ゲノム活用サービスがどんどん生まれていく!? 第1回 ゲノムサービスハッカソン「G-Supernova Hackathon」レポート

AWAKENS, Inc.
Jul 24, 2017 · 12 min read

AWAKENSではゲノムサービスに特化したハッカソン/アイデアソン「G-Supernova」シリーズを開催しています。今回はこの夏に開催したハッカソン「G-Supernova Hackathon」の模様をご紹介します。

30名限定で開催した第1回「G-Supernova Hackathon」は大盛況の内に終わりました!

そもそも、なぜ「ゲノムハッカソン」をやるのか?

私たちAWAKENSでは「全ゲノムの可能性を広げるムーブメント」を生み出していきたいと考えています。ゲノムの世界は今もまだインターネットの90年代の状況であり、研究者や医療従事者や一部のサービス事業社だけに閉じている分野です。しかし、いつしか誰もがインターネットを使い、その上で新たなサービスを生み出すようになったのと同様、ゲノムにおいても信頼性の高いサービス開発ができるための土台とルールをつくり、誰もが参入できるようにしていくことで、産業全体が活性化され、その可能性をより多くのユーザーに届けることができると考えています。

特に、今の遺伝子検査サービスは「解釈情報のレポーティング」に留まってしまっているというのが私達AWAKENSの考えです。唾液を採取して返送した1–2ヶ月後に「こんな病気になりやすい」「あなたの体質傾向にたこういった食事や運動がオススメです」といったレポートが送られてきます。この情報自体に価値はあると思いますが、ユーザーの日々の生活の中で、その情報はほとんど活用されていないのが現状です。例えば、遺伝子検査サービスを受けた方に「どんな結果だった?」と聞いた時に、ほとんどのユーザーは2–3個の結果を覚えているだけで、他にどんな情報があったか覚えていないのではないでしょうか。

私たちはヒトのデジタルデータそのものであるゲノムは、こうした解釈情報のレポーティングという枠組みを超えて、今後、日々の生活の中で使用されるサービスに日常的に組み込まれていくものになると考えています。例えば、医療分野では日常的に使う薬の効きやすさや副作用のリスクを事前に把握できるようになったり。自分にあったフィットネスプログラムはゲノムレベルの体質傾向やトレーニングの効果の違いに合わせて個別化されたり。少しSF的かもしれませんが、自分の味覚傾向に応じてお酒やコーヒーをレコメンドしてくれたり、脳の働きや性格傾向に応じて学習方法を変えたりといったことも研究レベルではすでに起き始めています。(このブログでも具体的な研究や事例をご紹介していきます!)

ゲノムはまだまだ未知の領域です。しかし、ヒトそれぞれの違いをデジタルデータで紐解くことができるようになった今、その可能性は様々な領域に広がると考えます。このムーブメントを作り上げていくプロセスに、もっとたくさんの方に参加して欲しい。そんな思いから開催しているのがゲノムハッカソン/アイデアソン「G-Supernova」です。


第1回ゲノムハッカソン「G-Supernova Hackathon」の模様

今回のハッカソンではシンプルに以下のフォーマットで行いました;

  1. ゲノムからわかること「Knowledge base」カードを使ったチーム分け
  2. AWAKENSオリジナルのゲノムAPI「GENOME LINK™」の紹介
  3. 2日間のプロトタイピング~プレゼン発表~ネットワーキング

1. ゲノムからわかること「Knowledge base」カードを使ったチーム分け

ハッカソン前の事前レクチャーの様子
Knowledge baseカードには、ゲノム解釈情報とベースとなる研究を分かりやすくまとめました

ゲノムハッカソンでは、これまでゲノム領域に携わってこなかったヒトにもぜひ参加いただきたいと思っています。そこで、まずはAWAKENSチームから簡単なレクチャー行い、その後各テーブルでゲノムからわかる傾向情報の種類と、その根拠となる研究概要が書かれた「Knowledge base」カードをもとにディスカッションしました。「へー、こんなことも分かっちゃうんだ」「これは面白いかも!」そんな発見が各チームから聞こえてきました。

その後、カードに書かれたカテゴリー毎にチームをつくります。今回のハッカソンでは体質傾向、病気のなりやすさ、性格、知能、食事の5チームができました。


2. AWAKENSオリジナルのゲノムAPI「GENOME LINK™」のご紹介

G-Supernova HackathonではGENOME LINKS™というAPIを使用します。今回は10人の仮想ユーザーがいるとして、そのユーザーのゲノムデータにもとづく体質傾向情報を取得するためのAPIを提供しました。参加チームがKnowledge baseカードをもとに選んだ特定の体質傾向のキーワードをinputに使い、ユーザーの体質傾向のサマリー(こんな味覚傾向がある、こんな性格傾向がある)をoutputするものです。


3. 2日間のプロトタイピング~プレゼン発表~懇親会

チーム分けとAPIの説明の後は、各チームに分かれて作業です。今回は1.5日間の作業時間でプロトタイピングを作成することを目指しました。発表会では各チーム5分のプレゼンと質疑応答の後、参加者と審査員で優勝チームを決めます。


1.5日間でゲノムサービスの機能プロトタイプが完成!?

