シリコンバレーのアクセラレーターを受けて感じている事

Yoshua Dilham Kishi
Jul 29, 2018 · 11 min read

サンフランシスコ空港に到着。期待と不安を胸に、初めてのサンフランシスコに降り立った。特に他との違いは感じないし、そこからPaloAltoに移動街中を見ると、正直ただの田舎。広い道に大きな建物。日本の田舎で見るような風景がそこにはある。

「こんな田舎からなんで世界的企業が生まれ続けるのか?」

これは僕にとって大きな疑問を持たせた。もちろんサンフランシスコは都会だが、Palo AltoからMenlo Parkは、HP、Apple、Google、Paypal、Facebook、Teslaなどなどがここで創業、または現在でもビジネスを展開している。世界のTech企業は、ここから始まった。

【画像引用元】http://takanoridayo.blog.shinobi.jp/Entry/395/

FAANGが強大な力をもち、この地を中心に回っている(Amazonはメインがシアトルだがオフィスはある)。何がこの地をそんなにも革新的な企業を生み続ける仕組みにしているのだろうか。

シリコンバレーのど真ん中で

僕は今、通称HACKER HOMEと呼ばれるStartup Embassyという場所に泊まっている。HyperLoopの開発者やHouzzのリードエンジニア、Googleのエンジニア、Quantam Computingのエンジニアや脳科学者、スタートアップ経営者が集まっている非常に面白いシェアハウスだ。ここでは毎晩のように、Stanford大学を招いたり科学者を招いた交流会をして、ピッチを行っては意見やアイデアを交わし合う。中には、インド、ブラジル、フランス、イタリア、ドイツ、エジプト、オーストラリア、中国、アイルランド、アルゼンチンなどなど本当に世界中から人がやってきて、共通の言語で話す。

Startup Embassyのガレージ

http://www.startupembassy.com/

起業家が話している内容はほぼ同じだ。リーンスタートアップで言われている手法、アジャイルな開発手法、とにかく仮説検証。起業家側には大差がないように思える。

日本の起業家との違い

違うのは、ポテンシャルマーケット。日本ではポテンシャルマーケットが小さい(国内しか見てない / インパクトが小さい / 本気じゃない)ところを狙う人が比較的多いが、Silicon Valleyでは大きなポテンシャルマーケットがあるか、という話をするところが全然違う。

また、VCは全然違う。もちろんVCにもよるが、彼らは一切テクノロジーに興味を示さないと言ってもいい。興味があるのは、「どうやって仮説検証するか」「ポテンシャルのマーケットはどれくらいか」「どうやって勝つのか」、ここにしか興味がないと言っても良い。一言でやっていることを説明して、と言われたサウジアラビア人。「AIを使って」と切り出した瞬間に、「うん、そこに誰が興味あるの?」と言うVC。2-3分間の中でいかに短く自分のストーリーを伝える事が重視される。

ガレージにSteve Jobs!

「こんな場所が日本にあったら」と思う。しかし、そこには言語の壁、そして文化の壁があるように思う。特に、文化の壁は大きいように思えて仕方がない。アクセラレータでもそうだし、このシェアハウスでも「誰かが中心」といった事は感じられない。全員が意見を交わし合い、はっきりものを言うが別に喧嘩をしているわけではない。僕の拙い英語もしっかり聞いてくれるし、下手な英語でも言っている事が正しい時は正しい、間違っている時は間違っているとしっかり言う。

アクセラレーター

集合知の物理学

ネットワーク効果

今参加しているアクセラレータもそうだが、みんなが意見を交わし合い、集合知が大きな財産になる。1つの発言がどんどん次の発言を呼び、非中央集権的に全員の知識が集積されていく。しかも、それがどんどん連鎖して繋がっていくのがすごい。

シリコンバレーでは、「ネットワーク」が非常に重視されていて、この人と会うといいよ、という事で一瞬で繋いでくれる。自分のメリットになるかよりも、集合知が連鎖的にネットワークしていくように感じる。

ちなみに、僕みたいに英語が拙くても、手をあげて発言し、Pitchしてみんなからフィードバックをもらえる。めっちゃディスられるんだけど、その後に「手を挙げてくれてありがとう!素晴らしかったよ」って言ってくれるから救われる。笑

ユニコーン起業家を訪問

BlueJeans NetworkはBillion Dollar のユニコーン。起業家の生の声を聞けるのは非常に良い体験だった。

https://www.forbes.com/sites/alexkonrad/2015/09/23/blue-jeans-raises-76-5-million-from-nea-and-jeter/#24d4ec2626e0

Krishさんとのショット

BlueJeansはCiscoやWebEX、Skype、最近ではzoomなどなどがいるビデオ会議のスタートアップ。創業当時にすでに大きな競合がいる中での参入だった。どう差別化するか、どのテクノロジーが今どうきているか、を見極めての参入だった。当時はモバイルにすぐに適応することが大きな価値提供だったし、さらにバンドルすることも価値だった。

