Bancor Protocol はトークンエコノミーを支える大発明となるか?(後編)


前編からだいぶ時間が空いてしまいましたが、この記事は Bancor Protocol(バンコール プロトコル)解説記事の後編になります。今回は、トークンリレー (Token Relay) およびトークンバスケット (Token Baskets) について見ていきたいと思います。

用語変更について

前回記事(2017年9月)を書いた後に、Bancor Protocol が公式に使っている「用語」が整理されました(→ 公式アナウンス)。具体的には、

  • CRR → Weight
  • Reserve Token → Connector Token

というように変更されています。呼び方が変更されただけで内容は変わっていないので、前回記事で CRR 等の単語が使われている箇所は、上記のように置き換えて読んでください。

前編のまとめ

  • トークンの種類が増えれば流動性リスクが顕在化する
  • Bancor Protocol は流動性リスクの解決策の1つである
  • Bancor Protocol に準拠したトークンを Smart Token と呼ぶ
  • Smart Token には常に一定の割合の準備金が保持されている
  • Smart Token の価格はスマートコントラクトによって動的に変動する
  • Smart Token は売買毎に総発行量が増減 (Issue/Burn) する
  • Smart Token の売買にマーケット (Order Book) は必要ない

詳しくは、前回記事「Bancor Protocol はトークンエコノミーを支える大発明となるか?(前編)」をご覧ください。

バンコールネットワーク (Bancor Network)

Bancor Protocol によって常に流動性が担保される仕組みは、一定の準備率 (Weight) によって保持されている準備金 (Connector Token) によるものでした。例えば STX というトークンは 2% の BNT を、BNT は 10% の ETH を、それぞれ Connector トークンとして保持しています。

STX — BNT — ETH のネットワーク

Connector によって構成されるネットワークを Bancor Network と呼びます。Bancor Network で繋がったトークン同士は、一切の人手を介することなく、スマートコントラクト上で交換することができるようになります。

トークンリレー (Token Relay)

Bancor Protocol に準拠する Smart Token は、Connector によって繋がる経路さえあれば交換可能です。一方、通常の ERC20 トークンの場合は取引所(マーケット)で売り手/買い手を探して売買する必要があるわけですが、これを Bancor Network に乗せることはできないでしょうか。

それを実現するのが “Token Relay” です。トークンリレーは、Weight が合計 100% になるように、2種類の Connector トークンを持った Smart Token です。既に存在する GNOBNT を例にとってみましょう。

GNO — BNT を繋げる GNOBNT トークンリレー

GNOBNT は、その価値の 50% 分の GNO、50%分の BNT を Connector として保持しています。この GNOBNT を介して、Smart Token ではない通常の ERC20 トークンである GNO トークンも、Bancor Network に繋げることができます。

例えば GNO を STX に交換するためには、GNO → GNOBNT → BNT → STX というパスを経由することで、スマートコントラクト上で瞬時に交換が実現できます。繰り返しになりますが、マーケットは必要ありません。

トークンバスケット (Token Baskets)

1種類の Connector を持たせることにより、常に流動性をもつ Smart Token が実現しました。2種類の Connector を持つ Token Relay によって、既存の ERC20 トークンを Bancor Network に乗せることができました。では、3種類以上の Connector トークンを持たせたらどうなるでしょう?

GNO, REP, STX, BNT から成るトークンバスケット

3種類以上の Connector トークンを持たせた場合、それは通貨でいえばバスケット通貨、株式等でいえば ETF (Exchange Traded Funds) のような意味合いを持つトークンになります。

例えば、GNO, REP, STX, BNT を 25%ずつ Connector として保持する Smart Token を発行し、それを買うということは、これら4種のトークンに対して分散投資をしたことと同じことになります。

おわりに

2017年は暗号通貨/ブロックチェーンの年と呼んでいいほどの盛り上がりを見せました。2018年には、いくつか重要なキーワードが出てくると思いますが、私はその1つに「流動性リスク (Liquidity Risk)」があると思っています。

Bancor Protocol は、他のプロジェクトにはない全く新しい考え方で流動性リスク問題を解決しようとしています。かといって Bancor Protocol は現時点で完璧なものではなく、Miner による Front Running 問題や、適切な Weight 設定など、まだ明確な答えがでていない課題もあります。

私は現在、それらの検証も含めて、Bancor Protocol を活用したサービスを開発しています。メンバー募集中なので、興味ある方はご連絡ください。