鹿の鳴き声

凍りつく教室


高校生の頃の話。当時の国語の先生はおじいちゃんに近い年齢だが、陰気で嫌味っぽいので人気はなかった。仮にK先生とする。

ある時、授業で鹿鳴館の話が出た時、普段あまり余談をしないK先生が突然言った。

「鹿の鳴き声って知ってるか?」

大阪の高校生は奈良の高校生と違って鹿の鳴き声なんて知らない。

「こうやって鳴くんやで、よく聞きや」

静まり返る教室。みんながK先生に注目した。十分引き付けた後、K先生から発せられたのは・・・

「しか~」

「・・・」
「・・・」
「・・・」

よく話がすべった時にさぶいとかいうが、ここまで教室全体がさぶくなったのは他に経験がない。まさしく一瞬にして冷凍室になった感じであった。

しばし静まり返り、何かが通り過ぎるのを待った後、一斉に罵詈雑言の嵐となったのだった・・・。

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