電動キックボードで公道を156キロくらい走った話

Yusuke Naka
18 min readJun 7, 2019

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とうとう公道を走れる電動キックボードを購入してしまいました。

今年1月にHop-on!が主催する、電動キックボード(電動キックスクーター)の試乗会に参加して、すっかりハマり、自分が好きな時に好きなだけ乗れる電動キックボードが欲しいという思いから、ついに購入してしまいました。今回は、購入してどうだったか?という点についてつらつらと書いていきます。

参考:試乗会の様子はこちらのブログで。動画あります。

では、早速。こちらが今回購入した電動キックボードの納車時の写真です。

購入した機種のは、1月に試乗したFALCON PEV ZERO 8です。Hop-on!から公道仕様にカスタマイズしたものを購入しました。販売第一号だったようで、嬉しいですw

写真に写っているヘルメットはAmazonで買いました。 125cc以下用、安くて良いです。

購入したキックボードのスペックなどを改めて記載します。このキックボードの強みはやはり走行安定性だと思います。18kgもあって持ち運ぶのは一苦労ですが、公道を自動車やバイクと並んで走ることを考慮すると、安心のスペックです。

- バッテリー: 48V 10Ah
- 最高時速: 40km(設定で制限がかけられる→公道ではMAX30kmで)
- 走行可能距離: 30〜35km
- モーター出力: 500w
- サスペンション:リア(フロントにはおまけみたいなものが…)
- タイヤ:フロントはエアタイヤ、リアがノーパンクタイヤ
- ブレーキ:シングルリアドラム式
- 重量: 18kg
- 保安装置: ウインカー・バックミラー・フロントライト(LED)・フレーキランプ(LED)・反射板 等
- ナンバープレート取得済み
- ​自賠責保険加入済

電動キックボードを普段遣いして思ったこと

まず、いきなりちょっとネガティブな話で恐縮ですが、自転車やバイクのように、普段のちょっとした足や、通勤の足、買い物などに利用可能かという点ですが、個人的にはそういう用途だと、電動キックボードは向かないのではと思っています。なぜそう思うかですが…

荷物が載らない

荷物が載らないのは見てわかる通りです。とはいえ、それだと流石に不便なので、私は以下ののキックボード用バックを利用しています。このバックは4箇所で固定するタイプで、ハンドル部分に2箇所、隠れて見えませんが、裏側に2箇所固定用のバンドが付いています。

こちらの製品と全く同じものではないですが、Amazonで同じものが購入できます。キックボード用のバックはいろいろ見ましたが、これぐらいしか良さげなものがありませんでした。

私の場合、バックには、自賠責保険の証書、スマホホルダー、ワイヤーロック、サングラスを入れています。電動キックボードはバランスを崩しやすいので、買い物袋をハンドルに下げたりすることは絶対にオススメしません。必要があればバックパックを利用しましょう。

積載に関して余談ですが、私がキックボードで利用しているスマホホルダーもご紹介しておきます。

このスマホホルダー、全体がシリコン素材で出来ていて、スマホもしっかり固定されるし、ハンドルグリップにも密着して固定できるので、走行中も安定しています。ただ、キックボード自体の振動がそれなりなので、気になる方は取り付けないほうが良いでしょう。

保管場所に困る(人によっては)

普段遣いして思ったこと…次は保管場所です。私は自宅がマンションなので尚更ですが、保管場所には困ります。バイクの駐輪場が借りれればそこに置けるかもしれませんが、マンションだと競争率高そうです。当然ナンバーが付いているので自転車の駐輪場には置けません。戸建てやマンションの1Fで外から出入り可能な庭がある場合は、そちらに置けば問題ないと思いますが、そうじゃない場合は購入前によく考えましょう(私はまぁなんとなるだろう派でしたが 笑)。

私の場合は、充電する際にコンセントが必要なので、エレベーターを使って自宅まで持って上がり、玄関の中に置いています。妻にはよく邪魔だとと言われますが(笑)、これがベスト。充電時以外は、車のトランクに入れていることが多いです。車で出かけて出先で電動キックボードに乗ることが多い私には、ピッタリの保管場所なのです。

