【唯一の日本人】グローバルなカンファレンスで英語の登壇をしてみた話:後編【Voice Global 2020】

Aimi Nakajima
14 min readAug 4, 2020

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プレゼンの準備、Zoomのレコーデイング、発表のTIPS…etc

前回の記事はこちら

後編では、苦労したプレゼンの準備や録画、本番の様子をシェアします。
ちなみに最終的なプレゼン動画はこの記事の最後で公開してます。

プレゼンができるまで

ここからは実際にどんな工程で準備をしていったか振り返ってみます。

プレゼンのテーマ、どうする?

Voiceテクノロジーに関わることなら何でもいいみたいだったので、逆に悩みました。

とにかく時間がなかったので、そのうちこれをネタに喋りたいなぁと思っていた、コロナ禍でのVoice UI/UXの現状や可能性について話そうと決めました。オーディエンスが世界各国ということで、やはり全世界共通の旬な話題に触れたほうが興味を引くのではという考えも。

既に発表されている他登壇者のタイトルを確認したところ、pandemicとかCOVID-19とか書いてあるものはいくつかあったので、ここに自分の強みであるDesign Thinkingの要素も取り入れることに。

こうタイトルを決めました。

How to produce engaging voice apps during and after pandemic.
(コロナ禍及びアフターコロナの時代にエンゲージメントの高い音声アプリを生み出す方法)

英語のプレゼン資料準備①(ドラフト)

ここからは、プレゼン資料を準備した流れやTIPSを紹介していきます。

これは日本語のプレゼンでも同じですが、私はまずテキストレベルで骨子を作ります。以下のようなことをメモアプリ等で箇条書きにしていきます。

  1. 目次レベルで全体の流れ、目安時間(英語)
  2. ページ構成とページごとのキーメッセージ(日本語)
  3. 論拠となる表やデータ
プレゼンの骨子イメージ

この骨子が出来上がるまでは、KeynoteやPowerpointは決して開きません。最終的なプレゼンには色々足されて骨子+αになることがありますが、この段階で体系的になっているか、前後で違和感のある部分はないか、などを確認します。

色々情報あるけど結局言いたいことがわからないスライドにならないよう、「1ページ1言いたいこと」に収めるのがとても大事です。

1・2ともに初めから英語でも、まずはどちらも日本語にしても、これは自分のやりやすい方でいいと思います。

英語のプレゼン資料準備②(コンテンツ、トーク)

骨子ができたら、次は資料の中身(コンテンツ)とトークスクリプト(カンペ)を作っていきます。

日頃から聞きやすいプレゼンスタイルとして心がけていることは、余計なものを削ぎ落とすということ。

  • トークスクリプトをそのままスライドに書かない(聴いている人が読みに集中してしまうから)
  • 資料にはキーワードだけ書く(詳細は耳で聞きたくなるから)
  • キーとなるメッセージだけ強調する(伝えたいことを明確にする方法)

画像だけでテキスト一切なし、というスライドもはさみたかったのですが、果たして自分の発音、喋りが文字情報なしで通じるのか?という懸念がどうしてもあったので、今回はしっかりテキストで載せました。

日本語であればいかにもカンペ棒読みにならないように、でも抜け漏れはないように、発表者ノートに箇条書きだけ書いたりします。

資料が一部できたところで英語箇条書きのカンペを手にプレゼンを録画してみたのですが、自分の癖というか弱みが露呈してひどい仕上がりで。。

  • 冠詞(a、the など)がよく抜ける
  • 単数形、複数形の使い方が正確でない
  • 考えながら喋ってる感じで落ち着きがない

最低限のカンペで流暢に話すのは無謀だとわかったので、安全をとって一言一句文章で書いておくことに。

コンテンツについて。
論拠のために数字が不可欠なのは言うまでもないですが、せっかくなので外部のデータ引用だけでなく、自分の作ったスキルのアナリティクスデータを公開してみました。他人の数字って気になりますよね。

自分流・英語のトークスクリプト(カンペ)で心がけたこと

次に、とっても大事なトークスクリプトについて。自分なりに考えた3つのポイントがあります。

1.自分のボキャブラリーに存在していないワードは入れない

なるべく自然に喋れるにはどうしたらいいか。
例えば言いたいことを日本語⇒英語にGoogle翻訳してそのまま読む、とかをやってしまいがちだと思いますが、そうすると知らない単語も入ってしまって100%棒読みで超不自然になります。
ある程度自分の喋りができている人であれば、自分なりに訳してみて、もっと適切な言い方があるかどうかを調べてリライトするというやり方がいいのではないかと思います。

そもそも「訳す」という工程なしに、自分でライティングできる日は来るんだろうか?これは未知の領域なので非ネイティブで英語上級者の方に聞いてみたいです。私はまだまだ普通の会話でも日本語⇒英語に脳内翻訳してしまうことが多々あります。

