シリコンバレーでインターンシップをするまでの話 Part 1

Hiroki Imabayashi
17 min readOct 7, 2015

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Hello world

10月4日,23歳の誕生日,人生初めてのブログを書いてます.
このページを読んでくれてる人は,きっとシリコンバレーでのインターンシップを考えている人なんでしょう :D

いきなりですが,タイトルにうそが入ってます.ごめんなさい.本当はサンフランシスコです.サンフランシスコはシリコンバレーの北に隣接する都会です.Twitterの本社があったり,Uber,Airbnb,Pinterest等,他にも様々な有名な企業が多いStartupの街です.サンフランシスコとシリコンバレーの違いについて,こちらのブログで詳細に説明してくれてます.(図かりました.)

日本では今スタートアップブームもあって,あまりにもシリコンバレーという名が広まりすぎてて,「サンフランシスコ?ふぁ?どこねそれ?」みたいな感じなので,シリコンバレーのほうが馴染みがあるかな〜と思って,うそをつきました.僕もこっちに来るまでは,サンフランシスコもシリコンバレーの一部だと思っていました.こっちの人はちゃんと区別していることを知りました.

本当は,本題に入る前に僕が何をしてるのか言うべきですが,また他のポストで書くことにします.僕がどのようなプロセスでここに来たのかを書こうと思います.このMediumというブログサービスはStoryを大切にしてるようなので,Storyっぽくなるようにしないとね.参考になれば嬉しいです.

ストーリー構成はこんな感じ
1. きっかけ -No Thinking, Just Doing- (Part 1)
2. とあるプログラムへの参加 (Part 1)
3. オファーをもらってウキウキモードになるまで (Part 1)
4. オファーがなくなった話から次のオファーまで (Part 2)
5. めんどくさい手続きたち (Part 2)
6. 大陸を踏みしめる瞬間 (Part 2)

1. きっかけ -No Thinking, Just Doing-

まずこのインターンシップの話の全体的なきっかけは,去年(2014)の12月下旬にさかのぼります.当時僕はニューロサイエンスを研究していて,研究室にこもる生活をしていました.当然,コンピューターサイエンスとも無縁,ましてやラボにこもってた僕からすると”海外という外の外”にでることなんて考えてもいませんでした.そんなときに,ある優秀な先輩から「なんかシリコンバレーにインターンいけるプログラムあるんだけど,興味ない?」と声をかけられました.それが全体のきっかけでした.今思うと,その先輩と仲良くなってなかったら知りえなかったし,あのタイミングでラボにこもってなかったらきっと話は流れてたし,人生ってほんと運とタイミングで変わっちゃうなーと感じます.

Just did it without thinking.

声をかけられ,なぜかわからないけど,「いいっすね!それ!!」とノッテいました.そこから急に半強制的に話が進んで行くことになるんですが,当初はイマイチ自分が海外に行く実感が持てず,「おれって行くのかな?」みたいな感じでした.この話にのったのは,主に3つの理由があったからでした.1つ目に,心のどこかで「海外で若いうちにインターンとか後につながる経験を積んどきたい」っていうのが前からあったこと,2つ目に,プログラムがもろもろ経済面を支えてくれるというということ,3つ目に,そのプログラムの期間が2〜3ヶ月の短期設定のため,春休み中にいけて大学を休学する必要もない,ということでした.(実際は,春休み中にいけず今になり,さらに個人的にインターンシップ期間を伸ばしたことで休学を決定することになったわけですが…いろいろありました...のちに詳細を書きます.)

海外にいけるチャンスの一端をつかめたはいいものの,シリコンバレーに受け入れらるスキルセットはあったのか,というのがよく聞かれたし,僕自身も当初は不安点でした.当時のスキルセット及び経験はこんな感じ.
- 個人でプログラミングの勉強をしてた
- 数学とか理論とか好きで本読んでた(主に,統計・機械学習系)
- あるStartupで創業メンバーとしてマーケティングをがんばってた

みなさんもご存知の通り,こっちはエンジニア(プログラマ)が優遇されるところで,Google,Facebook等の大企業はもちろん,startupにも世界中のエリート大学からインターンの応募が殺到するようなところです.僕はエンジニアとして働いた経験も,サービスを作った経験もなかったので,単純にエンジニアとしてシリコンバレーに行くにはまだ早すぎると思ってあきらめてました.

