人々が協力し合うシステム

もし人のためにすることが自分の利益にもなったら…?


2011年、3月11日、日本をM9の地震が襲った。津波が家、車、道路、命、すべてを飲み込んだ。

地震が起きてすぐにニュースが世界を駆け巡り、世界の人が日本で起きた大災害を知った。あんなことが実際に日本で起きた事におおきなショックを受けたと同時に日本だけでなく世界中から多くの人が日本の被災地に訪れてくれたことに驚いた。彼らは日本にやってきて支援物資の運搬や瓦礫の撤去を手伝い、人々を励ます世界中からのメッセージを伝えるためのウェブサイトをつくった。

私はそうした活動に感動したと同時に、ふと疑問が浮かんだ。「なぜ彼らは多くの時間や労力を犠牲にしてまで人を助けるのだろうか?」。そしてすぐにこのような結論に達した。「答えはすごくシンプルで、そうしたいと感じたからなのだろう」。自分もなにかしなければ、行動を起こさなければと思ったのだろう。友達がいた、同僚がいた、日本に訪れたことがあった、日本のことを知っていた、何か日本と関わりがあったから。そしてその関わりがあるから何かしなければという気持ちにさせ行動を起こさせたのではないか。

そして最も大事な事は、多くの人が貢献し協力してくれたあの行動は、あの出来事や人々に共感することなしにはあり得なかった。

現代の社会はある程度、私たちがお互いに協力し合うようにつくられている。製品やサービスをつくる会社、恵まれない人々に食品を届けたり家を建てたりする団体、新薬発見や医学的研究のための研究所。これらの社会のシステムは多くのひとの多くの貢献によって成り立っている。私たちが生きているこの社会は人々が互いに協力し合うことなしにはあり得ない。

しかし問題は私たちは自らを犠牲にしてまで他の人になにか貢献をしようとは思わないことだ。もし製品や新薬の秘密を公開してしまったら、トラブルを起こし仕事を失うかもしれない。つくった製品やサービスが失われるのかもしれない、新薬の発見やアイデアが盗まれるかもしれない。自分が残したはずの努力や貢献が失われるかもしれないという不安が、私たちが持っている知識やアイデアなど持っている価値を分かち合うことを妨げる。

私たちは世界で起きているほとんどのことを、自分に関係のあるものだとは感じない。たとえそれが全員が無事生還したチリの落盤事故のような感動的な出来事でも、9.11のテロ事件やガザでの紛争なども、そこに同僚や友達も居なければ訪れた事もない、あまりその国や人々について知らない人にとってそれは自分の世界の外で起きているニュースでしかない。

私たちはそれぞれ仕事や学校があって、他の人にとってはちっぽけに思えても自分にとっては大きな悩みや不安があり、自分の外の世界で起きていることを気にかける余裕がない。

日本で起きた3.11の地震に関しても多くの人が被災地に駆けつけ支援してくれたにも関わらず、福島で原発事故が起きると多くの人が福島を恐れはじめた。原発事故の影響が友達や家族、自分になにか影響があるのではないかと福島を恐れ敬遠するようになった。

私が3.11の大惨事をあんなに気にかけ心配したのも、自分が日本人で18年間福島で生まれ育ち、地震が起きたときにその地域に友達が居たから、という理由があったからだろう。そこは自分が生まれ育った故郷で友達や家族がそこにいて、あの出来事が自分と深く関係していたからあそこまで心配したのだと思う。

正直、あれが福島ではなくべつな場所で起きていたことだったとしたら、あんな気持ちになったかは分からない。

震災後ずっと考えていた。「自分はなんて自分勝手な人間なんだ。友達や家族と時間を過ごすなど、自分のことしか考えていない。おそらく自分を犠牲にしてまで他の人のために何かすることもない。でもそれが自分という人間だから、それでもいいかな」と考えていた。

しかしそれからもずっともやもやした気持ちが頭から離れなかった。

そしてあるときこんなアイデアが浮かんだ。

「もし他の人に協力することで自分にとってなにかメリットが生まれたら?」

「もし、ほんの少し、たとえば自分がつくった音楽を映像につかってもらう、撮った写真をストーリを伝えるために活用してもらう、そしてそのストーリーを伝えるために日本語から英語に翻訳して世界に発信する手伝いをする、そしてそれをシェアしひろめるといった協力や貢献を通じて他の人と繋がりを築けたら?」

「もし人に協力することを通じて、自分の生活や人生がよりよいものになるとしたら?」

一度なにかに関わればそれは無関係なものから自分のことへと変わる。

一度無関係なものから自分と関係のあるものだと認識すれば、そのものごとに共感し行動を促すきっかけとなる。

個人やグループという枠を超えて知識やアイデアを共有できれば、世界の大きな問題に取り組めるようになる。

もし、少し考え方を変えたらなにが起こるだろう?

もしそこに自分が貢献した製品やサービスの、アイデアなどが失われる不安がなにもないとしたら、私たちの間に信頼が生まれるだろう。

そして信頼こそが私たちがお互いに協力することを可能にしてくれる。

もし自分のためにだけよりも人に時間や労力をかけることのほうが自分にとって良いことが生まれるシステムに変える事が出来れば、素晴らしいことになる。

まだ私たちの世界はそうあるべき姿と少し離れて溝がある。

その溝を埋めるためにZOINが人々が協力し合うためのシステムをつくります。

ZOIN

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