2017年に読んだ121冊の振り返り/2018年に向けて

Akira Yamada
13 min readJan 1, 2018

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2017年でも振り返るか、と考えFacebook投稿をしようと思った。でもそれだけじゃただの自己満。だから、読んだ本の紹介でもするかと思いたった。2017年に購入した本をAmazonの購入履歴から調べたらKindleだけで121冊購入してたのめ、リアル本含めて150冊ぐらい購入したはずw

121冊のTOP10!的なのも書こうとしたが、せっかくなので121冊を通じて得た総まとめを書くことにチャレンジした。

仕立て的には、2016年の自分と2017年の自分の対話ですw

自己紹介

スペック:
26歳/男性/会社員/3年目/いづれ結婚はしたい/何となく毎日を過ごしている/とりあえず幸せにはなりたい

共感できるポイントが1つでもあるなら、このまま読み続けてくだせぇ。

このスペックの人間の心理的状況

社会人3年目。仕事にも慣れてきた。最近の俺、徐々に有能になってんじゃね?会社で怒られることも少なくなったし。そろそろ将来について考えるか。結婚もしたい。金も稼げるなら欲しい。

転職もアリだな。色んな同期を見てると、スゲー稼いでる奴も居るぞ。独立してるやつも居る。ウホー、仕事先って色んな選択肢あるじゃん。年収1000万とかスゲーな!

結婚してるやつもいるぞ。早く結婚して果たして幸せなのか?いや、でも幸せそうだぞ。

こんな自分が本を読んでアレコレ考えました。

以下、2016年の頃の自分の問(太字)と、2017年度に成長した自分の回答です。
対話形式をお楽しみくださいw

※[ ]内の数は引用文献です。最下部に引用元のリンク貼ってます。

金をたくさん稼いでる人って、やっぱり幸せなの?そうだとしたら、稼ぎたいんだけど。

ある一定の年収までは収入と幸福度は相関があるらしい。
年収600〜800万まで相関度が大きく、それ以降に強い相関は無い[1][2]。

んじゃあ、幸せを規定する一番大きな人生の要素って何?

人とのつながり[1][3][4]。
幸福の資本論という本曰く、「稼ぐ力(人的資本)」「貯金(金融資本)」「人との繋がり(社会関係資本)」という3つの要素のバランスが重要とのこと。そのうち、人生の80%の幸せをもたらすのは「人との繋がり」なんだってさ[1]。
また、数百人規模で人々の人生を80年間ずっと追い続け、幸せを決定付けるものは何か?を研究したハーバードのチームが書いた本もあったよ。結論は、誰もが「家族、親戚、友達のことを大事にする」ことが一番の充実につながると人生の最期で語っているんだってさ[3]。

だから、周囲の人との繋がりを大事にせーよ。

でも、やっぱ金は大事な気がする。昔、大学の先輩に「金を稼ぐ人は社会に対して多くの価値を返してる。だから稼いでいる人間の方が価値あるよ。」と言われたよ。だから、お金を稼げるようになった方がいいんじゃない?先輩の言葉に従えば、銀行の投資銀行部門で数千万稼いでいる人の方が、その1/5以下しか稼いでいない山田よりも価値があることになるし。

同じ価値でも、資本主義経済における「市場価値」ならあると思うよ。株式会社で構成される資本主義経済では、お金を稼げること自体が価値になるから。その前提に立てば、会社と会社のM&Aに携わる投資銀行の社員の方が、一人ひとりの転職支援をしている山田よりも社会の構造上、お金を稼げる。だから、山田の方が市場価値は低い。

でも、悲観する必要はない。

アダム・スミスは『富国論』で「各個人の利己的な行動の集積が、社会全体の利益を結果的にもたらす」と述べた。つまり、人間が勝手に利己的に行動すれば、勝手に調整機能が働いて良い社会になっていくと唱えた。彼はその原理のことを「見えざる手」と呼んだ。でもね、最近ではその考え方は正しくないという見方も出てきたよ。例えば、2008年のリーマンショック。これは利己的な個人の行動の積み重ねが生んだ事象だ。過度に進む地球温暖化も同じ。「何かおかしいかも」という自分の気持ちに嘘をつき、自分の利益を優先させ続けた人たちの積み重ねによって、社会でおかしなことが起きている。だから、「見えざる手」は正しく働いていないことも多い[5]。利益(お金)を生むための行動が、常に本当に社会にとって価値あるものかは分からない。

何が言いたいかというと、市場価値が高いことと、人間社会にとって本当に価値が高いことは違うから、そこを混同してはいけない。自分が発揮したい価値を思うように発揮できているか?をまず考え、それを確認するための参考材料として市場価値を確認する程度にしておくと良い。
※難しく言えば、資本主義の悪い側面も直視しつつ、行動せよ

なるほど。じゃあ、市場価値に関する議論はいったん横に置こう。問を置き換えて;自分の所属する集団(家族、サークル、会社、社会、…)でもっと「幸せ」を作れる人になりたい。さっき幸せは「金」ではなく、「人との繋がり」でしか生まれないと言っていたけど、具体的には何が必要なの?