別にエンジニアじゃなくても,お金のサポートはでるし,期間的にもバッチリだし,英語ものびそうだし,応募しない手はない!という感じで,何も考えずこのプログラムに応募しました.昔から何かの機会があれば飛びつくっていうのは得意です.

2. とあるプログラムへの参加

そのプログラムというのは,実は大学が今年から始めたプログラムでした.これは最近,安倍首相がシリコンバレーを訪問したのがきっかけで始まったプログラムで(だと個人的に思ってて),「もっとシリコンバレーと学生を交流させて,起業家思考の若い人を増やさなければ.」という感じで,文部科学省がいくつかの大学に予算を設けて実行を始めたものです.今年から始まったらしいので,どれくらいの大学がすでに学生を送れているのかはわからないです.んで,先ほどから言ってるプログラムのメリットは,数ヶ月と短いインターンである代わりに,その期間の住居費,交通費,食費等の生活費までもろもろ,ある決められた額の中でなら全てまかなってくれる最高のプログラムです.しかも,会社によりますが,給料もでれば,経験もでき,お金もサポートしてもらえて,休学もする不安もない,行かなければ損というようなプログラムです.ほんとうに感謝です.

これです :D
政府のサイトにしてはカッコイイ!

ただ,もちろんですが選考もありました.初年度なのであんまり応募者もいなかったようでラッキーでしたが... そのプログラムの実行主体のリーダー,シリコンバレー日本間のビジネス市場参入をサポートする会社を経営する外人の方の面接を受けました.この面接を受けるときに必要だったのが,レジュメでした.これは,こっちで企業にアプライするときに必要な書類で,日本ではESにあたるものですが,それよりもシビアで,学生の年齢でも学歴・企業・経験・スキル等を一般の社会人と同じようにA41〜2枚にまとめるものです.この作成がまず大変でした.何が大変かというと,書くべき内容です.幸い,学部のころに意識高く活動してた時期があったので助かりましたが…
英語もつっかかりまくって,全くしゃべれませんでしたが,なんとか通過し,レジュメをシリコンバレーの方にばらまいてもらえることになりました.

話がちょっと逸れますが,日本の場合,企業の一方的な採用目的の数日インターンシップが多く,また就活時期にならないと始まらないし,特に理系の人は修士課程に行くことを考えちゃってるので,周りにも外部で活動している人も少ないし,やったとしてもアルバイトが多いですよね.最近はインターンシップが文系の意識が高い人達の間では普通になってきていますが… 1,2年生から長期でインターンシップしてスキルを身につけたり,個人で何かPDCAを回してやったり,スキル磨いてサービスつくってみたり等の経験を意識的にしていないとなかなか書けないです.実際に,外資コンサルに受かるような就活強者,頭のいい人,優秀な人でさえ書くことがなくて困っているのを何人もみかけました…
採用担当は,次から次へと応募者のレジュメを見通し,採用に価するかどうかを判断します.なので,興味を持ってもらえるようなことを書く必要があります.ポテンシャル採用というのはこのレジュメの内容から考えてもなさそうで,やはり即戦力を求められているように感じます.

ここまでで言えることとしては,シリコンバレーを含め海外のインターンシップに応募する際には,「自分を動物に例えたらダンゴムシだ」というユーモア満ちあふれた質問ESシートではなく,経験ベースの堅いレジュメというフォーマット化されたものが必要で ,それに自信をもって書ける経験がないとヤバいというのが,大きな障壁になるということです.(書くのもなかなか面倒くさいですが.添削もあるし… )こっちに来ても,即戦力を求めているという話を聞きます.人件費がすごく高いので,ポテンシャル採用をして育ててる間に給料を払う余裕がないんでしょうね.ポテンシャル採用で受け入れてくれるインターンもあるかもしれませんが,その場合は給料を払わないものだったり,最初は掃除とか雑用みたいなことからというのも聞いたことがあります.本当です.ということを考えると,基本的にアピールするためのスキルセット・経験をもって臨んだ方が,いろんな意味で早いし,のちのちチャンスが広がりやすいと思います.なんの経験でも自信持って言えるならいいと思います.シリコンバレーではエンジニアだけでなく,デザイナーもマーケターも活躍できるので,自分が好きな分野で何か武器を一つ持っときましょう.個人的な意見です.(偉そうでごめんなさい.自分へのメッセージでもあります.)

dango mushi

3. オファーをもらってウキウキモードになるまで

話はちょっとそれましたが,シリコンバレーで社長してる外人の方にレジュメをいろんなStartupにばらまいてもらった結果,年明け2015年の1月中旬ころから,いくつかから興味があるということで連絡をいただきました.ちなみに当初は,春休みの2ヶ月で行くことを考えていたのですが,この時点でもう春休みにインターンは準備期間も考慮にいれると明らかに間に合わないという状況でした.
始めに面接が来たところは,こっちではかなり有名なHow to ページを運営している会社で,wikiHowというところでした.