また、英語が上手い人とそこそこの人の違いに副詞を使いこなすかどうかがあるように思います。無くても成立するけど、あると無いで説得力や気持ちのこもり方が違う気がしてます。

This pandemic will undoubtedly boost demand for touch-less, touch-free interaction.
このパンデミックは疑いもなく非接触インタラクションを後押しするでしょう。

undoubtedly (疑いなく)とかは日頃使うわけではないので入れるか迷いましたが、知っている単語であることと、強調するために必要だったので使いました。

2. 自然な繋ぎ言葉を引用

Voice系のPodcastやYoutubeを普段から見聞きしているので、そこから使えそうな表現を引用しました。
例えば、こういうところです。

The other thing that I wanna point out is this skill is not a new one.
その他に私が強調したいのは、このスキルは新規ではないということです。

3. 一般的ルールは気にしない

VOICE Globalはコミュニティイベントなので、ビジネスマナーなどは気にせずカジュアルな口語でやりました。
例えば一般的にオフィシャルな場や文語ではI’m gonnaとかはNGでI’m going to が正しいと言われていますが、普段gonnaやwannaを言い慣れてしまっているのと、同コミュニティの他の人の喋りを聞いてもカジュアルだったので、その方向で行くことに。

これはケースバイケースだと思いますが、私はいわゆる”ビジネス英語”を習得していないので、自分の得意に寄せたというのもあります。

喋りかた、見た目で心がけたこと

喋り方についても、いくつか工夫しました。

  1. 単語毎の強弱、リンキングを意識
    これはプレゼンだけでなく英語のスピーキングTIPSです。1つ1つの音をしっかり発音する日本語と違って、英語は冠詞や前置詞はサクッと弱く言うとか、消える音、繋がる音、とかがあるので、それはいつも通り意識しました。もっと自然にできるようになりたいな。
  2. ぎりぎり許容できるトークスピード
    ゆっくりで話すと安全だけど聞き手が不自然に感じる。速すぎると喋りにくいし、発音のレベルに依存してしまう。
    適度なスピードをどのくらいに設定するか悩みました。ネイティブでもプレゼンだと普段よりかなりゆっくり(非ネイティブにとってはちょうど聞きやすいスピード)に話している気がするので、録音を聞きながら調整していきました。
  3. エモーション追加投入
    私のナチュラルな日本語の喋りは淡々と緩急無く喋ってしまうので、プレゼンには不向きタイプです。感情表現豊かな欧米人のプレゼンに近づけるため、パッションを込めたいフレーズや、初めの笑顔、暗い話題のときの悲しげな表情などは多少自分のパーソナリティに反して頑張りました。でもまだまだ同じ表情が多くて、今後要改善。

英語プレゼン資料準備③(第三者レビュー)

7割ほど完成したところで、誰かに見てもらいたくなってきます。

そこで、3年以上毎日の日課にしているDMM英会話で、自分の作った資料、トークスクリプトをレビューしてもらうことにしました。

25分のレッスンで合計7〜8回、非ネイティブ講師にレビューしてもらったと思います。毎回違う先生です。同じ先生の予約が難しいというのもあるのですが、先生のレベル感や指導スタイルによって指摘の内容に大差があるので、複数の視点でアドバイスをもらいたかったというのが大きな理由です。

細かく文法を指摘してくれる先生、喋りの緩急までアドバイスしてくれる先生、ひたすら褒めて指摘ゼロの先生、内容に聞き入ってしまって感想だけ言ってくれる先生・・etc
レッスンの初めに「こういう視点で指摘してほしい」とリクエストするようにしても、対応はまちまち。

完成度の高いものを目指すのであれば、レビュワーはネイティブスピーカーかつビジネスのプレゼン経験があって、ITリテラシーも高い人が理想ですが、それって結構ハードル高いですよね。

あと非ネイティブあるあるですが、先生Aに指摘されたことが先生Bは全く逆のことを言うとか、よくあります。

私の書いたスクリプト

The number of sessions dramatically increased just after Japanese government declared State of Emergency.
日本政府が緊急事態宣言を発令した直後に、セッション数が劇的に増えました。

とある先生は「ここは”the Japanese government” だよ。」と。

私は、この場合theいらなくない?と思ったものの、先生を信用して追加。

しかし後日、別の先生から「the Japanese governmentのtheは不要だよ」と指摘される。。

こういうこと、結構あります。

要は、ネイティブではない限りちょっとしたミステイクは気にするなと。英語はそれくらいラフでいいんだと理解することにしました。

結果として、何度もレビューしてもらえて、人に聞いてもらうことでプレゼン慣れもしてくるので、とてもいい機会でした。

ありがとうDMM英会話、これからもお世話になります。
お得に入会できる招待リンク貼っておきます。

日本のコミュニティ、日本語での登壇と違うこと

8割ほどできたところで、通しでプレゼンしてみたところ、衝撃の事実が。

時間が余りまくる!

