いまさらFallout4 VRをWindows Mixed Realityでプレイしてみたら最高だった話

Yoshifumi Shiiba
12 min readAug 19, 2018

Falloutシリーズが大好きだ。Fallout 4は300時間以上プレイしたし、Fallout 3も同じくらいプレイした。この素晴らしいゲームのVR版、Fallout 4 VRをVRヘッドセットを持っていなかったことから買わずに放置していたが、この度設備を整えてプレイし始めることができた。

VR版に関しては20時間ほどプレイしたばかりで、まだまだひよっこの連邦市民だ。しかしプレイ人口が少ないのかFallout 4 VRにはしっかりしたレビューがあまりないような気がするので、Fallout 4 VRのためにVRヘッドセットを買うかどうかを迷っているどこかの111の助けになればとプレイするまでの準備についてとレビューを書いてみることにした。

VRで蘇る連邦での日々。

注意

  • 対象となるゲームの性質上、この文章には過激な表現が登場します。不快になる可能性がありますので、ご注意ください。
  • Fallout 4の内容について多分にネタバレを含みます。

準備その1 — VRヘッドセットの入手: Amazon.comだとWindows Mixed Realityヘッドセットが激安

Fallout 4 VRをプレイするにあたってWindows Mixed Realityヘッドセットを入手した。社用のViveや開発版Oculusは使ったことがあるが、プライベートのゲーム用にVRヘッドセットは持っていなかったので、新たに買った。なぜHTC ViveではなくWindows Mixed Realityなのかといえば「安いから」で、それ以上でも以下でもない。Fallout 4 VRをプレイしようかと思い立った理由でもあるのだが、Amazon.comでWindows Mixed Realityヘッドセットがだいたい最安 $170ほど(2018年8月現在)で入手できる。Viveを入手しようとすると65000円ほどすることを考えると、アメリカからの送料込みでも1/3弱である。安い。

ごく個人的に、VRでできるフルサイズのゲームのうちプレイしたいのはFallout 4 VRSkyrim VRくらいだった。Arizona SunshineAssetto CorsaARK Parkは面白そうだがそのためにViveを買うほどではない。20000円くらいなら、もしほかに大作ゲームが登場せずにFallout 4 VRとSkyrim VRだけをプレイして終わっても十分採算がとれるように感じた。

購入したHPのWin MRヘッドセット。安いしちゃんと動く。送料込みでも$200くらいだった。

公式にはFallout 4 VRはWindows Mixed Realityに対応していない。が、Redditやブログを徘徊しているとどうもSteamVRで問題なく動きそうだったので買ってみることにした。試すまでは実際ちゃんとプレイできるか心配だったが、やってみると特に問題もなく順調に動いている。妻がViveのみ対応表記のVRホラーゲームをやっていたが、それも問題なく動いていた。SteamVRの互換性担保が想像していたよりずっと良くできていたのは発見だった。

本当はこっちのほうがいいHTC Vive。ゲーム1・2本のためだけに買うには割高に感じる。なぜか大体在庫がないため、実売価格は一層高価かもしれない。

実を言うと、ゲームとの相性問題はないがVRシステムとしてHPのWin MRヘッドセットには問題が多い。視野角が狭い、液晶のため発色が悪い、瞳孔間距離のハードウェア調整ができない、ピントがシビアなのにすぐヘッドセットがずれる、かといってしっかり締めすぎると後頭部が痛くなる、と問題だらけである(Samsungのヘッドセットはハードウェアとしてよく出来てるらしい、でも高かった!)。しかしそれらの問題はすべて価格の低さのためにあえて設計された点でもあるはずだ。文句はない。

準備その2 — 初めての大作VRゲーム: VRの一般的な問題

不安に思う人もいるかもしれないので、ついでにVRの一般的な問題についても記載しておく。

まずVR酔いについてだが、これは慣れだ。僕は車には酔わないが船には酔うくらいの並の三半規管を持っている。最初は30分プレイすると気持ち悪くてプレイを続けられなかったが、めげずに何度も何度もなんども連邦へ向かっている間に全然気にならなくなった。今では10時間連続でも連邦を旅できている(ただし妻は渋い顔をするので注意が必要だ)。