Good Question.

それはね

「人徳」だ。

人徳!?

うん。分かりやすく言うと人間として大事にすべき人間性。

例を揚げよう。

日本は1931に満州を攻め、中国を侵略しようとした。だが、満州を征服した後、北へ南へと制服を繰り返そうとした結果、大東亜戦争の惨敗を招いた。なぜ、日本は負けたと思う?

それは人徳。

日本のTOPは当時、議論はできるが、人間としての器ができていなかった。満州を征服した後も、欲望にまかせて北へ南へと征服を繰り返そうとした。横暴さが増し、その結果惨敗を招いた[6]。

でも日本は助けられた。中国の蒋介石はアジアで結託するために部下に日本にとどめを指してはならぬと指示を出していた。アメリカも戦後に日本人に対して非人道的な行為はしなかった。どちらも非人道的な行為をしてこなかった。

中国も米国もTOPは知識的、才人、理論家でありつつも、 人間的な深さを持ち合わせて躾、修練を積んでいた[6]。

このように、色々な本を2017年で漁ったけど、古代中国の荘子[7]も、名経営者の稲盛和夫[8]も、明治時代の政治家の指南役だった安岡正篤[6]もも同じことを言っている。優先させるべきは西洋近代文明の知識・技術習得ではなく、人間としての道徳性であると。

なんか難しい話になってきたな。

まとめると、最低限必要なお金を稼ぐための力を身に着けた後は、人徳を積んで人間的な深さを体得せよ。それが幸せを築く力への近道ってことだ。

お金を稼ぐ力を身に着け、人徳を積むだけでいいの?自分らしく幸せに生きるためには他に必要なことは?

まだある。それは①自分が生きたい方向を定め、②それに賛同する仲間を増やすことだと2017年は結論付けたい。

①について:稲盛和夫は人生の方程式=哲学×熱意×能力と言っている[8]。
哲学は先程説明した人徳、能力は先ほど説明した稼ぐ力と代替できる。後は、「熱意」、すなわち自分が情熱を注げる対象を見つけることだ。

熱意はどうやって見つかるか?

それは、なんでも良いから「これかな?」と思う眼の前のことをとにかくがむしゃらにやってみること。目の前の対象が熱意を抱ける対象かは、やってみないとわからない。だから、それを確認するために行動し続ける。そして、違うなと思ったらその対象は捨て、次の対象に進む。それを真剣に見極めながら持続させることだ。仕事を例にして、クランボルツ先生が解説してたよ[9]。

②について:自分の熱意の方向が決まれば、仲間が多い方が楽しいよね。

それでは、そもそも人間はどのように仲間を増やしてきたか?を考えてみよう。

サピエンス全史[10]でユハリは、人間は言語によって虚構を作り出し、1つの共同体を成している唯一の生物だと主張している。通常の生き物は組織化しても150程度の集団を維持するのが精一杯だが、人間は1つの宗教の元で億単位の人数が集団を形成している。

だから、同じように「言語」を通じて物語(虚構)を語り、人々の共感を得て行けば多くの人数を仲間にできるはず。

具体的な言葉を使う手段は、色々あるが、割愛するよ。
(2017年はたくさん読みました。U理論、NLP、NVC、コーチング、etc…)

自分の熱意の方向を決めて、その仲間を増やすことで「自分らしい」幸せを手にできるはずだというのが2017年の結論だよ。2016年の僕よ、分かったか?

お金を稼ぐ力についても理解した。
人徳の重要性も理解した。
熱意の方向も定まった。
仲間を増やす必要性も分かった。
じゃあ、熱意の方向性が定まっていたら、その方向により強く突き進んでいくためにはどうしたらいい?

熱意の方向性が定まっていれば、より幸せになるためには「人との繋がり」を生んだ方が良いので利他性も必要。

つまり、落合陽一さんが言う「独善的な利他性」が必要[11] 。
・独善的=例え勘違いだったとしても自分は正しいと信じていることを疑わず(=熱意を持ち続けている)
・利他性=それが他人のためになると信じてあらゆる努力を楽しんで行うことができる人

「独善的な利他性」を生きる、すなわち熱意を持って周囲のために突きすすめる人。そのために必要な「スキル」は何か。

現代の文脈に置き換えて考えてみよう。

昔は、自分の情熱を注ぎたい対象について先人の知識を蓄え、それをいつでも引き出せることが価値だった。でも、今はGoogle先生が居るから知識を持つこと自体にほとんど価値がない。

だから、知識を持つだけではなく、「オリジナル」な何かを持っていないと行けない。

それは何か?

それは情報社会で簡単にシェアされない知識。すなわち属人的で言語化されにくい知識=暗黙知をたくさん持つことが重要だ[11]。

例えば、山田の場合、「大学生ダンサーが喜ぶような結婚式の二次会の幹事」は得意だろ?これはダンサー経験があり、企画好きな山田が持つ暗黙知だ。普通の結婚式会場の人は真似できないはず。

その暗黙知を増やすためにはどうすればよいか?

