「言葉を大切にする」とはどういうことか

僕は幼少期から「吃音症(きつおんしょう)」ということもあり、自分が発する言葉には気を遣ってきました。

「言葉に気を遣う」とは、僕の場合、2つの意味合いがありますので、整理してみます。

1.相手を必要以上に傷つけない言葉選び

2.相手に合わせた語彙選び

僕は決して話が上手いわけでもなく、自分では言葉を話すこと自体に苦手意識を多少持っています。もちろん、そんなことも言ってられないので、何とか苦手意識を克服するために様々なことをしてきました。

言語化したのは今回が初めてですが、苦手意識を克服するために、上記2つをいつも意識して人と会話してきたと思います。そのおかげか、様々な人から、「言葉を大切にしている人だよね」と評価してもらえるようになりました。

僕の短い経験則でしかありませんが、今回は「言葉を大切にする」とはどういうことかを、上記2つに照らして、少しばかり考えていきます。

吃音を持っている人や、話すのがあまり得意ではない人にとって、参考になればと思います。

1.相手を必要以上に傷つけない言葉選び

僕は、根っからの臆病な性格。また、泣き虫です。そのせいか、小学校の頃はいじめにあっていました。

でも僕の家は、不登校を許してくれる家庭では無かったので、”親分”的な立ち位置の人の癪に障らないような言動を心掛けて学校に通う毎日でした。

僕は、それを「ひどい目に合わないための技術」と心の中で呼んでいました。今でいうスルースキルでしょうか。

大人になってからも、つい最近までは臆病で泣き虫な自分を隠すために、相手を傷つけずに、自分も被害を被らないよう振舞ってきました。

しかし、そのような言動を心掛けることにはたくさんの弊害がありそうだぞ、ということは、容易に想像がつきます。

どういった場合にスルースキルが弊害になってしまうかというと、端的に言えばそれは、しっかりと自分自身で考えて実行していくべき物事と出会ったときに、「スルーすることに慣れてしまうから」なのです。

たとえば、何かの課題について解決策を考えるための議論をする。そのときは、相手の解決策を批判的に見つつ、自身のロジックを組み立てていくことが必要になります。もし、話し合っている双方がかたくなに譲らない部分を持っていたとしても、「妥協案」「折衷案」を生み出すことが可能です。

しかし、最初からスルーしてしまうとどうなるか。当たり前ですが、議論は生まれず妥協もできない(そこまでに至らない)という状況に陥ります。

そのくせ、発言はそれとなくするし、なんとなく会議に参加しているようには見えてしまいます。(すぐばれますが…)

相手を傷つかせたり、怒らせたりする要因となる言葉遣いは慎むべきなのは当然です。しかし、そのスルースキル的行いによって生まれる環境(誰も悪い思いをしない)に慣れ、安住してしまうことには、自分の主張や意見を無にするという弊害があるのです。

ここで気を付けるべきことはひとつ。「相手を傷つかせる言葉遣いは慎むべきだが、慎むことで得られる環境には安住しないこと」

平たく言えば、相手を気遣うことに関して、自分が「相手を気遣えたし、自分も何にも悪い思いしてないなぁ。めでたしめでたし。」と思わないことです。

冷静にいることができれば、万事すべて良し、ということにはなりません。あくまでも必要以上にしないということ。つまり、必要な分だけ、強く言う必要があります。

これは、話し方だけではなく、相手から何らかのフィードバックを受けるときにも重要です。以下の記事をぜひ参考にしてください。

2.相手に合わせた語彙選び

人間は誰しも、相手を自分より上か下かという尺度で見てしまいます。何をもってして「上」「下」を判断するのかも、個々人の尺度によって違うのが厄介です。

ただし、相手のレベル感を評価して話す言葉の語彙を変化させることには大きな意味があります。

社内だけで共有されている用語や、自分が属している業界の用語。家庭内で使われる言葉や、同じ経験をしていなければ理解できない単語。

ちょっと考えてみると、やっぱり僕たちは自分が何の障壁もなく全力を出して話せる相手を好きになります。そして好きになる理由は、日々の生活、思考、見ているメディア、業界、文化、宗教や性格、知識や経験などが共通しているからです。

僕たちの大半は、人と会って話すことが好きです。しかし、それは本当に誰でもいいわけではありません。話したくない人もいるでしょう。価値観が違うだけで、「最近の若者は」とか、「老害だな~」と言ってしまう気持ちも、分かります。

それでもなお、あなたが「言葉を大切にしたい」と思うなら、相手のレベルに合わせた語彙を学ぶべきです。

ここまで来てピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。つまり、相手のレベルに合わせた語彙とは、日々の生活、思考、見ているメディア、業界、文化、宗教や性格、知識や経験のことです。

本来の意味での語彙だけを増やすのでは、やっぱり好きな人としか話したくなくなります。相手のレベルに合わせて、柔軟な暗黙知・形式知を身に着けることが重要です。

一般的に想定されるような知識レベルよりも、もっと広いレンジでレベル感を捉えることが大切かもしれません。

話はそれますが、たとえばインタビューをさせて頂いたり、誰かに話を聞きに行ったりするときは、事前に話を聞きに行く相手の情報を様々なところから集めますよね。簡単に言えば、その作業を特定の人物に向けるのではなく、もっと広いレンジで行っていくことが必要です。

やり方は自由です。僕もそういった相手とレベル感を合わせるための情報収集の方法を編み出しているわけではありません。しかし、知識欲とは、自分ひとりしかいない世界では発生しないもの。だからこそ、相手と語彙で話すことを意識しつつ、日々のインプットを大切にしていきましょう。(もちろん、僕も頑張ります)

Like what you read? Give Yushi Aihara(相原 勇士) a round of applause.

From a quick cheer to a standing ovation, clap to show how much you enjoyed this story.