そして、スタートアップには辛い時期もある。これは創業者であり、 CEO Krish Ramakrishnanの体験したこと。

Skypeとの提携の際、SDKを組み込むのに成功。その後、eBayに買われたSkype。提携がなくなったので、今度はeBayと再交渉したかったが、eBayなんて誰に話せば相手をしてもらえるか分からなかったそうで途方にくれていると、たまたま投資家の1人が友達にeBayの人間がいて紹介してもらいなんとかなった。しかし、今度はMSに買収され、どのルートから行ってもダメだった。

スタートアップにはとにかく、良い時もあれば悪いと時もある。その時が来るまで、諦めないことだ、というのが彼の教訓らしい。今ではMSとも取引がある。

ここでZuckerBergは投資契約書にサインしたらしい

デザイン思考

僕らはデザイン思考をベースにしている、というと「当たり前でしょ」って顔をする。アクセラレータでは、IDEOのデザイナーやStanfordでデザインを教えているプロからデザイン思考を学ぶ。ユーザーを中心に、「顧客は誰か」「どうやって解決するか」「どうやって質問したら本質は見えるか?」「そこにどんな体験が必要か」「どうデザインするか?」「どんなプロトでどう高速で仮説検証するか?」という流れを体験する。

コワーキングスペース

伝達の大きな違い

極めてローコンテキストだと言われる事があるが、論理的で率直であるという意味ではない。そこにあるのは、短く正しく伝える技術である。Storytellingは1つの潮流になっているが、短い間でイメージがしやすい誤解を産まない伝達技術をまなばされる。しかも、かなりの粒度で。例えば課題の伝達。

“Difficulty in Access to the information”

“Limited Access to the information”

どっちを使うかさえも議論になる。本当の課題を短く伝えるために、1つ1つの言葉のチョイスを大事にしている。アクセラレータではこのあたりは丹念に行われていて、どう伝えると、どう感じるかを学ばされている。

高速検証

とにかく早くやって、早く失敗。そこから修正する流れの一連が全てのように、失敗を奨励している。この「失敗を奨励する」というのは特異な文化。多少のバグも気にしない。日本人なら「いや、それはダメでしょ」って思うことも別に大丈夫。失敗がここでは失敗ではなく、修正する事が何かわかった、という事実のみ。失敗を気にしないのがこの高速検証を可能にしている。

失敗とは何か?

シリコンバレーでは何を失敗とするか?良くいう「挑戦しなかったこと」。これはもちろんその1つで、どこにいても挑戦する人、手を挙げてやってくれる人が奨励される。アクセラでメンタリングをしてくれた人も「失敗とは法に触れて捕まってしまうのはもしかしたら失敗かもしれないが、挑戦しなかったことよりはマシ」と言っていた。ここは完全にAgree。日本にはそこまでやる人少ない。UBERなんていまだに違法。笑

しかし、面白いことがある。NESTは知っているだろうか?Googleが$3.2Bnで買収。しかし、CFOの視点ではNESTは失敗したスタートアップに数えられている。なぜか?それは投資家のリターンが少なかったから。元DropboxのCFOである、Kaytonさんは「NESTは失敗したスタートアップ。シリコンバレーでは、どんなに巨大な買収が起きても、そこにリターンが発生してなければ失敗と捉えられる。」と。これはちょっと賛成しかねるが。笑

個人的には、「長期的に見て人の役に立っているか」が大事だと考えていて、例えば流行っているからシェアリング、インフルエンサーというのは非常に安易で危険だと学んだ。時に、サービスはヒットしても長期的に人の役に立たない事があるのだと。

シリコンバレーとは何か?

まだシリコンバレーに来て全てを見てきたわけではないし、これがシリコンバレーだ!というのもまだ見えてないが、とにかく文化の違いは大きいように思える。

アイデアを聞かせて、それはこうしたら良くなるよ、をみんなでシェアしていく。盗むこともあるかもしれないが、それも厭わない。アイデアには価値がないことをみんなが理解し、シェアし、それを高めるために意見を交わし合う文化は最高だ。

HoloAshのプロダクトもどんどんみんなの意見をもらったり、僕のPitch資料を叩いてくれたり、逆に僕も意見を言って全体を高めているAcceleratorとStartup Embassyでは本当に毎日学ぶ事が多い。まだまだ期間はあるので、もっともっと吸収していこうと思うし、英語ももっと磨かないといけないと思う。

この文化を日本に持ち込もうと思ってもなかなかうまくいかない。文化を真似るということは簡単にはいかない。相手を尊重しながら率直に物を言う、そして意見を交換し合う。そもそもがローコンテクストな文化や言語傾向にあり、発言しディベートし合う文化がある。

さらに、言語の壁も大きい。ソフトウェアサービスの多くは言語や文化の違いが大きな要因になりやすい。個人的には日本が次の大きな産業を作っていくには、移民政策を本気で取り組むのはとても良い事だと思っていて、言語面の変化と文化面の変化を一気に変える可能性がある(その中には別のconflictが発生するが。。。)。

とにかく、シリコンバレーのエコシステムそのものは全体が担保している素晴らしい文化。スタートアップの方はぜひ体験してみてもらいたい文化だ。

HoloAsh, Inc. Yoshua Kishi

yoshua@holoash.com

Yoshua Dilham Kishi

Written by

ADHD Entrepreneur: Mental Health, Speech Recognition, Natural Language Processing, ADHD, developmental gifted

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