MIX師が教える最低限のMIXの仕方を書き出してみる

具体的な数値はあえて伏せておき、手順としてどういう風に作業してるのかを書きます。あくまで中の人の手順なので他のMIX師さんや曲によってはやり方も変わりますので、例として受け取ってもらえるといいと思います。


  1. まずはDAWを立ち上げオケと録音したボーカルをそれぞれ読み込みましょう。ハモリがある場合はそれも読み込ませておきます。読み込ませたらそのままの状態で一回通して聞いてみます。この時にざっくりとMIXの方針を決めます。ボーカルが小さいからオケと音量を合わせるとか、リバーブは何を使うかとか。
  2. ボーカルの頭合わせが問題ないなら極端にずれてることはないと思いますが、歌っていくとタイミングや音程を外してしまうのが普通ですので、初期段階でタイミング補正やピッチ補正をしていきます。MIXは最初が一番大変です。何回も聞いてはタイミングを合わせていったり、音程外した場所をピッチ補正で少しずつ問題ないところに補正してみたり。ここがきっちりできてないとクオリティアップはできません。クオリティアップどころかこの後の作業にも影響しますので、ものすごく面倒ではあるんですがきっちり処理していったほうがいいです。
  3. 再生してみてボーカルとオケの音量差を確認します。音量差を確認しボーカルトラックの音量を調整していきます。具体的には無音部分はきちんと無音になるようにイベントをカットしていき、更にカットが終わったらボーカルトラックの音量を上げ下げしてバランス良く整えていき、聞かせたいところのアピールやブレスの音量調整をしていきましょう。

ここまでが序盤です。とにかく面倒な部分が詰まっていますが、クオリティを上げるならボリューム調整が重要というのを覚えてほしいです。ここを突破すればもう後は好みを入れつつ依頼の内容に沿った処理をしていきます。


ここからはMIXの中盤から後半になります。主にエフェクトを掛けてく部分です。エフェクトのかけ方は主にインサートとセンドという二種類の方法があるので、かけるエフェクトによって方法を決めていきます。リバーブならセンドエフェクト、コンプならインサートエフェクトなど。


  1. まずはボーカルトラックにEQを使ってボーカルにはあまり必要のない低音を削っていきます。次にコンプを掛けて音量のばらつきを減らしていきます。
  2. さらにEQやコンプを必要に応じて足していきます。この時にEQが先かコンプが先かはどっちでもいいですが、エフェクトは後に掛けた方の色が多く出ます。EQが後ならEQの音が、コンプが後ならコンプの音がより強く残ります。
  3. コンプを使ってボーカルの音量がある程度揃ってきてEQでアピールしたい部分を強調できたら、次はリバーブなどの空間処理をするエフェクトを使っていきます。
  4. ボーカルに使うリバーブはプレートリバーブがおすすめですが、プレートじゃないリバーブでも問題ないです。場合によってはディレイを足したり、音を左右に広げるエフェクトを使っていきます。味付けの部分ですね。
  5. なんとなくではありますが、音がまとまってきたと思います。何度も再生調整を繰り返して形になってOKだと思ったら最終段階に進みます。

最後に行く前にハモリトラックがある場合はメインボーカルが終わった段階で調整していきます。ハモリを前に出すことはあまりないと思うので、メインが整ってからのほうが調整やエフェクトの選び方も簡単になると思います。なので中の人はここの段階で調節していきます。内容としてはメインボーカルとは違う味付けをする感じです。


最後はマスタリング。全体の音圧調整と取りまとめです。リミッターで音割れしないようにしたり、リバーブを薄くかけることでなんとなくなじませてみたり。さらに何度も聞いて大丈夫と思ったら完成。妥協ではないのですが、自分のMIXにうまく見切りをつけて完成に持っていくというのも大事です。延々やってくと本当に時間だけが過ぎて前の方が良かったなんてこともたくさんあります。調整後を戻すのは手間ではありませんが、何度も繰り返してるとモチベーションを保つことができません。自分の都合に合わせてやっていきましょう。


とまあこんな感じでMIX師はMIXをしていきます。個人的にですが、MIX師の腕が問われる部分としては、とにかくボリューム調整だと思います。音量を上げるだけならエフェクトさえあれば誰にでもできます。けど、エフェクトに頼らないボリューム調整はボーカルの自然さや盛り上げ方に直結してくるので、本当に上手い人はボリューム調整に手を抜きません。最初は大変でしょうけど、ここの部分をガッツリ練習していくといいと思います。