What Great Leaders do ? -良きリーダーに必要なものとは?#2

Serina Mitsui
8 min readSep 4, 2016

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スタートアップが組織として成長する過程において、マネジメントの課題はとてもクリティカルだと思う。特に、どういうマネジメントのやり方が正しいか、会社としての価値基準をつくっていく、というのは、これから先、どういう組織にしていきたいのか、と密接にリンクしてくるのだと感じます。

世界的な流れとして、よりアジャイル的なアプローチとかホロクラシーとか、色々なワードが出てきていますが、前回に引き続き、そもそも組織マネジメントにおいて重要な役割を担うリーダーについて、スタンフォード大学教授のRobert (Bob)Suttonが講義しているWhat Great Leaders do ?-「良きリーダーに必要なもとは?」をまとめてみようと思います。

Robert I Suttonの主な著書:「あなたの職場のイヤな奴」「Good Boss, Bad Boss

4. Use a small win strategy.

いかなる状況でも小さな成功体験をつくる。これが重要だとサットンは言います。

ある会社で大量解雇を考えなければいけないほどの状況にあったとき、その会社のCEOは会議室にトップマネジメントを集め、その状況の中で、目指すべきゴール(セールスキャンペーンを前年比25%達成する)を彼らの前でプレゼンしました。その際に、集められたトップマネジメントたちは驚愕し、それは不可能だ!馬鹿げている!と彼女(CEO)を怒鳴り始めたと。しかし、そこで彼女がやったことは、ポストイットを取り出して、「私たちがやるべきことは、セールスキャンペーンを成功させるために何をするべきか、すべてのステップを書き出すことです」と話し始めたのです。そして、そのトップマネジメントたちは彼女に従い、セールスキャンペーンに必要な、すべてのステップをポストイットに書き出し始め、すぐに100個以上の項目が出たと。

そのあと、彼女(CEO)はホワイトボードの真ん中にラインを引いて、「それでは、簡単にできそうな項目をを片方に、難しいものをもう一方に分けて貼っていきましょう」と伝えました。そして、彼らはそれに従い、ポストイットを貼り出します。そのあと、彼女が言ったのは、「それじゃあ、簡単なものたちを、どうやって2週間以内に達成できるかを話しましょう」と。そして、実際に(簡単にできることに貼りだした項目は)とても簡単なものだったので、彼らは次の二週間でそれらをすべて完遂することができたのだそうです。

この事例におけるポイントは、1.大きな目標を(実行できるレベルにまで)小さく分解し、小さな成功体験を獲得し、そして2.より難易度の高い目標で成功するために必要な自信を得る、ということだと言っています。

とてもとても大きな目標があるとき、人は往々にして、それに対しパニックを起こしてしまう。だから、まずはそれを実行するひと(メンバー)が、確実にそれを完遂できるところまで、「分解すること」が大切だ、と言っています。

5. Superstars and Rotten Apples.

次に、組織におけるスーパースターと腐ったリンゴの例を挙げています。よくHR界隈で出てくる質問として、「組織にとって何が最適なインセンティブの仕組みか?」これはずっと、エコノミストや心理学者や社会学者が議論してきていることだと。サットンは、一般的にほとんどの組織ではスーパースターたちに多くのお金を払いすぎている、と言っています。

GoogleやマッキンゼーやIDEOといったグレートカンパニーと言われている会社を見てみると、彼らが”スーパースター”を、どう定義付けているかというと、「他の人の成功を手助けしながら、先に進めるひとであって、他の人を踏み台にしながら先に進むひとではない」と紹介しています。だから、評価制度を考えるときに、一番最初に考えることは、そういったスーパースターを評価できる仕組みになっているか、ということであると言っています。

I think of the great companies I’ve worked with — Google certainly qualifies in this case, McKenzie, the consulting firm. IDEO certainly qualifies in this case. When you look at great companies — General Electric’s a good example — the way that they define a superstar is somebody who gets ahead by helping others exceed, not by stomping on others on the way to the top.

また、ここでひとつの例を挙げています。シアトルのとあるお店で、最も高いパフォーマンスを出していた営業マンがいたと。けれどもその人は、チーム営業をすることに対して悪口を言っていたり、他のメンバーの営業を手助けしなかったり、さらに他のメンバーの売上を盗んだりしていたと。そのお店の店長は、その彼を見かねて、解雇した。すると、お店の売上は2週間で30%以上も向上したのだと。そして、店内の他の営業マンの成績はスターレベルまで上がったのだそうです。

上記のような腐ったリンゴがチームの中に一人でもいると、そのチームのパフォーマンスは30–40%落ちてしまう、とも言っています。腐ったリンゴをコーチングなどで変えていくのか、チームから外れてもらうのか、そういった選択をしていかないといけないのだ、と。

小ネタとして、「5:1の法則」というのも紹介しています。これは、パーソナルリレーションシップにおいて、1回の悪い相互作用に対して、少なくとも5回の良い相互作用がないと、その関係性は問題に陥る、と言っています。それは、恋愛でも結婚関係でも一緒で、その「5:1の法則」がキープできていないと、その関係性は壊れてしまうのだと。サットンは21歳のときに結婚したらしいのですが、今もずっとその奥さんと一緒にいるそう。秘訣は、自分が悪いことをしたな、と思ったときは、意図的に5回連続で”良いこと”を奥さんにしているそうです。

職場でも、何か悪いこと、不快なことを誰かに対してしてしまったな、と思ったときは、良いことを5回してみてはどうかと言っています。

6. Human shields.

最後に、サットンは良い上司はどういう特徴があるか、という問いに対して、多くの研究が示していることは、「後ろからしっかりと支えてくれる人」だと言っています。

“Managers are people who see visitors so other people can get the work done.”

例えば、ミーティングでの行動事例を出していて、組織において、上の人が往々にしてやりがちなのは、会議に遅れてくることだと。これは、「自分はとても重要な人物で、会議は自分がいないと始められない」と暗に言っているようなものだと。だから、権威を見せつけるためにはよいが、本当に良い上司ならば、メンバーのためにオンタイムで会議が終わるように、時間どおりに会議が始められるようにミーティングルームに行くべきだと言っています。

最後に….

そして、サットンは講義の締めくくりに、これだけは覚えておくとよい、と言います。「もしあなたが上司だったとき、メンバーはあなたと話した後、どういう気持ちになるだろうか。これがおそらく、あなたが上司として、考えなければならない問いだ」と。

So the question I would sort of leave you with, as a boss, and maybe in picking a boss, but as a boss, is, a question of how people feel after they talk to you might be something you might want to consider because a whole bunch of powerful things are wrapped up in that.

巷には、たくさんのリーダーシップやマネジメントの本が出ていますが、結局は人対人の関係。職場でも、プライベートでも本質的に人がついてくるひとというのは似ているのではないかな、と思います。

組織マネジメントで大切なことは、まずは、関係性の中で人に対してどう接しているか、日々の行動を振り返り、よりよい方向へ向けていくのが最初の一歩かつ、実は一番大事なことなのではないかと、改めて感じます。

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