もう一点、周囲を見渡すために立ちっぱなしでゲームをするのがかなり疲れる。でも、111が立っている前提でゲームは進む。座っても問題なくプレイできるが、没入感を高めるために絶対立ってプレイするべきだ。たしかに2時間ほどプレイしているとふくらはぎが疲れてくる。深く考えずに、疲れたら座って休めばいいのだ。ダイヤモンドシティのシェフィールドの隣にでも座って彼の話を聞いてあげてもいいし、壮大なプリドゥエンを見上げつつラジオを聞くのもいい。

プレイエリアは「立位およびルームスケール」である。ここの表記は結構大事だ。

Fallout 4 VRで連邦を旅する

えらく前置きが長くなったが、Fallout 4 VRについて感じたことをいくつか書いていく。

圧倒的な没入感はまるで現実の自分がゲームの中にいるかのように感じる。そして、様々なところで現実の自分のステータスがFallout 4の世界に反映されているのがわかる。

ボストンに核が落ちるところからストーリーは始まる。平面ではないバーチャルな世界で人々が逃げ惑うのをみるのはなかなかショッキングだが、序盤はVR酔いでそれどころじゃなかった。ワープ移動(デフォルト)はしたくなかったので直接移動で無理やりプレイしていたが、前述のとおりそのうち全く酔わなくなった。

冒険の始まりの地、Valut 111のエレベーター。

よく語られるラッドローチ怖すぎる問題だが、僕はあまり怖くなかった。これは僕自身、虫が特段苦手ではないからだと思われる。VRオープンワールドには、現実の自分のステータスが反映されるのだ。ただしラッドローチに限らず、AP切れの状態でフェラルグールやマイアラークの大群に張り付かれて肌をガシガシと殴られる状況は純粋に恐怖を覚える。あれには慣れない。

ゲームを進めてまず感じたのは、近接武器の辛さだ。わりと大きくコントローラを振らないと攻撃判定にならないため、動きの早い敵の接近に合わせられず一発はもらってしまう。そしてFallout 4でしばしば対する事になるフェラルグールやマイアラークはかなり足が速いため、自然と銃中心の装備に落ち着いていく。

とはいえ銃のエイムも難しくなっている。クロスヘアなど現実にはないのだ。そもそもがあたりづらいが、敵に囲まれてしまったり、危ない場面になってしまった時ほどより慎重に弱点をエイムして銃を撃つ必要がある。APが切れてV.A.T.S.が使えなくなったときほど連射してとにかく当てようとしてしまうが、致命傷を与えられないまま接近されるとさらに焦って事態が悪化していく。現実の自分が戦闘に習熟し、恐怖に打ち勝って焦らずエイムできるようになる必要があるのだ。

スクリーンショットでは伝わらないが、ガトリングレーザーの巨大さもよくわかる。時にはこれでフェラルグールを殴る。

もうひとつ恐怖した点として、レイダーの死体がある。序盤、コンコードで初めて戦ったレイダーの死体からおなじみの剥ぎ取りを行う際には、リアルな質感のある人間の死体に初めて向き合うことになる。非VR版では何千回とやったはずのこの作業に、あまりのリアルさに気後れしてしまったことに自分でも驚いた。しかし真に怖いのは人間の慣れである。レイダーを何人も葬るうちにリアルな質感の死体から物をあさるのにも慣れてなんとも思わなくなった。

コズワースたち。左端がサンクチュアリに攻めてきたガンナーの成れの果て。

Fallout 4 VRをやって一つ気づいたことは、VRプレイだと立体的な建物の中で迷わなくなるということだ。当然のことかもしれないが、平面のディスプレイで知覚するより、両目で立体的に知覚したほうが現実的な空間として認識されるようで、方向感覚が狂わなくなる。コルベガ組立工場のような複雑なマップにて非VR版でよくあった「方向がよくわからなくなったからとにかくマーカーに向かってまっすぐ進む」ということが少なくなり、慎重かつ楽しんで探索できるようになった。