通勤で使わいたい方は職場やその周辺で駐車できるか、要確認です。

保管に関連して、折りたたんで車に乗せる際は、振動によるパーツ同士の干渉が気になって結構大変(性格的な部分もあると思いますが…)。特に、この電動キックボードはナンバープレートを取り付けることを想定していないため、ナンバーを付けた状態で折りたたむと結構干渉します。そのため、ナンバー取り付け用ステーの角度を良い感じに調整し、間にタオルを挟んで干渉しないようにしてやります。

私の車はステーションワゴンタイプでトランク容量は約500リットル。ZERO8 については折りたたみ、斜めに置くことで車載可能です。正直これ以上車体が大きくなると、車載での持ち運びは1BOXじゃないと難しいと思います。

しかしながら、公道を安全に走るにはこのくらいのサイズ&重量はあったほうが良いです。公道を走り車載も検討されている方は、購入機種のサイズや重量にはご注意ください。

セキュリティ面で心配

最後の困りポイントはセキュリティ面です。鍵もなにもないので、乗り逃げされる可能性は高いですね。とりあえず、ワイヤーロックを購入しました。

前輪のホイールの隙間をくぐらせて、近くのポールなどに固定します。ワイヤーはもう少し長くても良かったかな…という印象ですが、コンパクトで軽いので良しとします。屋外で駐輪し離れる時は利用しています(と言っても、やはり心配なので長時間放置したことはありません)。

余談ですが、FALCON ZERO 8X という新型は、バイクと同じように、電源ONする際に物理鍵が必要になるようです。電動キックボードも公道を走ることを前提に突き詰めていくと、バイクと同じような装備になりそうですね。

ということで、普段遣いして思う、ちょっとイケてないかも?というお話は以上です。購入を検討されている方がいれば、参考になれば幸いです。

観光地を電動キックボードで走ってみた

次は、実際に所有して公道を走ってみてどうだったか?という話です。私は、平日は電動キックボードには乗らないので、週末、旅先や自宅周辺で走っています。現在の走行距離はこちら。

写真はちょっと古いので、記事公開時点では180キロくらいになっていますが、今まで走った場所の中から、鎌倉・湘南、軽井沢、下田という観光地を走った時の様子をご紹介します。

鎌倉・湘南エリア

自宅が近くなので、まずはこのエリア。

自宅から直接行くことも考えたのですが、正直満充電でどのくらいの距離走行できるかがわからなかった為、最初はキックボードを車で運び、近くの有料駐車場で降ろし、そこから走るという形を取りました。一人で走っているので、走行中の写真はありませんが、なかなか気持ちよかったです。海岸沿いは特に。

走行時、注意が必要なのは自動車、そしてすり抜けてくるバイクです。この辺りを走られたことがある方はご存知だと思いますが、休日、鎌倉〜湘南の海沿いを通る国道134号線はかなり混みます。

キックボードで走る場合は、渋滞中の乗用車や観光バスの列に一緒に並ぶか、横をすり抜けることになるのですが、すり抜ける際は注意が必要です(当たり前ですが)。私は普段、自動車に乗るので、渋滞時のバイクのすり抜けについては正直ヒヤヒヤしながら見ています。キックボードはバイクより更に取り回しやすいので、調子にのって…迷惑かけちゃダメですよ!

そして、何気に大変なのが、渋滞時、道路左側で信号待ち等をしている最中に、後ろからバイクがすり抜けて追い越しをかけてくる事です。これ、車道が埋まっていて路側帯が狭いと逃げ道が無いんですね。最悪、キックボードを持ち上げて歩道に退避するしかなくなります。皆さん、電動キックボードで車の多い公道を走る際は、十分に注意しましょう。渋滞の時は諦めて車列に並ぶのが一番安全です。安全第一でお願いします。

