シリコンバレーのデザインシンキングとは何か?

Yoshua Dilham Kishi
Sep 6, 2018 · 13 min read

さて、シリコンバレーから帰国し、何が一番の学びだったかと聞かれたら、間違いなくその中の1つはデザインシンキングだ。前回の記事で、シリコンバレーの文化について軽く触れてみたが、その中でも最もシリコンバレーに定着している考え方の1つだと思っている。デザインシンキングとは、表面的なデザインのことではなく、Observationからより深い調査をし、プロダクトを作っていくプロセス、プロダクトのデザインを含めた領域である。つまり、問題を特定し、その問題を学び、解決策を練り、それをテストし、人を巻き込み、実際に社会実装していくための全てのプロセスを指している。ここからはIDEOのInnovation LeaderだったScott Underwoodから僕なりの解釈を加えたものである。

Define the Problem

まずは問題の特定である。一番最初のStepはそこへの共感であり、本当の問題は何かを当事者が知っていることがもっとも有意義な問題である。

さて、僕個人としてこの時に気をつけるべきことがあると思っている。いわゆるWantsとNeedsの問題だ。Wantsは「健康でありたい」Needsは「ジャンクフードうまい」である。Needsというのが本当にHumanityに属しているのかを理解していないと、適切ではないが流行するサービスになりかねない。

しかし、ここにはとにかく共感が必要になるので、問題を特定する方法が最も重要で、その先に立つのが「共感」である。一次情報を大事にし、対話からの情報収拾を最も大事にしている。

Learn from various angle

次にその問題の特定の仕方。ここにはいくつかのやり方があるので、1つずつ見ていきたいと思う。

  1. Observation and Empathy

例えば、なぜ人は観光地の空気を感じたり、景色に傾倒したり、そこにある匂いに集中することなく、写真を撮ることに夢中になるのか。

写真を撮る、と言葉にしていることが、本当にやりたいこととは限らない。誰かとのつながりや、残念ながらいいね!に快感を覚える人もいるだろう。ヒアリングのセッションでもここが問題になる。

僕が受けたヒアリングのセッションで僕は「なぜ君はLINEを使うの?」と聞かれた。そこで僕は答える「日本人はだいたいLINEだよ」。これが真実だろうか?そして、実際には「友達との連絡もLINE?」と聞かれるわけだが、僕の答えはNo。そしたら「なんでLINEを使うの?誰か特定の人のため?」と聞かれる。そこで本音がポロッと出て「実際にはガールフレンドが使っているから、彼女と連絡を取るためだけに使っているんだ」と答える。もちろん、日本には「スタンプの種類が豊富で、これを集めることが楽しい」「こんなセンスのスタンプ持っていると見せたい(この答えにはびっくりした)」というスタンプや、学校のみんなが使っていて、仲間外れになりたくない、などの社会的強制力が働いている場合がある。

こういった、「Feel」の部分は何かを掴むことは大切であり、実際にそれが見えてないと、勘違いなソリューションを提供してしまうことになるのだ。

2. Extreme Users

若者と老人。サービスの使い方はまるで違う。若者は職人であり、老人は場合によっては、使い方もわからなければ、場合によっては文字が見えないなどの障害が判明する。そういった人たちが抱えている課題がある一点で大きな課題になることがあり、だからこそ「誰の」課題を解決するのか、ということがIsuueにあがる。

3. Empathic experiences

サービスを作る時、当事者でないとわからないことがたくさんある。例えば、僕のやっているADHDの課題解決。当事者でないと、いかにEmotional な体験が効果的なのかなどはわからないし、どれだけ辛い思いをしているかもわからないし、場合によっては身体的な障害がない分、生活に支障なんてないでしょ?と捉えられることがある。当事者でない人は、その生活に溶け込む、実際にやってみることも違う課題が見えて面白いかもしれない。例えば、それをVRでも。

4. Biomimicry

いわゆる生体模倣という類のものである。この領域は世の中に多く存在している。有名なところだと流線型。また、500系にはカワセミのクチバシ、無痛注射に蚊の口先が模倣されていたり、マグロの皮膚を模倣して摩擦抵抗を減らす船舶もある。

フクロウは静かに飛ぶがそれを生かして新幹線は騒音を低減している。

テスト

カスタマージャーニー

さて、いよいよテストだ。テストに入るとカスタマージャーニーがよく用いられている。ペインがあり、そこにソリューションがあり、そしてカスタマージャーニーを作り、テストする、という流れ。

例えば旅行に行くとする。

  1. まずはざっと行きたいところを見る
  2. 景観・体験・値段を含めた比較をする(重視するのは何か?実は選ぶプロセスが楽しいということはない?比較サイト見づらいしだいたい言ってること同じ。小説ベースにした旅行サイトはないものかね)
  3. 行きたいところを相談して(または一人で)決める(二人のニーズってマッチしないよねー、僕は断然ひとり旅派)
  4. 予約(航空券のみ?宿泊先のランクは?ツアーって面白くないよね、でも現地の言葉わからないし。。。でもそこをコミュニケーションするのが僕は好きなんだなぁ)
  5. 移動(タクシー大丈夫かな?フライトまさかのTransitが10時間!)
  6. 到着・観光(石畳なのにサンダルで後悔、ネット繋がるかな?知らない土地でネットないの怖いよねー。)

・・・・

とこれだけでも色々出てくるし、これはほんの一部。この中で大事なのは、感情の記録を大切にすること。何が本当にペインなのだろうか?を感じ取れることは大切だ。僕の場合特殊かもしれないが、シドニィシェルダンの「ゲームの達人」で出てくる、あのシーンを体験したい!があってアフリカに行った事もある。

