Apple Watch レビュー: 思っていたよりよかったこと/悪かったこと

Yoshifumi Shiiba
7 min readMay 4, 2015

Apple Watchと1週間すごした

Apple Watchが発売され、ぼくが手に入れてから1週間と少しの時間がたった。実際にはどんな使用感だろうかと恐る恐る購入したApple Watch Sportsも、今はぼくの腕にすっかり馴染んでいる。Apple Watchとは一体どんなデバイスなのか、未だに具体像をつかめていない人たちに向けて、ぼくの個人的なレビューを書こうと思う。

ぼくにとってApple Watchは初めて運用したスマートウォッチであり、いくつか、あるいはほとんどの点がApple Watchというよりスマートウォッチという製品カテゴリについてになるかもしれない。それも含めて読んでもらえればと思う。

想像以上によいこと

Apple Watchにはたくさんの素晴らしい点がある。モーションセンサによるアクティビティのロギング、ハートビートアプリによる心拍数の測定、それを共有することだってできる。しかも、Apple Watchはデベロッパ向けのSDKによって機能的な向上の可能性を無限に広げている。それらの明白な点を除いて、Apple Watchを買う前とぼくが実際に使用して得た所感で、想像以上に素晴らしかった点を紹介しようと思う。

1. ウェアラブルデバイスとしてのプッシュ通知

ぼくの周りには、可能な限りiPhoneをミュートモードにしないというポリシーの人達がいる。iPhoneにくる重要な通知を、ミュートモード時のバイブレーションでは気づかないかもしれないというのが理由だそうだ。この懸念はもっともなものだ。iPhoneを常にポケットの中にいれて身につけているのならよいが、柔らかいベッドマットの上に置いてあったり、カバンに入っていたりしたときには通知に気づかないだろう。このような懸念がなくなる。スマートフォンのプッシュ通知とウェアラブルデバイスのプッシュ通知には想像よりも大きな差があった。

手首に装着したApple Watchは、なんらかの通知を受け取ると手首を叩くようなバイブレーションと消音可能な音によってその旨を知らせてくれる。メッセージやアラーム、アクティビティの指示を静かに、自分だけにわかるように伝えてくれる。

つまり、Apple Watchを装着している間はプッシュ通知に気づかないという概念がなくなるのだ。ミュートモードであろうがなかろうがだ。もちろんApple Watchを買う前からイメージはしていたが、想像を超えて優れていた。

素晴らしくもあるが、多くの人にとって恐ろしくもあるだろう。気が散り過ぎないだろうかと。だいじょうぶ、Apple Watchのついた腕を上げ、スワイプとワンタップでかんたんにおやすみモードをオンにして通知を切ることができる。

2. デジタルクラウンの数字入力

Apple Watchによる文字入力は想像通り絶望的に使えない。認識精度うんぬんの話ではなく、一体どこの誰なら、自分の手首のデバイスに変身ヒーローのように指示を音声入力するような人間を許容できるのだろう。車の運転中にやむなく使用するならともかく、普段使いでそれをするのはハードルが高過ぎるだろう。少なくともぼくにはできない。

だが、数字の入力だけは別だ。デジタルクラウンは予想以上にうまく機能していた。慣れは必要かもしれないが、くるくる回してかなり細かな数字も実用的なレベルで入力できる。

ぼくは料理の時や自分へのリマインダーのためによくタイマーやアラームを使用する。Apple Watchが手首にあれば、iPhoneを取り出さなくても手首から簡単に通知の時間を設定して、タイマーをセットできる。当然のことだと思われるかもしれないが、数字の入力にはもっとまごつくものだと思っていた。が、Apple Watchではそれが想像以上にうまく機能していた。すばらしい。

想像以上に悪いこと

Apple Watchにはたくさんの悪い点がある。特に価格についてはどうかと思っている。前述した文字入力も最低だ。できないと割り切るべきだったように思う。そういった明白な事をのぞいて、少し想像より使えなかった点について書く。

1. 腕時計として

Apple Watchにはもちろん名前の通り腕時計機能がある。液晶ディスプレイに表示される時計は美しい文字盤と温度や天気などのいくつかの情報を同時に表示している。普段はブラックアウトした液晶が、腕を上げるモーションを感知してオンになり時計を表示する。

使って分かったが、腕時計としてApple Watchは駄作だ。腕時計は腕を上げている時にだけみるものではなかったのだ。デスクに腕をおいている時、膝においている時、ふと時間を確認したくなってApple Watchを見てもそこにあるのは真っ暗な画面だ。腕を動かさなければ時間を確認できないというのは想像を超えたストレスだった。ぼくにとってはだが。とにかく、少なからず一般的な腕時計と同様に使えるものではないということだ。

2. 文章を読む

Apple Watchには様々なサードパーティアプリが存在する。App StoreからiPhoneにダウンロードしたアプリがApple Watchに対応していれば、自動でApple Watchにもアプリが登録され、メニューに表示される。様々な種類のものを使った。

ぼくはiPhoneでいくつかのニュースアプリを使って毎日ニュースを読んでいる。当然Apple Watchとも連携し、ニュースを腕時計から読めるようになるものだと考えていた。

Digg、Flipboardやグノシーといったニュースアプリをしばらく使ってみたが、想像以上に使えなかった。深く語る必要もない、iPhoneをポケットから出したほうが読むのが早い。1つのパラグラフすらスクロールせずに表示できないApple Watchの液晶ディスプレイは、ニュースのような文章のリッチな情報を追うのにはまったく適さなかった。

最後に

以上だ。Apple Watchは優れたデバイスだが、当然のように万能なものではない。でも、ぼくは今、これを手放すことを想像することもできない。

Apple WatchにできるほとんどのことはiPhoneにだってできる。おそらくはもっとうまくやれるだろう。

でも、Apple Watchを使えばもっと早く、そして頭を使わずにやれる。ポケットからiPhoneを取り出し、ロックを解除して目的のアプリを立ち上げるという5–6秒を、Apple Watchでうまくやれるタイプの作業なら2秒かそれ以下でやれるようになる。これは、何にも代えられない利点だろう。

iPhoneを所有していてかつ、モダンなデジタルガジェットへのアレルギーがある人でなければ、例外なく持っていて損はないだろう。

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