それから、路肩を走る際は路面の状況や小石、ゴミなどに注意が必要です。見ての通り、キックボードの車輪は小さいため、バイクや自転車では気にならないような細かい障害物でもかなり影響を受けます。ZERO 8は電動キックボードの中でも足回りはしっかり作られている方だと思いますが、それでもヒヤヒヤする場面は有りました。路肩の傾斜(水捌けのためのやつかな?)も電動キックボードで走ると滑りそうで怖いです。できれば、車と並んで車道の真ん中ちょい左よりを走りたいところですが、速度的にもそれだと迷惑かけまくりなので、悩ましいところです。

それから、公道走行にはブレーキも重要なポイント。ZERO 8は後輪右側にドラム式ブレーキが搭載されています。

しっかりしたものが付いていますが、後輪だけなので、時速30Kmで走行中に歩行者飛び出し等で仮に急ブレーキをかけると、後輪がロックして横方向に滑ってスライドすることがあります(当然ABSなんか付いてませんからね)。電動キックボードを選ぶ際は装備されているブレーキは要チェックです。そして、急制動は厳禁です。危険です。スピード、車間距離に余裕を持って、歩行者の飛び出しには十分に注意しましょう。

尚、ZERO 9という後継機種からはフロントタイヤにディスクブレーキが装着されているので、より安定して止まれるようになっています。また、世の中には、電気ブレーキ(スイッチなどで電気的にブレーキをかける方式)が搭載された電動キックボードもあるようですが、公道を安全に走りたければそういう機種を選ぶのはやめて、ワイヤー式の物理的なブレーキ搭載機種を選びましょう(日本では電気ブレーキの場合ナンバープレートを発行してくれない自治体もあるとか)。Hop-on!も安全性を考慮して、取り扱う電動キックボードは物理的なブレーキが付いたものに限定しているそうです。

なんか、安全運転の手引きみたいになってきたw

話を戻して、こちらは134号線から内陸側に入ったところです。道幅が狭く車通りも少ないため、電動キックボードで走るにはちょうど良かったです。もちろん歩行者を気にかける必要はありますが、快適に走れます。そうそう、当然ですが踏切の一旦停止も忘れずに。

ちなみに、別の日に自宅から電動キックボードで鎌倉・湘南エリアを周るということもやりました。走行距離にして30キロ弱ぐらいです。間に山も有りアップダウンもそれなりにあります。コースは概ね以下のとおりです。一部海の上を走っていますが気にしないで下さいw 自宅に近いところは切り取っています。

このコースをZERO8(フル充電)で走ると、バッテリー残量は大体1/3ぐらいになります。ライダーの体重次第ですが、カタログスペックぐらいは走りそうだなという印象です。以下の写真は、由比ガ浜海水浴場の駐輪スペースにて撮影しました。

軽井沢エリア

次は、軽井沢で走った時の様子です。ゴールデンウィークに走ってきました。軽井沢はレンタサイクルがかなり普及しているので、電動キックボードのレンタルサービスをやれば普及しそうですね。

一つ注意が必要なのは、この写真を見てわかるように路面の状態は大きな道を除き、正直良くないです。小さい障害物が多いです。だから、走る機種は選びますね。サスペンション等で足回りが強化された機種を選びましょう。ZERO8もリアサスペンションは搭載されていますが、正直まだまだ役不足です。ちなみに、サスペンションについては、後継機のZERO9だとかなり改善されています。別の日に試乗しましたが、感動しましたw

また、軽井沢錦座商店街など、軽井沢は休日人通りがかなり多いので、安全を考えて押して歩くという配慮は必要です。乗り手のマナーが求められます。レンタル電動キックボードを仮に始めた場合、このマナーを徹底できるかはポイントだと思います。正直自転車より取り回しは良いので、無謀な運転をする輩が出てこないとも限りません。。。考えすぎかもしれませんが。

こちらは三笠通りを走行した動画です。ブログ冒頭で紹介した、スマホホルダーにスマホを固定して撮影したのでブレブレですが、ご容赦下さい。実際乗っている分にはここまで振動はありません。しかし、路側帯の左端の溝は危険です。車を避けるあまり道路の端により過ぎると、転倒のリスクがあるので気を付けてください。