25分前後のプレゼンなのに、全部終わったところでたったの10数分しか経っていないことに気がつき呆然。

スライド数は30枚以上あったし、日本語で作ってる感覚だとオンタイムだと思ったのに。なぜ?

一言一句含めたカンペだけを読んでいるからかもしれません。たぶん普段は意識していないけど、母国語だと無駄なことを途中で挟んでいるのでしょう。

ここでコンテンツの見直し、追加をやることに。あまり喋りを追加するとしんどいので、差し込む動画を増やす作戦に出ました。

最終的に50枚ほどのスライドに。なかなかのボリュームです。

ちなみにほぼ完成してからVOICE Globalのデザインが入った資料テンプレ(しかもPowerpointオンリー)が届いたので、Keynoteのテーマに置き換えたうえで差し替え作業が地味に面倒でした。

Zoomで試行錯誤のビデオレコーディング

今回困ったのが、いつ、どんな方法で録画するのか直前までわからなかったこと。
スタッフとzoomでつないで録画してもらうのかな?と思って、せっせとプレゼン練習に勤しんでいたら、セルフレコーデイングして送ってね、という依頼が。しかも締め切りは、依頼メールが届いた翌日。最後まで焦らせるなぁ。。

自分で撮り直せるのはいいものの、カメラやマイク的な機材もないので、Zoomの無料アカウントのローカル録画でなんとかやってみることに。推奨スペックは1020pでしたが、私のアカウントでは720pしか選べませんでした。

スライドを見せながらスピーカーの顔も映すため、画面共有+顔出し設定をします。

録画してみて2つの困りごとが発生。

  1. Zoomの画面共有にすると、発表者ノートが映り込んでしまう
  2. 発表者ノートが下なので、うつむいた目線になってしまう

Zoomの画面共有にすると、発表者ノートが映り込んでしまう際の対処法

こちらの記事を参考に、Zoomの「Advanced」を使って画面の一部だけ共有するという技を習得しました。
アニメーションは使えなくなりますが、それよりもカンペのほうが大事です。

発表者ノートを見ながらカメラ目線をする方法

Keynoteの発表者ノートの位置を上下逆にする方法がないのか試行錯誤したものの見つからず。苦肉の策で、スライドをはみ出して上の方にスクリプトを書くことにしました。欄外はグレー背景を変えられないので、テキストに背景色を追加して、少しでも可読性を上げようとしています。

こうすると、スクリーンのすぐ上にあるカメラに目線を合わせながら、ほとんど視点をズラさずカンペを読むこともできます。

これが決してスマートなやり方ではないと思うのですが、試行錯誤した中ではベストでした。もっといいやり方があったら教えてほしいです!

最後は動画の編集

噛んだところや長過ぎる間を切り取ったりしたかったので、Adobe premiereで動画編集もしました。いつもはiMovieを使うんですが、なぜか最近エクスポートができなくなって、身の丈に合わないプロフェッショナルなツールを使うことに。

セルフ録画&編集だと納得いくまで何度でもできそうですが、25分喋りっぱなしだとさすがに疲れてしまって、Take2までしか撮りませんでした。編集のことを考えていなかったので、いくつかに区切って録画すれば良かった。。というのを終わったあとに気がつきました。

後半は息切れして、痛恨のミス発覚。

Screen interface is non-mandatory
画面付きインターフェースは必須ではない

というカンペだったのに、録画を見てみたらnonが抜けていて、「画面付きインターフェースは必須」と真逆の意味を喋ってた!

あー、どうしよ。撮り直す?

迷ったものの、もう締め切り日の夜遅くだったし慣れない編集作業で疲れてたので、このまま出しちゃいました。

いよいよVOICE Global本番

登壇の仕上がり

本当はお見せしたくないのですが、ここまで語っておいて見せないものどうかなと思うので、仕上がりをシェアします。これが今の私の力量です。

本番の登壇者の動き

VOICE Globalは24時間ぶっ通しのオンラインカンファレンス。一方的に配信するのではなく、登壇中にライブチャットがあって、登壇者はスタンバイしてコミュニケーションしてほしいと言われていました。

私の時間は日本の午前、ヨーロッパは明け方、アメリカは夜遅めということでそんなにアクティブじゃなかったですが、数人からコメントやコンタクトリクエストをいただき、反響がもらえて嬉しかったです。

今後の目標

登壇することが目的では決してないですが、人に教える機会というのは自分の知識を体系的に整理できて、とても良い機会なので今後もやっていきたいです。

今回は一方的な配信でしたが、登壇で最も難易度が高いのがその場で質問に応えることだと思ってます。それができるような柔軟性も身につけたい。

そして、これからも日本代表的な気分でVoice業界でグローバルな活動をしていきたいと思います!いつかVoicebot.aiやInsight VOICEのPodcastに出たいな。さて、まだまだ仕事も英語も頑張ろう。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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