【INDEX】探訪する
タイの首都バンコクで、観光客の来ないローカルな場所でタクシーを止めて目的地を伝えたとき、まったく伝わらなかった。地図も、英語で書かれていたので、見せても駄目だった。まさに、はぁ?って顔をされた。そういえば、バンコク(Bangkok)は、現地では、クルンテーププラマハーナコーン。違う言葉の響きだ。
ふと、先進国化するバンコクと、現地人が住むクルンテープは、同次元にあって別次元が重なっているのではないか、と想う。当時、街には近代的なビルが建ち、脇道には、ローカルな景色が残っていた。
日本でも、令和/平成の光景の狭間に昭和/大正/明治、ときには江戸以前の光景が垣間見えることがある。記念碑があれば、それを鍵にして、五畿七道のような、古代の景色を脳裏に甦らせることも可能だろう。別次元が重なる。例えば、正月のあと、春節が祝われる区域もあるだろう。
右目と左目で、視えている光景が違うような、そういう土地探訪を、自分はしたい。以下を記して、そう思うに至る。
◆探訪1〜3(琵琶湖、兵庫県、各地)
◆潜想(海外)
◆仏教十三宗五十六派
これは、シンプルな旅行記と違い、コンセプチュアルな試み。
潜想記以外は、丁寧語をメインに使っています。
探訪1(琵琶湖)
最も純粋な探訪記。
淡路島が楽しかったこと、琵琶湖が未知だったこと、琵琶湖という湖の実感を得たかったことから、湖内や周辺をがっつり出歩き、マッピング。まさにトリップ。
管理のパラドックスに対し、宇宙の真っ只中で孤独を感じることが最早趣味なのだ、という基礎の旅。私的に、重要な記事。
福井県の敦賀や、京都府の山科も歩いている。
探訪2(兵庫県)
10年以上撮ってきた兵庫県内の写真を使い、独自に兵庫県全域を把握しようとした試み。琵琶湖(滋賀)をやったら兵庫県民なので兵庫だろうと、シンプルな発想から。
隣接世界について考察している。
上の写真は、記事公開後に撮った尼崎。Uber Eatsが走っている。
探訪記は、2018年の兵庫県の淡路島から、偶然始まった。
公共の交通機関を使うという〈土地のデフォルト〉を味わいながら、ポイントを見定めて島を総括的に歩くマッピングが楽しかった。
淡路島の他に、播磨(声の地場と幽玄)、播但/加古川線(概念の埋立地)、中華街の南京町、三木、神戸八社巡りも兵庫県探訪に含む。
探訪3(各地)
下の茨木市の4年後、2022年、隠れキリシタンの文脈で長崎へ。2つの文脈(2021年に広島平和記念資料館へ再訪したこととウクライナの件)で原爆資料館も気になっていたし、上の中華街文脈もあるし、鎖国期の接点ポイントや琵琶湖に継ぐ湖もあるしで、個人的に凄い区域だなと。
隠れキリシタンの里があるということで、大阪府は茨木市と、そのあとに高槻市へ。下のリンク先では、コリアタウンのある大阪市生野区へ。
生野区のあと、記事後半では、忍者、芭蕉、観阿弥、乱歩と、何気に役者が揃っている三重県は名張市と伊賀上野へ。
写真は多めだが、語っている内容は観念的。
北海道の札幌、小樽。個展で出向いた際の周辺探索。探訪記という面では後悔が残るので、雪辱戦がしたい。実感とは、何か。
以上の3記事は、琵琶湖探訪に集約されていく。
潜想(海外)
アメリカのマンハッタン, フィラデルフィア潜想は、淡路島→琵琶湖→兵庫県と続く四部作のラストと位置づけている。兵庫県同様、過去に撮った写真から、マンハッタンを把握しようという試み。
ドイツのベルリンは、当時の自分と、文面上で顔を合わせようとした、一人称性の高い回想。このアメリカ/ドイツの2作は、コロナ禍以降から見た民主主義のコアを気にかけている。
バンコクも、1995年頃+2010年代(2回)の、計3回を1ページにまとめたバンコク探訪(チェンマイ、パンガン島含む)を作りたい。
世間では、ページ分割が主流で、自分は何ページかに分かれたページを読むのが嫌いのなので、自分自身の快楽を貫いたページを作りたい気分はある。しかし、その記述は難しいかもしれない。
仏教十三宗五十六派
仏教のことは知的関心以上のものは持っていない。
浄土教4宗を把握する探訪。
浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗。
探訪後、これまで無知だった時宗に関心を抱く。上の写真は、ともに時宗(京都府の長楽寺と、神戸市の真光寺)。
奈良仏教3宗(華厳宗、法相宗、律宗)を把握する探訪のはずが、規模が増え、南都六宗と和宗、聖徳宗、真言律宗を巡る、なかなか大変な探訪記。きちんと出歩くという意味で、奈良県自体、初(ただし和宗は大阪府)。唐招提寺と、夜の東大寺がマスト。
仏教十三宗五十六派は、平安仏教(天台宗と真言宗)と日蓮宗がまだ残っている。果たして、完了するのか。
心の何処かで、神道十三派探訪も考えていたけど、多分ない。
日本から見る中国仏教、のような、
時空間
ねじ曲がる、歩行がしたい。
_underline, 2020.10