走行体験とは全く関係ないですが、原付きのナンバーは取得した市町村が記載されているので、軽井沢では良く同郷の方から声を掛けられました。こういうのは黎明期ならではですね。楽しかったです。

下田エリア

最後にご紹介するのは、伊豆半島の突端、下田エリアを走った時の様子です。こちらもゴールデン・ウイークに行ってまいりました。下田エリアでは、昨年6月に電動キックボードのレンタルサービスをやっているお店がオープンしていたらしいですが、現在はやっていないとの噂です。

下田は下田公園の周りの海岸沿いをグルッと巡りました。道幅が狭く車通りが少ないため、電動キックボードにはおすすめです。その後は、和歌之浦隧道を通り、ペリーロードへ。ペリーロードは観光客の方が歩いているので、注意して走行しましょう。

その後は、マイマイ通りを通り、Nanz VILLAGEで少し休憩。ここは、駐輪場があるので良いですね。下田エリアもレンタサイクルがあるようなので、同じく電動キックボードのレンタルはありな印象です。道路状態も良くて走りやすいです。ただ、観光地はわりと狭い範囲に固まっているので、あえて電動キックボードが必要かと言えば…なくてもよさそうな、そんな印象は受けました。

観光地を走ってみた話はここまでです。

夜間走行は辞めておいたほうが良い

これまでは昼間の走行がメインでしたが、夜も走れるの?と疑問に思う方もいるはずです。結論としては、走れますが、走るのはやめておいた方が良いです。

なぜかと言えば、ZERO8の標準の灯火装置だと、非力すぎます。特にフロントのLEDライトは照射距離が短すぎて、外灯の無い道をそれなりのスピードで走るなんて無謀です。また、路面の小石など障害物に弱いので、それが視認できなくなるのも致命的です。

それでも夜間走るんだと言う方は、別途、ハンドル・グリップに装着できる自転車用のLEDライトを最低限用意しましょう。また、周りの車から気付かれにくいので、反射材付きの上着を着るなど、十分な配慮を行って下さい。でも、繰り返しになりますが、オススメはしません。

終わりに

ここまで、長文にもかかわらずお読み頂きありがとうございました。

この記事では、実際に電動キックボードを購入して、公道を走ってどうだったかという、体験談を書き連ねてきました。電動キックボードは日本では原付き扱いです。公道で乗るにあたって私が一番気を付けていることは、安全に走るということです。自分が事故を起こす、事故に合わないというのもそうなのですが、周りの歩行者、バイク、自動車に迷惑をかけないというのも重要です。ですので、記事は全体的にそれを意識して、ネガティブな事をあえて多く書いています。

今後、国内で電動キックボードが普及するかどうかはまだわかりませんが、仮にどこかで電動キックボードが絡む事故が発生すると、普及のスピードが落ちちゃったり、規制がかかったりする可能性もゼロではありません。電動キックボードで公道を走るのはとても気持ちいいです。一人でも多くの人がその気持ちよさを体験できるように、安全に楽しんでもらえればと思います(偉そうなこと言ってすみません)。

おまけ

※2020.07.30追記 現在以下のツアーは終了しています。

最後に少し宣伝です。私が電動キックボードを購入したHop-on!では、現在、みなとみらいと、渋谷で電動キックボードのツアーを行っています。

もし乗ってみたいと考えている方や、購入を考えている方がいたら、一度体験してみて下さい。駅などで電動キックボードをレンタルして一人で乗るのも良いですが、電動キックボードに精通したスタッフからレクチャーを受けたり、最新事情を聞けたりするのはメリットだと思います。

2020.07.30 追記

Hop-on!の電動キックボードツアーは終了していますが、公道走行可能な電動キックボード ZERO9を購入可能です!

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Yusuke Naka

WebRTCに関わり7年目。NTTコミュニケーションズでWebRTCプラットフォームSkyWayのプロダクトマネージャーをやっています。WebRTC Meetup Tokyo、WebRTC初心者向け勉強会 主催。車好きで、最近はバイクと電動キックボードを購入して乗り回しています(ナンバー付き)。