0704 旅のこと そのに

2日目:尾道

朝、陽の光で目覚める。大きく伸びをしてシーツをたたんで、顔を洗って歯を磨く。二度寝しがちな普段の生活ではあまり慣れないリズムだけど、心にも身体にもすんっと馴染むのはこのテンポが「きれい」っていうことなのだと思う。

部屋を出てすぐのこと。チキンスープをぐつぐつさせるいい匂いに誘われて、駆け足で下に降りる。冷えた麦茶と一緒に、パン屋のトーストと東京で買ってきたとらやのあんペーストを準備したら、アメリカから来ていたゲストのトリちゃんも「このゲストハウスは最高」って笑う朝ごはん。幸せな朝の感覚は世界共通なのかもしれない。

とりいをくぐる時、別れの悲しさや淋しさはなくて、「またどこかで会おうね」と交わす挨拶は定型文じゃなく、いつか来る未来への希望で。言い回しの問題かもだけどそれだけじゃない、言葉にならない明るい軽やかさがある。握手する。また来よう、とまた思う。友人の住むシェアハウスに寄ってから電車に乗った。今さらだけど、シェアハウスの名前が「気楽荘」ってあの町と人の生活感ぴったりで勝手に気に入っているんだ。

福岡へ向かう中継地点の岡山の、さらに中継地点として選んだのは尾道。どうしても歩きたかった商店街をずんずん歩いて、どうしても飲みたかったチャイのお店に向かう。曲がり角の先に広がるのは青い空、ジブリの世界。チャイ屋のお姉さんが顔を覚えていてくれたのには驚きと嬉しさを隠しきれず、思わず頬を緩めてしまう。「冷チャイ」の美味しさも格別。

パン屋のおばちゃんの「迷子のすすめ」。とにかく歩け。歩幅は大きく。気になったら曲がれ。水はこまめに飲め。パンで元気を蓄えろ。おすすめはおいものやつだよ、って、ちゃっかりしてる。顔の大きさくらいあるサツマイモのパンを買って食べれば、なるほど元気がでてきて足取りは軽く、歩きながらリズムを作る。脳内BGMがザ・なつやすみバンドの「サマーゾンビー」になっていたので、もう夏ですよ、尾道の皆さん。

尾道ってところの道はやけに坂が多くてうねうねしていて、上がっていると思えばいつの間にか下っていたり、人の家の裏庭に侵入しそうになっていたりする。なるほどここを正確なルートで進むのは味気がない、と迷子のすすめを思い出してもうひと曲がりしてみる。の繰り返し。それにしても、空の青が透き通り過ぎて、今にも吸い込まれてしまいそうだった。

早起きして、ひたすた歩いて、うんまいご飯を食べる。誰かにとっては当たり前かもしれない平凡な時間を、いっぱいの陽の光と一緒に過ごした贅沢な日。すくすく伸びる植物みたいに、ちょっとくらい背が伸びたら良いのに。東京の空気は曇っていて、風邪をぶり返して少し咳き込んでしまう。なんだかくさい文を書いた、この気恥ずかしさもまた世界共通なのだろうかとも考えながら、穏やかで澄んだ景色を思い出すように、2日目。