同様の理由から、街を以前よりも楽しめるようになる。非VR版ではなぜか記憶に残らないダイヤモンドシティ周辺の地理なども何度か通るうちに覚えてしまう。Fallout版ボストンの地理に習熟できる。

ダイヤモンドシティ前。右の通りを進めば駅やスワンの池につく。

Pip-Boyはデフォルトで実際に左手首を持ち上げて見るようになっている。この操作の視認性の悪さにイライラするが、左トリガーからPip-Boyのいつもの画面を目の前に呼び出せるようになる設定が存在した。他にもバージョンアップに伴って痒い所に手が届く設定がいくつか追加されているはずなので、操作性に不安のある人は最新の情報を集めてみることをお勧めしたい。

伝わりづらいが、左コントローラのトリガーで目の前にPip-Boyの画面が浮かび上がる。

もう一点。Windows Mixed Realityヘッドセットでプレイしているとコントローラについているスティックとトラックパッドの使い分けの便利さに気づく。移動は左スティックで、方向転換は右スティック。Pip-Boyのメニューや物品のカテゴリ移動など、ハイレイヤな移動はトラックパッドで行う。トラックパッドのみのViveより少し操作しやすいのでは説が浮上した(もちろんViveでやったほうがトータルでは快適に決まっているが……)。

Windows MRの右手用コントローラ。よく働き、よく電池を消費する。

Fallout 4 VRの素晴らしいところ

  1. リアルな視界と、それからくる自分の感情を通して感じる圧倒的な没入感。連邦が現実のものとして感じられる。いや、連邦は現実なのかもしれない。
  2. 人のリアルさが際立つ。ゲームあるあるだが平面のディスプレイを通すとカメラ画角の問題で目線の高さにある会話相手の頭がやや大きく感じたりするが、VRで見ると正確に作られていることがわかる。死体もリアルである。
  3. 発売から割と時間が経過したが、絶賛更新中であること。バージョンアップに伴って昔のバージョンでは不便だった点が改善されていたりするので、最新の情報を追ってみると不安がなくなるかもしれない。
クリケットさんに出会った感動もひとしお。

Fallout 4 VRの良くないところ

  1. 率直に、インターフェイスは難しい。Falloutは戦闘だけでなく、限られたリソースをどう活用するかという要素のあるゲームである。したがってある程度複雑な作業を行う必要があるが、ワークショップのパネルなどではどうしてもVRコントローラでは不十分だと感じる。慣れるが、これが最適だとは思わない。
  2. 泳ぎのインターフェイスが最低だ。ハイウェイなどから海に落下してしまった際にはスティックでの直接移動から突然、両手を振る泳ぐジェスチャーでの移動に切り替えさせられることになる。放射能ダメージをもらいながらになるわけで、混乱する。このジェスチャーを望んでいる人が果たして存在するのだろうか。
  3. DLCが早くほしい。Redditなどの怪しい情報では調整中でいつかオフィシャルのものが入手できるようになるらしいが、真偽は不明である。Modで非VR版のDLCを無理やり適用することも可能だが、オフィシャルのヌカワールドをプレイした際の楽しみが削れそうでトライできずにいる。一刻も早くレイダーとして連邦で暮らしたい。
難所の一つ、クラフトUI。

最後に

Fallout 4 VRをやってみたい元111だがVRヘッドセットを持っておらず、FalloutのためにHTC Viveを買うのにも二の足を踏んでしまう、僕のような111は割と多いのではないかと思っている。Windows Mixed Realityを活用すればコストは抑えられる。間違いなくローエンドの環境だが、とにかく一度しっかり体験したい人には強くお勧めできる。なによりFallout 4が好きであればFallout 4 VRは間違いなく最高に楽しめるゲームだ。

ぜひ連邦の旅を楽しんでほしい。僕もそろそろ連邦に帰らないと。

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