強い印象を受けます。

理想

少し話はそれますが、ここまで見てきて僕が思ったのが、

「理想って、世界中の課題を、解きたい人や、解ける可能性の高い人たち、チームといった適任者が解く世界なのでは?」

ということでした。

というのも、発展途上国にも課題はたくさんあります。インフラの整備から排気ガスの問題、食糧問題、貧富の差、その他様々なビジネスにおける不便さ。しかし、そういった課題を解くのは現状、目をつけた外国の企業や組織、個人などの少数で、その他の、先進国に住み仕事を行う人達が日々解いている課題はあくまで先進国内での課題達です。

これってなんだかおかしいなと思いました。

なぜなら、発展途上国には中〜小規模の課題が山のようにある一方で、先進国の人達が日々解いている課題は、より高単価なものばかり。

もちろん個人の価値観に寄りますが、

上場企業のコンサルティングをすることによる経済効果よりも、フィリピンの路面店の清潔さを改善したり、Webサイトを作ったりすることによる生活水準の向上の方が、世界全体では大事なような気が僕はしてしまいます。

そりゃ先進諸国の富める企業や個人の抱える課題を解決した方が高単価だし、経済効果も大きいのかもしれません。

しかし、その結果得られた資本を「じゃあ発展途上国の支援に充てましょう」とするよりも遥かに、自分の持つスキルや能力を直接発展途上国の支援に充てた方が早く、より的確なのではないでしょうか(そもそも自分の稼いだお金を支援に充ててる人間を僕はビル・ゲイツやザッカーバーグなどの著名人以外であまり聞いたことがありません)。

そんなことを考えながら、デジタルノマドについて調べていてふと思ったのが、

「あれ、デジタルノマドって世界のどこでも仕事ができるわけだから、世界中の課題の中から好きなものを選んで解決できるってことじゃないか」

ということでした。場所から自由になることで、自分に適した課題を解くことができるようになる。そして世界に貢献する。

こんな生き方が、デジタルノマドというライフスタイルの持つポテンシャルなのでは?とふと思いました。

未来

ここまで、デジタルノマドの現状と、途上国と先進国のギャップを並べて考えてみました。その結果、「自分に合った、やりがいのある課題解決を世界中から見つけて、取り組む世界」がデジタルノマドの至る将来像なのではないかという思うようになりました。

その未来から逆算すると…

現状の、社会の中でのデジタルノマド、リモートワークに対する価値観は「羨ましい、自分には難しい」といった個人的な欲求に寄るところから、「社会的に必要不可欠で、理想的な働き方」へと移り変わっていくのではないでしょうか。

そうなると、デジタルノマドを万人が実現するためのツールの成熟が必要不可欠になります。

そしてそのツールの成熟を目指す動きとはまさに、冒頭で述べたようなデジタルノマド向けのサービス達に端を発するものと考えられます。

以上のことを踏まえ、違う視点から今あるデジタルノマド向けのサービス達を見ると、「世界人口の大多数が安定したインターネットと、そのデバイスを持った時、そして社会がリモートワークを推奨した時に、真価を発揮するツールを目指して進んでいる」と捉えることができます。

ツールの成熟と価値観の変化

上で、“デジタルノマド向けのサービス”と書きましたが、これは意味合いを広げると、ほぼ全てのソフトウェアが当てはまります。

Slackにしても、facebookのグループにしても、gmailにしても、それらは場所関係なく機能するツールであり、デジタルノマドもオフィスワーカーもこぞって使っている共通のツールです。

なのでポテンシャル的には「オフィスワーカーでも実はデジタルノマドになれる要素はすでに多く有しているんじゃないか?」というのが僕の思うところです。

するとやはり、誰もが場所に縛られずにまだまだ働けないということの大きな要因はツール側よりもむしろ、価値観や制度による所が大きいんじゃないでしょうか。

仕事のクラウド化、意思疏通の高速化、コンピューター化、コミュニケーションの非言語化(スタンプ、記事、論文、グラフ、図、イラスト…etc)といった、人を場所から解放する動きはツールの発達、成熟という視点で纏められます。

それと同時に、社会全体の価値観の変化という視点で纏められる、企業のリモートワーク制度の導入や、個人のデジタルノマドの増加、周りからの理解…といった事象が、デジタルノマドというライフスタイルが一般化するためには不可欠なのかもしれません。

価値観の変化は、具体的な現実世界での変化から訪れます。

「仕事がすべてオンラインで完結するようになる」という現実世界の変化

➜「あれ、これどこでもいいんじゃね?」という気付き

➜「どこがいいかね?」

➜「世界中好きなところへ」

のような流れで、デジタルノマドというライフスタイルを選択した人達がすでに存在し、やがてその認知度が高まっていくにつれて、

  • じゃあ海の近くに住みたいな
  • じゃあ教育制度の整ったところへ子供のために
  • じゃあ芸術の都に住みたい

などなど…個人の価値観で場所を選ぶようになっていく。

結局のところ、「好きなことやろう!」という主張の背景にある「ほんとにやりたかったらやってみればいい。やりたくなければやらなきゃいい」という現実と同様に、場所やライフスタイルに関しても、「行きたければいけばいい。行きたくなければ行かなきゃいい」時代になっていきます(既にもうなっていると思う人にしてみれば、すでになっているわけですが笑)。

長くなってしまいましたが、デジタルノマドやリモートワークについて調べていく中で思ったことを文字に起こしてみました。

こうして未来を少し考えてみると、どうしても人間は場所を含めた物理的なもの全てから自由になろうとしているように思えて仕方ありません。

その時、自由になった人間、僕達個人はどこへ行き、何をするのか。

それを決めるためにはやはり、世界中の情報を正確に把握し、取捨選択することが必要不可欠なんだろうなと改めて思いました。

ちゃんちゃん。

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SHOHEI KOYAMA

Written by

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