この企業は,日本向けにシステムを翻訳したくて,日本人でエンジニアリングができる人が欲しかったようです.エンジニアというポジションを得られることは嬉しかったけど,心のどこかでこれは違うなと直感的に思って,ことわりました.その時僕は,この記事全体をマニュアルで翻訳する業務になるんじゃないか?とか勝手に思っちゃって,もうちょっと何をするのかちゃんと聞いて判断しても良かったな〜なんて反省もしてます.これはPalo Altoというスタンフォード大学があるところにオフィスがあって,まさにシリコンバレーで場所は良かったのですが…

で、次のお誘いがなかなかに良いころでした.そこはまだ会社化してなく,まさにStartupでした.TeamifierというStartupです.ここの創業者とは連絡を取り合って面接までこじつけました。聞いたところによると,ここがやろうとしていることは,「Sartup界隈の人材をもっとプロジェクト単位で繋がりやすくしてイノベーションがより生まれやすい方向に加速させたい.そのために人工知能を使って,どういう人がどういう人と繋がるべきか,どんな似たようなプロジェクトがあるか等を最適化して表示するようなパーソナライズされたシステムをつくりたい.」ということでした.場所はシリコンバレーのど真ん中でした.

僕はちょうど個人的にデータサイエンス,人工知能(理論でいうところの機械学習)あたりを勉強してたので,シリコンバレーでエンジニアとして働く経験ができ,かつ自分の理論の知識もシステムの形で表現でき,おまけにStartupすぎて始めから自分が特権握って開発できる,キタコレという感じでした.

面接は1時間以上ありました.英語がもちろんできないので,70%以上もう何を言ってるのかさっぱりでした.ただ,何をやりたいのかみたいなところとか重要部分は聞き取れたので,そこから勝手に想像してなんとか… って感じでした.面接中に「あ、オワタ… 」と思った質問がありました.それは,「もし君がパーソナライズされた検索エンジンを作るならどうする?何かアイデアは?」でした.これは,盛ってアピールすることで必死だったために,「GoogleのPageRankアルゴリズムをクローラーと一緒に実装したことありますぅっ!」っていった発言が原因でした.下手な発言をするべきではないと後悔しました.この質問に対して僕の答えはこうでした.「えーっと,ちょっと待ってください〜.えーっと,考えたことないっすね… あっでも例えばベイジアンネットワークを使って,なんかこう確率的に関連度を変化させてぇ… (沈黙1)…… あースモールワールドをつくってぇ〜……(沈黙2)…… アー……アーン…… (意味不明な沈黙3)…… ちょっと,考えたことないっすね… 」僕自身も何を言ってるかわかりませんでした.その時の僕にできたのは,知ってるだけの横文字を並べることだけでした.オワッタと思いました.ただ,もう機会を逃したくないと必死になって,「今から考えます!実装してもっていきます!給料無しでいいです!がんばりますからぁ!!」と言ったのを覚えてます.見事なまでに経験させてもらうときの典型的な言葉です.カタコトの英語でした.当然,実装なんてできる自信もなかったです.

1時間ほどの面接が終わった後,メールがきました.「君を受け入れたい.必要書類とかあったら言ってくれ.」と.信じられませんでした.この時は,なんならもはや,ウキウキモードです.この時に初めて,「おれシリコンバレーに行くんだ.あのシリコンバレーに.」って思いました.うれしくて友達にも親にも報告したくらいです.おそらく要因は,あの典型的な熱く見える姿勢,横文字をなぜか知ってたこと,の2点くらいだと思います.(すみません,上で偉そうに即戦力が… なんて言いましたが,こういうラッキーもあるようです.)理論の本読んでてよかったと思いました. 横文字並べが役立つときもあるんだと思いました.

この時点ですでに3月の頭に差し掛かっていたので,春休みに行くプランは途絶えていました.そのときは,教授に交渉して休学無しで4〜7月くらいで行くということにしていました.ただ,上のストーリー構成でネタバレしたように,このオファーの話は頓挫しちゃいます.長くなるので続きはPart 2に書こうと思います.