私達にとっても今回のイベントは実験的なものでした。「ゲノムAPIの提供で本当にサービスがつくれるのか?」と不安に思うこともありました。しかし、結果はどのチームも具体的なサービスの機能版を短時間で作り上げてしまいました!さて、どんなサービスが発表されたのか、以下をご覧ください;

  1. SAKENOME
お酒の味データベースとゲノム解釈情報とを組み合わせるロジックを解説

日本酒 × ゲノムのレコメンドアプリ「SAKENOME」はゲノムからわかるユーザーの味覚傾向データと、アンケートの回答データ、日本酒の銘柄ごとの味データを解析して、ユーザの好みにあった日本酒をレコメンドするアプリです。実際、まだ研究途上ではありますが、赤ワインと白ワインの好みに関する研究や、ビールなどにも含まれる麦芽の苦味に対する感度についての研究も存在します。SAKENOMEの参加チームの知り合いで実際に日本酒の味データベースを運営する人たちを巻き込み、実在する日本酒データベースを組みわせた具体的なレコメンドロジックも実装しました。

2. ACTGame

ゲームのアバターだけでなく、難易度等の裏側のロジックにデータを活用

ゲノムからその人の脳の機能の傾向がわかるかもしれないという研究が存在します。例えば、同じ課題や学習目的に対しても、右脳的(クリエイティブ)に取り組むのと、左脳的(ロジカル)に取り組むのとで個々人の向き不向きがあるかもしれないといった研究等です。こういった成果を取り入れつつ、ゲームの内容をカスタマイズすることができるツールプラットフォームがACTGameです。実際、ゲーム開発者は難易度の調整にものすごい神経を使っているといわれており、ユーザーの行動データに加えて、ゲノムも難易度の個別化に活用しようというものです。

ACTGameでは更に一歩踏み込み、こうしたゲノム活用型ゲームをつくるための専用プラットフォームを構築するということを目指すことを強調しました。単なるエンタメだけでなく、ゲーミフィケーションを活用した教育用途のゲーム等にも応用ができるのではないかと期待されます。

3. Child Compass

どんな習い事が向いているか、どんなリスクがあるかを早い段階で知ることができる

Child Compassは子供の教育方針についてのヒントを提供するサービスです。絶対音感や味覚の感度、持久力と瞬発力など、ゲノムと才能との相関を調べる研究は世界中で行われています。これらの研究成果を活用して、どんな習い事が向いているかなどの教育方針の参考となる情報を届けます。

子供を持つ親世代がチームメンバーということもあり、ゲノムが決定論になるのではなく、子供の可能性を広げるために活用するにはどんなサービス設計が必要かを深く議論していたことが印象的でした。子供のゲノムデータの権利は非常に重要な議論であり、こうしたイベントを通じて身近な議論として広げていくこともこのイベントの狙いです。

4. Animal Disorder

ペットの電子カルテ情報にゲノムからわかる疾患リスクや薬剤応答の情報を組込む

病気のなりやすさをヒトに限らず、ペットに応用したサービスです。チームの中に獣医の方がいたため、実際のペット用の電子カルテイメージに組込むプロトタイプを作成しました。(GENOME LINKではペットに関する解釈情報を用意していませんが、実際に同様の研究やデータベースは多数存在します)ペットに着目したサービスですが、一般的に使用されている電子カルテとユーザーが持つゲノム情報を接続して医師が診療に活用するという世界観はすぐに実現するかもしれません。

5. MAKAKOI

寸劇(?)の一風変わったプレゼンを発表するMAKAKOIチーム

MAKAKOIは味覚等の体質傾向に合わせて近くのレストラン等を紹介するアプリです。最大の特徴は、個人の傾向データではなく、グループの傾向データを集計して解析し、グループに最適な選択肢を提案するというものです。個人のゲノムの解釈情報を他の人に知られたくないという心理を解消するために、グループ化した情報だけを活用することを重視したようです。味覚に合わせたレストランのレコメンドから始め、フィットネス等のイベント情報とも連携していきます。


第1回ゲノムハッカソンの優勝チームは…

今回のハッカソンでは審査委員として500 Startups Japanより澤山さんと、デジタルガレージより宇佐美さん、そしてAWAKENSよりファウンダーの松田が参加しました。サービスのワクワク感、機能の実装レベル、そして倫理観等を考慮した社会的受容性等の観点から参加者と審査員で評価しました。

そして審査の結果、今回の優勝チームは…

「ACTGame」の皆さんに決まりました!ゲームという世界観にゲノム活用の方向性を見出したこと、実際に認知症予防といった領域でVRやゲーミフィケーションが使われている昨今では活用の幅がさらに広がる可能性があるといった観点から審査員より高い評価を集めました。ACT Gameの皆さん、おめでとうございます!


ゲノムサービス開発者向けコミュニティ「GENOME LINK LAB」を開始します!

今回のハッカソン後、一番嬉しかったことは「実際にサービス化したいです!」という問合せを複数のチームと参加者からいただいたことです。まさにムーブメントが広がり始めている、そんな期待を感じています。

そこで、こういったゲノムサービス開発者が集まり、情報交換をしながら新しいサービスコンセプトを実現していくためのコミュニティ「GENOME LINK LAB」を立ち上げました。ハッカソンの参加者の他にも、こうしたサービス開発や研究に関心のある方にご参加いただいております。コミュニティの熱量を保つために、事前審査性とさせていただいておりますが、ご関心のある方はぜひこちらのフォームよりご登録ください!(現在はFacebookグループにて運営しておりますが、審査のため上記フォームからの申込のみ受け付けております)

またAWAKENSではこれからもムーブメントを広げるべく、ゲノムハッカソンを開催していきます。ご関心のある方はこちらよりイベントコミュニティのフォローをお願いいたします!

<イベントやGENOME LINK LABに関するお知らせ>

  • ゲノムサービス開発者向けコミュニティ「GENOME LINK LAB」に参加する(無料/審査あり)=登録フォームからお申込ください!
  • 日本国内で開催予定のイベントのお知らせを受け取る=Peatixイベントグループをフォローしてください!
  • イベントの共催についてのお問い合わせはこちらからお願い致します

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