Maker Faire Bay Areaを知ってもらいたい

先日、backspace.fmに呼んでいただきまして、Maker Faireについて話しまして。そういえば、お蔵入りしてた、Maker Faireについて書いたテキストがあったなと思い出しまして、せっかくなのであげておきます。Maker Faire Bay Area 2015終わった直後ぐらい、ちょっと前の内容です。


Maker Faireとは、ものづくりの祭典です。大人の文化祭。ものを作ってる人が集まって、作品を持ち寄って、自慢しあって楽しむ会です。こんな風に言うと、しょぼくて痛いイベントに思われるかもしれませんが、ここはアメリカ、規模だけはともかくでかい。なんと土日の二日間で20万人の人が集まる超巨大イベントなのです。子供から大人、男性女性を問わず。チケット買って見に来る人も様々です。そして展示も多種多様で、素人丸出しの工作レベルのものが大企業のブースが隣り合ってたり、ボロ布の山が積まれたクラフトワークショップのテントがあったり。ヤギがいたり、R2-D2の大群がいたり、フードトラックがあったり、屋外でビール飲めたり。まさに大人の学園祭なのです。

東京のMaker Faireをご存知の方は、あれ?ずいぶん違うとお感じのはず。東京のMaker Faire、昨年は11月にTokyo Big Sightで行なわれました。規模も小さく、来場者も1万人強(それでもすごいですが)。内容もIoTや電子工作寄りに偏っているように感じます。

東京もとても面白いイベントで否定するつもりは毛頭ないのですが、全体的には巨大な工作室という感じ。そんな東京の朗らかな感じに比べると、本場ベイエリアのMaker Faireは、サーカスのような、見世物小屋的な、なんか意味わからない熱気。まさにアメリカ!って感じです。出店している内容も、電子工作とかIoTとか3Dプリンタとか、流行り物ももちろん有るけどそれは一部。屋外ではその何倍もの広さでいろんな作品が展示されてます。

まず目を引くのは巨大な火を噴くオブジェ。どうやら巨大さは彼らのエネルギーらしく、あちらこちらに作品が飾ってあって、火をぼうぼう吹いてます。

現地の友達に聞いたところでは、この巨大オブジェと火というコンセプトは、どうやらバーニングマンというイベントに端を発している模様です。噂には聞いてますが桁違いの規模なので、おいそれとは参加できません。

Maker Faire会場を歩いていると、アーリーアメリカンなファッションに包まれていながらも、どこかメカメカしい人たちとすれ違います。彼らはSteampunkと呼ばれるファッション、ライフスタイルを実践している人たちです。電気を使わないで蒸気機関で生活する人たちです。なんとなく、映画Back to the Future 3の世界観。ある種のコスプレですね。かっこいいです。会場の一角に彼らの村を作って、 ワークショップを行っていたり、手作りの蒸気自動車で会場内を走り回ったりしてます。

- http://bit.ly/1Rlb3gN

相変わらずシリコンバレーはSTAR WARS好きが多いのですが、Maker Faireではこの人たち。ベイエリア R2ビルダーズクラブ。実物大のR2-D2を作る人の同好会という謎の組織。1台作るのに、だいたい$3,000ぐらいだそうです。姉妹組織にはベイエリア Wall-eビルダーズクラブもあります。

今年のMaker Faireのびっくりニュースは、Microsoftが結構でっかいブースで参加してたことです。大企業がブースを出すこと自体はよくあるのですが、ソフトウェアの企業が出ているのは珍しい感じです。しかも、草の根というところからは一番遠そうに感じられてたMicrosoftです。今年の初めに発表していたWindows 10 on Raspberry Pi 2 とかを考えると、なるほど、これはアリだなという気もしました。他にもFacebookが小さいブースを出していたり、Googleがワークショップを開いていたり、今年はソフトウェアメーカーの存在が目立っていました。

3Dプリンタのブームは一段落した感じで、今年多く登場してたのはCNCマシンの進化バージョンたちです。CNCとは木材を加工する機械です。大型の物は町工場とかに行かないとみられませんが、デスクトップにおけるぐらい小型化した物も多数展示されていました。その中で注目の製品がこのShaper。板の上に置かれた機械を手で移動させるのですが、あらかじめプログラムされた形に従ってコンピュータによる補正がかかるので、多少(5cm程度)曲がっても綺麗な直線や曲線に削れるという優れもの。

- http://makezine.com/2015/05/17/self-aligning-handheld-router-gets-new-look-name/

このように見ていくと、とりとめもなく何のイベントなんだかさっぱりわからなくなっていきますが、実際に参加してみると皆んな大真面目にやってるので熱もすごく伝わってきます。その熱さにやられて僕も毎年参加するようになったんだと思います。

特に注目すべきは年代の層が厚いこと。出展者には、もう老人といっても失礼ではない年代の方がゴロゴロしてます。まだまだバリバリ現役で、自宅で物を作って遊んでます。そもそもMakeムーブメントというのは最近の潮流のように報じられていますが、その根底にあるのは、こうした年代の方が若い頃から自宅のガレージで、家具とかわけのわからんものをコツコツ作ってきたこと。日本では、70年代に一度上陸した最初のDIYブームのあと、それほど根付かなかったのでしばらく時間が空いて、今ようやく新たに再燃している感じがあるけど、アメリカではずっと老若男女がものを作り続けてきて今に至るという感じです。そしてこのイベントがサンフランシスコで始まっていること。これも大事な要素です。

僕の同僚、ブライアンが興奮して語ってました。今年初めて参加した彼は、シリコンバレー生まれのシリコンバレー育ちの50歳。そんな彼が、「このイベントこそシリコンバレーの原点だよ。子供の頃に周りにいた変な物を作ってるおじさん、そんな人のところに目を輝かせて遊びに行ってたあの頃を思い出す。子供から大人まで一堂に会してものづくりを共有できる、なんて素晴らしいイベントなんだ!」。彼の言葉通りだと思います。最近でこそシリコンバレーはテックカンパニー、スタートアップ、ソフトウェアなどに席巻されているように見えますが、それは表面的な話です。実際にこの地域には膨大な数のエンジニアが生活していて、自宅のガレージでコツコツ物を作り、休日にはHomeDepotのようなところに行って資材を購入して、子供のイベントで周りに披露したりしてます。楽しんで物を作っている。本業も趣味もものづくり。手を動かしてる人たちが集う場所、それがシリコンバレーなんだなぁ、ということを実感できるイベントなのです。

来年もこの時期5月に開催されます。ぜひ一度、実際に体験していただければと思います。規模は違えど、東京のMaker Faireも楽しいイベントです。今年は8月、僕も参加しますので、こちらにもぜひ足をお運びください。