つまり、ペルソナが特定されて初めてここでは、テストが可能になると思っている。誰の痛みであり、どんな痛みを解決するのか?という事だ。

Scenarios

シナリオはもっとも重要な作業だ。より、イメージしやすいStoryを描いて行く。絵のクオリティや流れは問題にならない。どんなシーンで、どんな人がどう困っているのかを描き、Storyを練り上げる。これが実際のシートである。

これがシナリオテンプレート。これにシナリオを描いてプロトをつくる。

このScenarioは考える事ももちろん為になるし、実はPitchにも役立つ。これによってできた僕の60秒Pitchがこちら。恥ずかしいが、後世の為にもこちらを乗せておこうと思う。興味がある人は見てみてほしい。

https://youtu.be/rW78RbVgFoY

高速な改善力が求められる

さて、これらはあくまでもツールであり、目的ではない。そこ到るまでに、高速のプロトタイピングと高速の改善力が求められる。そこで、実際に行われるのが、高速のプロトタイプ(非エンジニアでもできるもの)を作り、プレゼンをする力だ。例えば僕らは会話システムを作っているので、会話をテキストベースで返す裏側人力のChatbotなどをつくる。高速というのはすぐにだ。1週間もかけない。1日でできるプロトタイプで試し、それが実際にWorkするのかをユーザーにヒアリングしていく。

僕は起業家ハウスHackerHouseというところ宿泊していて、あるエンジニアがまだ全然できてないものを自慢げに見せてきたことがある。ひどいもので、起動して画像をプロフィールに入れると落ちる、プロフィールからHomeに戻れないなどの目に見えないバグだけでなく、目に見えてしまうバグで溢れている。でもそれでもいいのだと。日本人からしたら雑で人に見せられない、ツッコミどころしかないものでも、こっちでは仮説さえ検証できればいいのだ。

ヒアリング能力

そこで大事になるのがヒアリング能力だ。日本人は特に超ハイパーハイコンテクストなので、かなり面倒だと思うが、アメリカ人は比較的ローで、嘘をついた時がとてもわかりやすい。笑 AwesomeとかFabulousとか言っている割りに、表情や仕草が結構噛み合ってないので、すぐにわかる。笑

とはいえ、本音を導き出す能力は何れにしても必要だ。

さて、ここで最初に立ち戻って、シートが出てくる。デザインシンキングの基本とは、ここにある。

言っている事に対して、本当のところはどこにあるのかを聞いていく。この辺りは、「起業の科学」にも非常によくまとまっているし、シリコンバレーの考え方に近いので、創業前後のスタートアップもそうでない方にもオススメする。

基本はこんなところかな。

「アイスブレイク」「趣味や日常の話」「クローズドのクエスチョンから始める」「オープンエンドのクエスチョンで突っ込んだ事を聞いていく」「WhyやHowをベースに聞いた中から話を広げる」「極端なところに話を持っていってみる」「辛いポイントや感じている事を中心に聞き出す」「ノートは最小限で動画を撮る」「分析する」。やってはならないのは価値観やプロダクトの押し付けで、大事なことは傾聴だということは忘れてはならない。

実際に使ったツール

デザインシンキングに有効なツールを一気に紹介します。

Methods

まずは方法論から。Design Thinkingを体系的に学ぶのだとしたら、IDEOの提供するDesign Kitがオススメです。このブログではあくまでも全体を掴むのであって、具体的なStepやそこに流れる全体像を捉えることはできません。ので、Design Kitでより深層を学んでもらえたらと思います。

それからRealtime Boardは日本でも結構使っている人みたことありますが、Ideationに非常に効果的です。

Interview: Black Design

まずは、全体を簡単に設計できるツールとしては、これ。Black Designは共感のポイントからインタビューまでを行ったり、実際のデリバリーを簡単に設計できるツール。デザインは置いておいて、非常に簡単に使えるのでオススメです。

http://www.black.design/

Prototype: Invision

こちらは実際には期間中というより期間前から記号メディア論の大先輩が勧めてくれて使っていましたが、非常に有効なプロトタイプが作れるのでオススメです。モバイルのアプリでしたらこういったもので足りますよね。

Test: Ethnio

Ethnioは実際には使っていませんが、UXのテストに使えるツールですので、Invisionに近いですが、よりテストに近いツールです。

欠けているもの

明らかに彼らに欠けているものが1つだけある。それはHumanityである。デザインシンキングというもの自体、極めて人間中心主義的なところが発想の起点になっているはずだが、あまりHumanityは感じることはない。

Humanityから発想をすると、そもそもUI/UXよりも人間がどう物事を感じ、捉え、その結果どうなるのか?(Twitterのように情報が爆発的に多いSNSは本当に人を良い方向に持っていくのだろうか)という考えが起点になる。シリコンバレーにおけるDesign Thinkingとは、ユーザーの課題を解決する(ProblemとSolutionの関係で考える)ということであって、人間がその結果どうなるのか、という人間中心主義的な考え方ではない。

さぁ、というわけで、かなりざっくりとDesign Thinkingについてみてきた。これが全てではなく、どちらかというと、そのプロダクトを実際に1週間で仮説検証まで持っていくプロセスを体験してもらいたい。それをやらないと、こんなものは机の上でやっている空想に過ぎないのだから。

Yoshua Kishi : yoshua@holoash.com

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シリコンバレーのアクセラレーターを受けて感じていること

Yoshua Dilham Kishi

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ADHD Entrepreneur: Mental Health, Speech Recognition, Natural Language Processing, ADHD, developmental gifted