UXデザインで考える「ターゲットユーザー」

こんにちは、UXデザイナーの堀口です。

今回はデザインを考える時に必ず通る道、「ターゲットユーザーを決める」ことについて日々考えることを書きます。

デザインに関わらず、創作をする時は少なからず誰に向けてのモノなのかを考えますよね。プレゼン資料だったら誰に聞かせる内容かによって文体やビジュアルが違ってきますし、お料理だったら誰に一番美味しく食べて欲しいかによって材料やメニューを考えるはず。多くの場合においてターゲットユーザーを決めることは自然な流れですが、だからこそ難しい点がいくつかあります。

「みんながターゲット」はターゲティングになっていない

ターゲットを決めることは、逆説的に言うとターゲットではない人も決めることになります。これ、モノを世の中に出してそれを買って(使って)もらうことで利益を出すことが重要な企業にとっては大変恐ろしいことですよね。できるだけ多くの人に自社のモノを届けたいわけですから。ですが、「良い商品」とは必ずしも世界中の誰もが欲しいと思うものではないことが多く、ある特定の人々が「いい!」と思ってくれて購入し使ってくれることが多いのです。今日、みんなが当たり前のように持っているスマートフォンでさえ、世界で初めて登場した時はハイパフォーマンスな会社員向けのビジネスツールでした(スマートフォンの定義によっては、さらに遡って一部のテッキーな人々が欲しがるデバイスだったとも言えます)。

「全員がターゲットです」と言った瞬間、ユーザーの顔が見えなくなります。20代の新社会人から孫が5人いる70代のおばあさんまで全ての人が満足できるモノを、最初から考えることってかなりハードル高いです。考えることができたとしても、出来上がったものは色々な人のニーズを満たそうとした「最大公約数」の羅列で、きっとなんの特徴もない、ごくごく平均的なモノになってしまうでしょう。もしくは、色々な人のニーズを満たす機能を詰め込んでごちゃごちゃした「何でもできるけどものすごく使いにくい」モノになるかもしれません。

そもそも、ターゲットを決める、ということは、ターゲット以外の人たちを除外する、という意味ではないのです。ターゲットとは、そのプロダクトにとって「一番重要な人」、という意味で、それはプロダクトやそれを世の中に出す企業にとって色々な意味合いがあると思います。

例えば:

  • 一番最初に買って欲しい人たち
  • 頻繁に使って欲しい人たち
  • 長く使って欲しい人たち
  • 使って他の人に広めて欲しい人たち

一つのターゲットを満足させるモノを作ることは、結果的にターゲット外の人々も欲しがるものになることがあります。ターゲットを決めることは、どんなプロダクトにしようかを考える上で必要な機能やデザインのテイスト、そのプロダクトの売り方までを判断する重要な指標になります。

マーケティングで言うターゲットセグメントと違うところ

この特徴の人たち(ターゲットユーザーグループ)に向けたプロダクトを考える、という意味ではマーケティングで聞く「ターゲットセグメント」と「ターゲットユーザー」は変わりません。少し違う点としては、ターゲットセグメントは人の属性情報(性別、年齢、年収、居住地、家族構成など)に基づいており、ターゲットユーザーは人の価値観や趣向(都心に住みたいと思っている、一番の休日の過ごし方は旅行すること、スマートフォンを使いこなしたい、指先は綺麗にしていたいからネイルは絶対欠かさない、など)の要素をプラスしたイメージになります。ご存知の方はもうお気づきかもしれませんが、このイメージは限りなく「ペルソナ」と呼ばれるものと近くなりますね(ペルソナに関しては、別の機会に書こうかと思います)。商品やサービスの詳細を考える時、こういった情報に基づいてデザインの方向性や機能の要否などを見極めていくことがプロセスの一部です。よく考えられたターゲットユーザーは、主に二つの要素を持っています。

  • 内的な同質性:そのターゲットユーザーグループの代表者は、できるだけそのグループの人たちと多くの共通の特徴を持っている人であること。
  • 外的な異質性:そのターゲットユーザーグループの代表者は、他のグループの人たちとは異なる特徴を持っている人であること。

この二点に気をつけながらターゲットユーザーグループを考えると、いいかもしれませんね。

マスなのかニッチなのか、それ以外なのか

さて、ターゲットユーザーを設定する理由やマーケットセグメントとは少し違う部分が見えて来たところで、次によくディスカッションされるポイントが「ターゲットユーザーを(現在の顧客の)マス層にした方がいいのか」という点です。結論から言えば、全く問題ありません。ただし、なぜその人たちを新しい商品やサービスのターゲットユーザーにするかの理由が明確であれば、という但し書き付きです。この辺りはビジネス的な目的も絡んでくるので、そのプロダクトの背景を知っておくことが大切です。例えば、

  • 今のプロダクトが古くなってきたのでそれに代わる新しいバージョンを来年度末までに出したい。ついては、今のプロダクトユーザーの中でも幅広い層(マス)をターゲットにしたい。
  • 競合他社の出したハイエンドのプロダクトに対抗したものを考えなければならない。値段も高くなるなら、特定のニッチユーザーをターゲットにした方が良さそう。
  • 現在のプロダクトを今後5年かけてどうしていくかを決めなければいけない。今のマス層が5年後本当にマス層であり続けない可能性もあるので、年齢の若いサブ層にターゲットを定めて可能性を考えてみよう。

現状、会社に最大の利益をもたらしてくれているマス層をターゲットと定めないこと自体、とても勇気のいることだと思います。でも、見方を変えてみると現在のマス層を安易にターゲットと設定する危険性も考えられますし、特に一企業の中で(同じマス層に向けた)複数のプロダクトを開発している場合はカニバリゼーション(類似する自社商品がそれぞれの売り上げを奪ってしまう現象のこと)の可能性もあります。また、冒頭に書いたように、ある層をターゲットに設定することと、それ以外の層を除外することは必ずしも同じではありません。ニッチな層にターゲティングしたプロダクトを出したところ、想定していなかったマス層への反響もあった、ということもあります。

このように、ターゲットユーザーを決めていく中では様々な決断が必要ですが、その理由がきちんと説明できれば、プロダクトを開発していく上で、この上ない便利なツールとなります。今後はペルソナの考え方やデザインにおけるユーザーの捉え方について書いていければと思っていますので、お楽しみに!

最後に

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