Libra についての雑感(2019/06/18)

arichika.taniguchi
5 min readJun 18, 2019

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度重なる事件で、貧者国家の武器的なノリさえ感じられた仮想通貨界隈への久々の明るい系話に見えるこの件。

この件について、ツイートからの転載。

https://twitter.com/arichika/status/1140961823526539264

地味に真面目なFacebookの仮想通貨、Libra。ザ暗号資産でなく、集団的投資での電子決済基盤向け集金構造とプール資産の運用益の分配、というか、株式出資分と通貨発行分がペッグで現実世界に投資され運用に使うようなモデルなので、集団的銀行運営スキームったほうが適切な気も。全体設計はキレイ。

以前に仮想通的なエネルギー単位としてのエネルギペッグ型の話を一部してたことあるけど、まんまそれとして読んでも違和感ないですわ。当時の内部の方どうぞ中身を見てくだされ。許可型からの滑らかな移動とか、利益を出す部分をマイニングにしてないとことか。

ブロックチェーン部分もかなり意識して設計し直してるようにみえてて、トランザクションの確定の支援とログの共有に主軸あるモデルに見えるので(ちゃんと読んでないけど)、今みたいな、泥臭い騙し合いのための無駄な計算資源の浪費というマイニングからは、距離が取れるような設計に寄せる。

マネロン対策も視野には入れてるし(簡単な明記しかないけど)、アホなスマートコントラクトに対しても言語開発してるぐらいなのでなかなかですな。マネロン系は、エンドでの既存体制を使うことになるかもねこれ。

良くも悪くも、ビットコインのネガ=個性を潰したので、今の社会の、自然利子率がプラスである限りは金が金を生み続ける、いうプロセスを、グローバルにうっすく展開したような、でも地味にでかい絵に落ち着けた、って感じ。

彼らはベッグ先の運用が可能で(というかそれしかないし、だから意味がある)、それを分配することでシステムの維持を、とは言ってるので、透明性でしょうな。結果的に、長生き出来る要素がかなり揃ってる。なかなか感心。偉そうで我ながらアレだけど、これは感心した。

どーでもいいけど、参加企業の現地APIを経由していけば、アービトラージ、なんとかなる気がややするね。10万個ぐらいのアカウント調達しておけば、案外となんとかなるかもしれん。(それはそれとして

結局は、既存のマネー運用と同じ構造を保ったことが大きい。リザーブの運用益での配分は肝だけど、動き出せば誰もそれを気にしなくなるところ、要は透明性だと思う。壮大な詐欺にならないような相互監視のモデルにまでなるか、否か。

実装の仕方・方向性次第では、落ち目のFBの集金システムかよ!ってなるのかもなぁと思ってものの、現時点ではその色よりかは、現状の社会がモザイク状であることを利用したテクノロジーベースでの効率的な資金運用の方法の模索に見える。

結果それは悪くないんだ。でもそれって資金運用の方法って話に軸足が出てくるので、正直、所謂古典的なブロックチェーンが持っていた、アルゴリズムによるモチベーションのマネジメント、って感じではないよね。多少その色を残す意図があるようには見えはするので、これは今後読み込んでみる。

そりゃ Visa も乗るわって構図。でもこのメッセージで出せるのが米国主軸の力だなぁ。

我らがジャパンはどう出るかですな。これ地味に運用のメリットがある話だったはずで、海外資産ベースでの運用主体にもなれは話だと思う。電子決済で○○ペイだと言い放っていた時代がもう既に過去になってしまいましたな。あっはっは。

以降追記。

国内での扱い、どうするかね。

○○Pay に盛り上がってる国内だけど、結局やってることは、非常に近視眼的なビジネスでのパイの奪い合いに着地し、クラウドのときと同じ構造になったなこれ、と。

国内○○ペイ平成の陣は、国内ビジネス的にはよく見る光景だった。資本を利用し初期シェアを奪い合い、行政に食い込んでみたりして、プラットフォーム化を確実のものにする。関係者を逃げられなくし足場を作る。潰せなくする。よかったね、と。そして平成と共に終焉を告げる。あ、これって Suica で良かったやつね、と。

事実、単なる電子決済なら、ブロックチェーンなんていらない。QRコードなんてホントどうでもいい話だったりするわけで、そこにプラットフォーマーとしてのなにかを見出して争うなんて可愛い話なんだけれども、でも当人達はホントに真剣。わかる。零細企業だけど経営してるからわかるよ。本気の1万円の決済もあるし、勢いの500万円の決済もある。(何の話

デカイ夢と理想には、小手先の賢さでは勝てない。

電子計算技術では負けっぱなしですが、国内有力メディアが話題にし、新進気鋭なネットメディアで識者が熱く語った国内電子決済の戦いも、多分地味に焦げ付いてドメスティックな熱意に消費され、クラウドの戦いと同じ様相を見せそう。

主戦場は、そこでは無かった。

そこではない、というか。ここでもまた、社会の運用実装と、物理を忘れた哲学の議論が、物理の上に成立している電子計算の革命の力と、社会が現実として運用可能な状態でしか成立しないことと、そのバランスのなかで無限の可能性で流動することを、すっかり忘れてしまった、というか。

主戦場を避けて新たな競争の場を作るのが、上手い人達が集まりやすい国というのは、強いですねこれホント。

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arichika.taniguchi

President of team Sirocco, LLC / Financal Technology を中心に、技術界隈を実務もやりつつ見続けてます。