SUPER BOWL「最初の黒人QBと最後の白人RB」

NFLは、スーパーボウルで目覚ましいパフォーマンスを上げた50人を公開中。
 どれも印象に残る選手ばかりだが、とりわけ僕の印象に残っている選手を上げてみると、それは最初の黒人QBであり、そして最後の白人RBだった。

最初の黒人QBダグ・ウィリアムス

黒人としてはじめてスーパーボウルに出場するという事実に関連する質問を、彼は山のように浴びただろう。
 そうして時間は流れて、キャム・ニュートンは、そうした類の質問を受けることは一切なくなった。
 もうベテランに差し掛かった年齢と序盤の怪我で、ひょこひょこドロップバックする姿には頼りなさしか感じなかった。
 が、しかし、肩は素晴らしかった。
 ライフルアームと呼ばれたその肩は、ロングレンジをものともせずズドンと決める。
 対戦したジョン・エルウェイの豪腕とは趣の違う、鋭さを感じた。
 そうして、ダグ・ウィリアムスの素晴らしい肩は、ザ・クォーターと呼ばれる1Qに35得点を挙げるという離れ業をやってのけた。
 いわゆる人種の壁というものを極東の島国にいる人間にはなかなか実感できないが、CとQBは白人に限るという暗黙のベールをぶち破って見せたのだ。
 もし彼がいなければ、キャム・ニュートンは違うポジションでスーパーボウルに出場することになっていたのかもしれない。

最後の白人RBジョン・リギンズ

何もわからず、初めて見たスーパーボウルで、その男の姿は鮮烈だった。
 華麗さとは無縁に、ただ黙々とボールを運ぶ。
 ディフェンスが密集している中に躊躇なく突っ込むと、ねじ伏せられるまでゴリゴリと進む。
 相当なヒットを受けているはずなのに、何事もなかったように、またそれを繰り返す。
 TDを上げてもガッツポーズなどすることもなく、サイドラインの酸素吸入器に貪りついて、鋭い眼光のままフィールドを睨みつけ、次に備える。
 彼が最初のアイドルであり、僕がこのスポーツにのめり込む原点となった。
 だから今でも、44という背番号は、特別なものだ。
 しかし、ジョン・リギンズ以降、スーパーボウルはおろか、NFLでは白人RBというものをほとんど見かけなくなった。
 能力によって評価される白も黒もないフラットなリーグになったのかもしれないが、彼の再来のような選手が出てきてもおかしくはないはずなんだけど…

レッドスキンズのダブルTE

奇しくもこの2人は、ジョー・ギブス時代のワシントンレッドスキンズに所属していた。
 どうやら、僕はこの時代、その後ウェストコーストオフェンスという名で長くリーグを席巻することになる49ersのニッケルアンドダイムオフェンスより、ダブルTEのシングルバックからパワーランとそのプレイアクションパスを展開するレッドスキンズに魅力を感じていたようだ。
 当時珍しかったダブルTEを採用した背景を聞かれたジョー・ギブスは、手がつけれられなくなっていた強力なOLBの存在を上げた。
 彼らを自由にさせないために、TEを配置したのだと。
 確かに、現状を見ると、TEのいないスプレッド体型では、アウトサイドのラッシャーは自由奔放に振舞っている。
 気のいいOTだけでは、荷が勝ちすぎる。
 彼らを自由にさせないためには、こうしたオフェンスの復刻も必要なのかもしれない。
 そしてRBにはパワータイプの選手を配置し、鮮やかなロングゲインがなくとも、ゴリゴリと奔放なラッシャーを痛めつけておかなければならないのかもしれない。
 であれば、リギンズのような選手の復活もあるだろうか。

と思ったら、もうペイトリオッツはそれを採用していた。
 しかも、本来TEのヘルナンデスをワンバックに配置して。
 ベリチックの意図は、わかりようもないけれど、こうした取り組みは復活する意味があるのかもしれない。
 もっとも、ペイトリオッツのそれは、ヘルナンデスが殺人罪で逮捕されるというショッキングな事件でお蔵入りしてしまったが…

ファッションにも周期があるように、フットボールの流行りにも周期があると言われている。
 そろそろ、スプレッドとは一線を画すチームが出てきてもいい頃かもしれない。

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Originally published at COCOLO CHRONICLE.

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