700億円超え不正調達、セラノスまとめ

Amanda Umezono
Sep 8, 2018 · 6 min read

どうしてそんな金額まで調達することができたのか、気になって朝も起きれなくなりそうなので、まとめてみることにしました。

700億円の調達がどのくらい凄いのかというと、2018年8月時点での国内スタートアップ企業で最も資金調達した企業は、クラウド会計ソフトの株式会社freeeで累計約161億円調達しています。その3倍以上の額を調達している会社が、ただお金を集めただけで何も実用化されていなかった、ということです。アンビリーバボー体験。

ではざっくりセラノスの説明をすると、指先から血液を1滴採取するだけで疾病がわかり、200種類以上の病気が検査できるという血液検査テクノロジーのスタートアップ。パッと聞いた感じSUGEEEEとなる。

Theranos(セラノス)という社名は、therapy(治療)とdiagnosis(診断)からきており、一時企業評価額は約1兆円となり、大型ユニコーン企業として各所お祭り状態に。

EXCLUSIVE: HOW ELIZABETH HOLMES’S HOUSE OF CARDS CAME TUMBLING DOWN より画像転載

そんなセラノスCEOのエリザベス・ホームズの経歴は、1984年ワシントン生まれ、2003年19歳の時にスタンフォード大学を中退し同社を起業。「第2のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれ、黒のタートルネック(150枚持っているらしい)を着て室内を前後18℃前後に保ち、徹底した秘密主義、完全菜食主義者、週7日間働き起業してから休みを取ったことは無い、など様々なセルフブランディングを築いていました。

また、世界最強VC投資会社アンドリーセン・ホロウィッツからもTwitter上で最初の女性ハイテク企業創業者になるとまで言われていました。凄い人が凄いって言ってるんだから凄いに決まってる!となります。

ではどんな人々から投資を受けていたのか、少しまとめました。
※円は2018年9月7日現在で計算

・ウォルマートの創業者のサムが持つウォルトンファミリー財団から$150 million(約166億円)

・アメリカの「メディア王」と呼ばれるルパート・マードックから$121 million(約134億円,ちなみにアメリカの「不動産王」はトランプ大統領)

・現米教育長官でアムウェイ一族と結婚したベッツィ・デヴォスとその家族からは$100 million(約111億円)

・世界14位メキシコのGDPの7%を持つメキシコの「中南米の通信王」カルロス・スリム・ヘルからは$30 million(約33億円)

米著名投資家ティム・ドレイパー、その他ファンドから$70 million(約77億円)などなど、富豪、議員、映画監督…名誉ある人々からの投資で箔がつき「投資させて!」と人が寄ってくるのが想像できます。

議員や閣僚、軍人など様々な人々がセラノスの役員として雇われていたのも関係があるのでしょう。

この時期になると彼女はForbesや Fortuneの表紙も飾り、資産約5000億円と噂され長者番付にもランクインし様々なメディアへの露出が増えていきました。

Forbes

ではどこで歯車が狂ったのか。

それは、2015年10月に出されたスクープ記事、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルによって彼女の帝国は崩壊を始めました。

そもそもはというと、ホームズは株式を50%所有のまま、投資を受ける際に様々な内容を契約に盛り込んでおり(変わった契約内容自体はスタートアップとして珍しくないけども)、それに対し、こんな上手い話があるものかとグーグル・べンチャーズがデューデリジェンスを行ったものの、ホームズからは返事を得られず、独自で調査に動いたためです。

蓋を開けてみると、セラノスはペーパーカンパニーを作っており、そこから他社の検査機器を購入。これまでの血液の検査結果は、セラノス独自の技術によるものではないことが発覚。

他にも、指に針を刺すと細胞が壊れ、少量の血液から、より繊細且つ信頼ある結果を得るのは不可能ということが発覚したり、従業員による業績悪化の内部告発など。。

様々なスタートアップが大きくなっていく過程で、でっちあげネタは競合からされることもあるし、資金調達前に自分の会社を大きく見せるために行われたりもすることもあります。

セラノスにおいては、ガセネタorアカンやつ、と期待よりかは確実に疑問と疑いの空模様で3年の月日が流れ、遂に2018年9月、セラノスは解散という結果に着地しました。

2017年の時点で、メディア王ルパート・マードックが$121 million分あった株を$1で売却したことも明らかになりました。約134億円が約100円になってしまうなんて恐ろしすぎる、、

SEC証券取引委員会の調査により、エリザベス・ホームズと、元社長のラメシュ・サニー・バルワニを詐欺の容疑で告発。

・50万ドル(約5600万円)の制裁金の支払い

・上場企業の役員または幹部への就任の10年間禁止

・セラノスの支配権を解消

・詐欺行為で得た株式1890万株を返却

以上全てに同意をしました。

示談で収めたという点で、「テクノロジーに対しての希望」は確実になくなったように思えます。

過去に彼女を表紙として掲載したForbesでは、ホームズの推定純資産は0として扱うこととし、他メディアでもコメントを出しています。(しかしアンドリーセン・ホロウィッツはコメントを出さず)

また、ホームズをベースにした映画をつくる契約を結び、既に映画の仮タイトルは、「Bad Blood」でジェニファー・ローレンスの主演が決まっているとのこと。

もし彼女が私腹を肥やしていたのなら、詐欺だったんだなあと思えるのですが、そうではないのでこれまた不思議なところです。

投資したスタートアップ先が必ず成功するものではないし、ピボットする場合もあればそのまま果ててしまう人もいる。。

今回のケースは虚偽が明らかに多いので詐欺ですが、彼女が想う「会社とテクノロジーの未来」に共感と賛同をする人達がいなければ、ここまでのお金は集まらなかったと思うので、どの地点から、彼女は虚偽を始めてしまったのか更に気になってしまいました。

アメリカの話なので、あまり日本では騒がれていませんが、再びこういうことがいつ起きてもおかしくないのかなと。

今回セラノスのテクノロジーについて、そしてホームズについて調べていけばいくほど、関係者が自殺を図った話、会社での立ち振る舞い、テクノロジーの例え、血液凝固テストに問題があったなど、様々なストーリーがあり、終わるに終われなくなる情報量なのでこれにて閉店!!

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