砂漠の中の夜行列車

砂漠地帯を走る夜行列車に乗ってからどれくらい月日が経っただろうか。

そろそろ目的地に到着するころだろうか。

窓の外を覗くとあたりは大きな月に照らされて見渡すことができるが同質の景色が延々と続いており、夜が明ける様子はない。それどころか、さらに更けていっている気がする。

「夜明け前がいちばん暗い」とは誰のことばか。

そろそろ目的地に到着するころだろうか。

そろそろ到着しなければいけない。

いや、到着させなければならない。

僕にはこんな砂漠地帯で、ただひたすら夜が明けるのを待っている時間はない。

目的地にはどんな世界が待っているのだろうか。

人はやさしいだろうか。

おいしいご飯はあるのだろうか。

暑さで病気になったりしないだろうか…

それが不安なら、ずーっとこの夜行列車に乗っていることだってできるよ。

夜行列車の中は安全だ、誰とも口をきかずに済むし、ご飯はそんなにおいしくないけど、

まぁ、お腹を壊すようなことはない。

自分で好きな方を選べばいい。

ただし、早くしないと目的地を通り過ぎてしまうよ。

目的地を通り過ぎてしまうと、もうそこで降りることはできない。

この列車は片道切符だ。

今は暗くて目的地は見えないかもしれない。

それでも、諦めずに目を細めたり、大きく見開いたりして常に探さないといけないよ。

気を抜くと、目的地を通り過ぎてしまうかもしれないからね。