それは、熱意の根源となる「オリジナルな問」を持ち、その問に対する答えを、自分のあらゆる経験と社会に氾濫する情報を結びつけながら「オリジナルな解釈」として言語化し、蓄えていくことだ。

大事なのは、検索で知った答えを自分なりに解釈して、そこに書かれていない深いストーリーを語ることができるかどうか。自分の生きてきた人生とその答えはどうやって接続されていくのか。それを考えることで思考が深まり、形式知が暗黙知になっていくのです。
落合陽一. これからの世界をつくる仲間たちへ[11]より引用

話が小難しくなってきたが、要するに「基軸となる自分の問」を持ち、「それに対して自分なりの深い考え」を持てということだ。

哲学的な話は分かった分かった!

自分は今、会社に属している。だから具体的に会社で自分が影響力を持ち、熱意を持って社会に影響力を発揮するにはどうすれば良いか教えてくれよ。

良い問だ。

それでは、哲学的な話から離れ、経営学的な話に変えよう。

会社がより高い影響力を持って市場で戦うために様々な考え方がある。
その歴史も経営戦略全史[12]という本に綴られている。

経営戦略には流派が大きく二種類ある。

「ケイパビリティ派」と「ポジショニング派」だ。

ケイパビリティ派は、「人を元に事業を作るべき」と考える人たち。
ポジショニング派は、「事業から逆算して、人を集めるべき」と考える人達。

ちなみにマッキンゼーは元来ケイパビリティ派で、ボスコンは元来ポジショニング派。流派が違うんだぜ。
リクルートを創業した江副さんはケイパビリティ派に当たるかな。

BCG-PPMや、PEST分析、5Fs、4P、3Cなどなどを使い、市場を1つの切り口で分解し、「自分の会社はここを狙う!」と勝てる位置取りをするのがポジショニング派。

SWOT分析のS(強み)、W(弱み)を代表とするその組織の「らしさ」を起点に事業を創っていくのがケイパビリティ派。

最近では市場から逆算していては、企業の戦略に落とし込む頃には間に合わないのでケイパビリティ派の人気が出てきているようですね。

事例が面白かったので1つ取り上げます。

1977年、「ホンダは米国の自動車産業に参入すべきか?」という”簡単な”試験問題がハーバードのMBAコースの期末試験で出題された。

当時は競争相手で米国市場は飽和しており、ホンダは自動車の知識も流通チャネルも無かった。成功確率は理論上ゼロだったため、参入すべきと答えた生徒は問答無用で不合格となった。

しかし、数年後、実際にホンダは米国のバイク市場に参入し、成功を収めた。

その原因を辿るため開発者にインタビューしたら、「直感で決めた。」「本場のアメリカでどれだけ行けるか挑戦してみたかった」と。

つまり、現在の市場から逆算して考えるだけではビジネスは成功しない。何事にも屈しない情熱が必要ってことですね。面白いね。

質問に戻ると、ケーパビリティ派の戦略とポジショニング派の戦略を織り交ぜ、会社として市場における勝ち筋を見つけな。具体的に戦術・戦闘はお前よりも経験のある先輩社員から助けを請いなさい。

(コトラー、ポーター等、具体的な戦術に関しても2017年はたくさん読みましたが割愛)

なんかよくわからんけど、色々と勉強した一年だったみたいだな、2017の山田よ。2018年の山田はどうするの?

2017の学びをまとめると、市場価値という世間の軸ではなく自分の軸で自分の価値を定義し、その価値を情熱を持って生きよ。オリジナルの問いを持ち、探求し続けろ。加えて、他人のためになるよう徳を持って生きよ。他者とのつながりを大事にする生き方をせよ。

で、2018年。

今んとこの興味あるトピックは
・現代、過去
・日本、その他国家
・20〜30代と40〜以上
の考え方の違いを知り、相対的に世の中を捉えて現状認識をし、今後の自分たちの世代がどのように生きるべきかを探求して生きたいと思ってまーす。

そのためには、今までずっとサボってきた世界史や政治経済の勉強のやり直しだね。2018年も頑張りまーす。

ってことで来年もよろしゅうお願いします。

<参考文献1>
[1] 林 玲 — 幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」
[2] Benjamin Todd — 80,000 Hours: Find a fulfilling career that does good
[3] George E. Vaillant — Triumphs of Experience: The Men of the Harvard Grant Study
[4] リンダ・グラットン — LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
[5] 丸山俊一 — 欲望の資本主義
[6] 安岡正篤 — 運命を創る―人間学講話
[7] 岸陽子 — 中国の思想(12) 荘子(改訂版)
[8] 稲盛和夫 — 生き方
[9] 海老原嗣生 — クランボルツに学ぶ夢の諦め方
[10] オットーシャーマー — U理論 過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
[11] ピーター・センゲ — 学習する組織 システム思考で未来を創造する
[12] 三谷宏治 — 経営戦略全史 50 Giants of Strategy

<参考文献2>
Kindleで読んだ121冊の本のリストたち

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