言いたいことも明確にならずに終わるのもどうかと思うので,最後に,シリコンバレーでインターンシップの機会を良いポジションで得るために,またそれが長期的に良い方向に向くために,僕が重要だと思うことを3点,Part 1 からまとめます.

  1. まず何よりも自分の経験・スキルとして自信をもって言えるものを持っておく(レジュメにかけるレベルで)
  2. レジュメをばらまいてくれる人や会社,プログラム等の機会をつかまえてしっかりと利用する
  3. 共通言語を増やす

もう少し具体的に言います.ちなみに良いポジションでというのは,いわゆる雑用ばかりの仕事ではないということと思ってください.(曖昧ですが)

1について

上でもいろいろ書きましたが,これはやっぱり当たり前に要求されます.というのも,その人がどういうことをしてきたのかを知る唯一の情報だからです.それが問われないということは逆に言うと,面接官には,その人がなんの仕事ができて,どう貢献できるのか分からないので,採用されたとしても雑用からスタート?みたいな.僕の場合は,過去にstartupで働いた経験,プログラミング,数学や理論の知識,それに対する姿勢あたりが判断材料だったんだと思います.

2について

せっかく書いたレジュメなので,これを上手くデリバーしないといけません.現地でStartupに声をかけて届けてくれる人や、いくつかstartupにコネクションを持ってるインターンシッププログラムに参加したり、代行会社に頼んだりするのもいいかもしれません.そういうのがなければ,Emailで直接採用担当に送るのが早いかもしれません.ただ,相当優れたレジュメじゃないとスルーされることが多いかもしれないですが.僕は,応募したプログラムを通じて外人の方を紹介してもらい、その人に受け入れ先探しをお願いしました.インターンシップの”ちょーめんどくさい”問題にビザ取得があります.(Part 2で書きます)Startup側としても,こういうのを全体的に面倒みてほしいと思うので,だれか現地の人を仲介するのが現実的なのかなーって思います.個人でEmail送って全部やるっていうのは,なかなかにハードな気がします.

3について

これまで何度も共通言語の大切さを思い知らされてきました.一般的に言語というと,英語とかドイツ語とかフランス語とか思い浮かべますが,世の中の話題を抽象化すれば全て言語だな〜って思います.僕は理系人間なので,例えば専門科目について,特に数学や情報学,これらは人と会話をする上で,日本語の次につかう言語だなと思います.「あなたの第二言語はなんですか?」「Pythonです.」という感じです.脱線しそうになったので,まあ,一言で何が言いたいかというと,いろいろ知ってたらいろんなチャンスが広がるんじゃないかということです.(言葉にするとなんか軽いですね.今書きながらびっくりしてます.そんなん当たり前じゃんみたいな.) あの時あのことを知ってたら,あの人ともっと深く話せて,コネクションができてたのに,きっとオファーがきたのに,良い評価を得られたのに,…, いろいろありました.もちろん,英語に関してもそうです.逆に自分の知ってる範囲なら無双できます.僕の場合は,このオファーが来た面接で横文字無双をしたので,もしかしたらこの人はすごいのかもしれないと奇跡的に思わせれたのかもしれません.恥ずかしい限りです.

面接の時は,その募集ポジションにあった共通言語を当たり前のように使われ,問われ,ときにその周辺の言語を引っ張り出してディスカッションするので,まるでいくつ言語を話せるかを試されているようです. シリコンバレーやサンフランシスコでは新しい技術,理論,プロダクトが次々とホットになって試されている中で,言語というのはそこにキャッチアップしていくための基礎力だと日々感じています.個人的な意見では,操れる共通言語を増やすというのは,こっちでいろんな機会を勝ち取っていく上での必要な条件で,インターンシップを含めこっちでの経験の価値を極大化するためにも良いことなんじゃないかなぁと思います.

以上3点無理やりまとめてみました.イマイチ実行レベルで参考にならない気もしますが,なんかこんな情報が欲しいみたいなのあれば書くのでつっこんでください.個人的なメッセージでもOKです :)

続きはPart 2 で

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Hiroki Imabayashi

EAGLYS Inc. Founder & CEO / 次世代のセキュリティ技術やAI技術についてかきます。暗号技術とデータセキュリティ、ビッグデータ解析処理基盤、機械学習(AI)、パターンマイニングあたりが専門領域です。「データを暗号化したまま検索や解析、アクセス制御する」研究と、AI研究開発・導入支援をしてます。